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「禅の響 -ZEN no OTO- | 心月」のらりくらり

「心月孤円 光呑万象」

心とは何か。
万象とは何か。
この世に明確なものなど一つも存在しない。
もし在ると言い切れるのであれば、それは人の傲慢さに他ならない。
生きとし生けるものは何の理由もなく、存在しているのだから。
そして常に複雑なものである。
安易にわかりやすくする事は、私にとっては、まだまだ、とても烏滸がましい行為である。


 

 心というのは本当に不思議で、一つ境界線を作ると明確になるのに、真実が失われていくように感じます。両親への気持ちや、恋人、友人への気持ち一つでも明確にすると、それは既に愛ではないように感じますし、死の定義すら明確に出来ません。

 最近、僕はなるべく明確な表現を控えるようになりました。明確なものより、後をひきますし、面白みがありますし、ゆとりがあります。何より、心がそういう状態を望んでいるのを感じます。

 そうしていると、明確にしたそうな心がやってきます。明確なものに抽象的なものは社会的に弱いものですから、どうしようかと考えるわけです。そこは、のらりくらり。

 この心月は音色の幅でそうした気持ちを表現したつもりです。ゆったりとした中にシャープではない、何かを感じされる音。

 明確なものは一見、時間も短く結果を出せるように感じるかもしれませんが、それはいつだって人間社会だけのことです。動物は?植物は?地球は?コミュニケーションが取れないものを大切にする事が心を育むのではないでしょうか。

 だから、真実はいつだって、明確なものより、のらりくらりの中にあるように思います。

 

  

 

 

 

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