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矢口れんと
2021年10月18日 08:39
「おかえり」 はじまりの茶畑に 遊具の錆びた公園に 校舎へと続く上り坂に 朝霧よ あなたは 何度でも立ち現れた 遠く後ろにいるようで いつの間に先回りしたのか 往こうとするわたしの手を引き また連れさらっていく 幼さの生きていた場所へ ひとたび白霧に包まれたなら その足を止めざるを得ない 往くことと生きることを 取り違えた迷い子よ 立ち