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poetry reading(6月30日雨)

矢口れんと
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喋るのは苦手です。

詩集『組曲/巡る風花』
「レイニー・アンダーパス」

普段は使わない地下道へ 逃げるように駆け込んだ
迫る喧騒に遠ざかる雨音 見渡せば若者たちばかり
人混みの会話に耳を傾け 大衆に紛れた振りをして
濡れた肩のおもみだけが ぼくに安心を与えている

雨がやんだときには
虹を求めたりしない
微かな 光で いい

永遠を求めてうしなった一瞬や 他人に譲った笑顔は
きっとモラルや常識が肥大して 僕には見えなかった
失ったあのひとの愛や 向き合うことなく過ぎた夢が
ずっと意味のない生に 意味を持たせようとしてきた

むやみに枠にはめたら
波紋は途絶えてしまう
ならば 心の ままに

顔を上げてみれば 地下の群像も 雨粒たちとおなじ
複雑に交わる線を 感じたのなら さあ雨降りしきる

道へ帰ろう

ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!