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詩 まばゆい光


あぁ どうしてわたしはいつもこんななんだ
あの人にお疲れ様と声をかけるだけなのに
いつもうつむいたまま黙って頭を下げるだけ
顔を上げて目を見ようなんて
何億光年も人生やり直さないとできない至難の業
あの人が出勤した時は
そうやっていつもわたしは俯いたまま退勤する
今夜も顔を上げられなかった
信号で立ち止まり頭上の明るい光に気がついた
満月だ
眩しすぎて目を伏せる
今のわたしには月明かりにも情けない心を見抜かれそうで、スマホで撮る気にもなれない
それでもわたしが歩く間、ずっと真上でついてきてくれる
あぁ 月って こんなにやさしくて
とてもあたたかいものだったんだ