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中華レンズの世界 Vol.2 小型標準レンズ

前回は小型広角レンズでしたので、今回はその続きとして小型標準レンズを紹介していきたいと思います。あくまで”小型”なので、APS-C用MFレンズの話です。

このグループはさらに2つのグループに分けられると思います。
① 大口径・・・開放ではソフトな描写のものが多いレンズ群
② 小口径・・・開放からシャープな描写のものが多いレンズ群


①の群は35mmF1.2のような際立って明るいレンズで、多くの製品は非球面レンズを用いない設計なので大抵は球面収差が過剰補正タイプとなっています。このようなレンズでは絞りを変えることで描写が変化するため、それを表現に使うことが出来ます。

球面収差過剰補正の意味と特徴
使いこなしの説明のために、少し球面収差の解説をしておきます。
図はあくまでイメージ図で、多数のレンズを通った光線は、光束の太さによりピント面が前後しています。前後にどれだけ動くかが球面収差という評価です。
このような球面収差過剰補正タイプのレンズの場合、開放ではふんわりとしたフレアが像についていますが、少し絞り込むと急激にフレアが減ってシャープになります。絞りによるフレアの変化を知るには、球面収差からスポットダイアグラムでの位置を考えれば良いことになります。

球面スポット2

このようなS字カーブをもつ球面収差は、フィルム時代の標準レンズでは一般的で、ほんの少し絞ると径の大きなフレアは急激に減少し、その後は緩やかにフレアが減っていきます。中華系の大口径レンズも、このような過剰補正タイプが多いようです。特に非球面を使っていないものはほぼこのタイプだと思われます。

Neewer 35mmF1.2 (for APS-C)

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5群7枚構成とのことですので、1眼レフ用の50mmF1.4、もしくはライカMの7枚玉35mmF2.0と似た構成の可能性が高いと思われます。(メーカーH.Pのラフ図は7枚玉ズミクロン35mmに近いが正しいのかラフすぎて不明) レンズ構成が近いと収差も似ていることが多く、このレンズの描写も過剰補正タイプっぽい描写です。絞りを開けて撮るとフレアが纏わりつくソフトな描写、少し絞るとシャープな描写へと激変します。この変化の度合いは、たいていのクラシックレンズ以上の変化だと言って良いでしょう。描写の変化を作画に活かす、マニア向けなレンズとも言えるでしょう。球面収差はかなり大きな過剰補正だと思われます。

絞り開放F1.2のとき(Fuji X-E1で撮影)

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下の写真はF5.6に絞ったときです。フレアが激減しています。

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このようなレンズだと、絞りを変えることで描写を大きく変えられるため、どんな写真にしたいかの意図をもたせる事ができます。オールドレンズという言葉で思い浮かぶようなソフトな描写を、実際のオールドレンズ以上のソフトさで描写できます。


Meike 28mmF2.8 (for APS-C)

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5群6枚とのことですので、一眼レフ時代の50mmF2と似たようなガウスタイプの可能性が高いです。ガウスタイプでF2,8を設計すると過剰性能に近く球面収差も非常に凹凸の少ないS字カーブに出来ます。実際に使ってみても絞り込む必要を殆ど感じないくらい開放からシャープです。


全て絞りF2,8開放(Fuji X-E1で撮影)

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絞り開放でこれだけシャープなら、絞り込む必要は被写界深度が必要なときだけですね。25cmまで寄れるというのもすごく便利で、超小型軽量ということもあり気楽に使うにはオススメなレンズです。散歩時には前回のPergire25mmF1.8と、この28mmF2.8の利用率が多いです。

フジXマウント

ソニーEマウント


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