引き伸ばしレンズデータ集(ニコン編)
引き伸ばしレンズを撮影に使う場合に、どのくらいの長さのヘリコイドリングを使えば無限遠まで撮影できるかが判っていたほうが便利だと思いますので、手持ちの引き伸ばしレンズのフランジ面~像面までの距離、外形寸法、重量を測ってみました。
あくまで手持ちレンズ1個の実測であり、Ver違いなどによりフランジバック長が違うこともあり得ますので、このデータと違う個体もあり得ますことを了解願います。
EL-NIKKOR 50mmF4N (左:新タイプ)
EL-NIKKOR 50mmF4 (右:旧タイプ)
どちらもテッサータイプの3群4枚構成
コーティングはNはマルチコート、旧型はモノコートなので、コントラストはNのほうが優秀。解像度は差なし。テッサータイプとは言え、F4で設計されているため極めて高解像なレンズです。
フランジバック実測値はNタイプが43.6mm、旧タイプが45.2mmでした。
EL-NIKKOR 50mmF2.8N (左:新タイプ)
EL-NIKKOR 50mmF2.8 (右:旧タイプ)
Nタイプはガウスタイプ、旧レンズはエルニッコールタイプとレンズタイプは違いますが、どちらも4群6枚構成。エルニッコールタイプというのは、被写体側(印画紙側)はガウスタイプ、フィルム側はオルソメタータイプという、ガウスとオルソメターの折衷構成です。オルソメタータイプはガウスタイプと比べると、大口径化しにくいが高性能化しやすいという特徴があるので、中間的なものを狙ったのでしょう。下図はEL-NIKKOR 63mmF3.5というエルニッコールタイプの構成例です。
コーティングはNタイプはマルチコート、旧型はモノコートなので、コントラストはNのほうが優秀。解像度は実写では差なし。開放からかなり高性能なレンズです。 フランジバック実測値はNタイプが42.9mm、旧タイプが45.2mmでした。
EL-NIKKOR 80mmF5.6N (左:新タイプ)
EL-NIKKOR 75mmF4 (右:旧タイプ)
80mmF5.6はオルソメタータイプで4群6枚、75mmF4はテッサータイプで3群4枚とレンズタイプが違います。コーティングが違うのでNタイプの高コントラストが目立ちます。どちらも高性能なので、風景実写では解像度の差は以外に出にくいです。確か75mmF4もNタイプがあったと思いますが、持っていないので省略。フランジバック実測値は80mmF5.6Nが73.6mm、75mmF4が63.2mmでした。
オルソメタータイプとは、このようなタイプです。大判カメラの標準画角レンズの高級Verも大抵はオルソメターでした。標準画角程度で、大口径は要らない、高解像度は欲しいという場合に適したレンズタイプです。ほぼ前後対称構成ですので、拡大率(接写倍率)が変化しても性能が変化しにくいのも特徴です。そのため、テッサー型の75mmF4の仕様書では狭い拡大範囲での使用を推薦されていましたが、オルソメター型の80mmF5.6は使用条件として広い拡大範囲が書かれていました。
EL-NIKKOR 105mmF5.6N (左:新タイプ)
EL-NIKKOR 105mmF5.6 (右:旧タイプ)
どちらもオルソメタータイプで4群6枚。コーティングが違うのでNタイプの高コントラストが目立ちます。このレンズは超絶な映りをする高性能レンズなのでオススメなのですが、フランジバックが長すぎるので、レリコイドリングではフレアが出やくなり、できればベローズでの使用をお勧めします。旧タイプの後部リングは外せるのですが、M32.5p=0.5のため実用性は低いです。これは0番シャッター取付用。フランジバック実測値はNタイプが101.4mm、旧タイプが90.1mmでした。重さに大差があるのでNタイプがお勧め。
EL-NIKKOR 135mmF5.6N (左:新タイプ)
EL-NIKKOR 135mmF5.6 (右:旧タイプ)
どちらもオルソメタータイプで4群6枚。コーティングが違うのでNタイプの高コントラストが目立ちます。このレンズも超絶な映りをする高性能レンズなのでオススメなのですが、ベローズでの使用をお勧めします。フランジバック実測値はNタイプが120.1mm、旧タイプが123.6mmでした。重さに大差があるのでNタイプがお勧め。
まとめの表
ミラーレスカメラに取り付けるときの、フェリコイドリング長さの目安
薄型M42リングの厚さは、あくまでよく見かける製品の一例です。
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便利グッズの紹介
引き伸ばしレンズのL39をM42に変換するリングです。
ニコンFマウントのベローズ
ニコンのベローズにM42レンズを付けるときに使うリングですが、引き伸ばしレンズのL39にL39-M42リングを付ければ引き伸ばしレンズを付けられます。
ニコンZマウントのカメラを使っているならこれが便利
ニコンZマウントにソニーEマウントのレンズやベローズが付けられます。Zマウントのアクセサリーは少ないので、ソニーEに変換してからZにするのも手です。