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引き伸ばしレンズデータ集(フジ編)

前回、ニコンの引き伸ばしレンズについて実測Fb値などを載せたデータ集をUPしましたが、その記事の続編(フジ編)です。
国産引き伸ばしレンズでは、ニコンとフジが双璧を成していたと思っています。

前編にあたるニコン編はこちら
https://note.com/lensculinaris/n/n690192cd6ffc
  
撮影に使う場合に、どのくらいの長さのヘリコイドリングを使えば無限遠まで撮影できるかの参考になると思いますので測ってみました。
   
あくまで手持ちレンズ1個の実測であり、Ver違いなどによりフランジバック長が違うこともあり得ますので、このデータと違う個体もあり得ますことを了解願います。また、測定できたのは手持ちレンズだけですので、有名レンズでも抜けているものがあることは了承願います。

フジノンEX 50mmF2.8(左) 最終Ver高級型
フジノンEP 50mmF3.5(中) EXより前の高級型    
フジノンES 50mmF4.0(右) 最終Ver普及型

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フジノンEXシリーズはフジ製引き伸ばしレンズの最終完成形とも言えるレンズで、50mmF2.8のレンズタイプはガウスタイプの4群6枚構成。引き伸ばし機側から絞り目盛りに光線が導かれて引き伸ばし時には絞りが見やすい便利なレンズです。またレンズ前枠を外すことができるので、逆付けして拡大撮影するときに便利なレンズです。ベローズに逆付けして拡大接写をする場合はEX50mmF2.8が最高の選択肢となります。コートもマルチコートなので、撮影に使ってもゴーストが出にくいため、撮影に使うにはお勧めな引き伸ばしレンズシリーズです。46mmフィルターネジ有り。

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フジノンEPシリーズはEXシリーズが出る前のプロ向け引き伸ばしレンズで、レンズタイプはガウスタイプの4群6枚構成。他のサイトでは構成図付きでオルソメタータイプの4群6枚構成と紹介されているところもあるので、前期型/後期型が有るのかも知れません。たいていはレンズと延長リングがセット販売されており、引き伸ばし機にあわせてフランジバックを変えることが出来ました。コートはモノコートなので、ゴーストがやや出やすく、低コントラストになることもありますが、解像度は一流です。延長リングを外すとレンズ後部がかなりカメラ側に食い込む感じになるので、長めのM42ヘリコイドが使えるのは便利です。

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EXとEPの50mmはどちらもガウスタイプなので、どちらのレンズも解像度は大差ありません。

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EX50mmF2.8での作例 F2.8開放 NikonZ6

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フジノンESシリーズは普及タイプの引き伸ばしレンズで、レンズタイプはテッサータイプの3群4枚構成ですが、あえてF値を暗めで設計されている結果、侮れない高解像度を示します。コートはモノコートなのですが、レンズ枚数が少ないためEPよりもゴーストがやや出にくい傾向があります。特にこのES50mmF4.0は、レンズが奥まった位置にあるのでフード内蔵と言っても良い鏡筒構造なので逆光でもきちんと写ります。

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フジノンEX 75mmF4.5(左) 最終Ver高級型
フジノンEP 75mmF5.6(中) EXより前の高級型    
フジナーE  75mmF4.5(右) フジノンESの前の世代の普及型

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フジノンEX75mmF4.5フジノンEP75mmF5.6はともにオルソメタータイプの4群6枚構成のプロ向け高級レンズ。このEPも後部リングは外せます。フジナーE75mmF4.5はフジノンESの前身とも言える3群4枚のテッサータイプのレンズ構成。プリセット絞りになっているので、引き伸ばしで使うには使い勝手が良い構造ですね。
撮影に使うならベストはEX、次点はES(前身のフジナーE)。EPは逆光に弱いのが目立つので対策に手間取りますが、解像度はEXと大差ない高解像度です。逆に言うと、低コントラストに仕上げたいときにはEPを選ぶのがベストです。


フジノンEP 90mmF5.6(左) EXより以前の高級型    
フジナーE  9cmF4.5(右) フジノンESの前の世代の普及型

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フジノンEP90mmF5.6はオルソメタータイプ4群6枚、フジナ-E9cmF4.5はテッサータイプの3群4枚。
フジナーEは前期型と後期型があり、これは前期型。後期型は前に出した75mmF4.5のような2リング式のプリセット絞りですが、前期型はバネ抑え式のプリセット絞りでした。


フジノンEP 135mmF5.6(左) EXより以前の高級型    
フジノンES 105cmF4.5(右)  最終Ver普及型

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フジノンEP135mmF5.6は4群6枚のオルソメタータイプ、フジノンES105cmF4.5はテッサータイプの3群4枚。どちらもFBが長いので、ヘリコイドリングを使うと筒内の内面反射が目立ってしまいコントラストが落ちるのでベローズ併用をお勧めします。あえて低コントラストを目指すならヘリコイドリングを使うのも有りですが。このくらいの焦点距離になると、背景がボカせるので背景処理が楽になります。
ES105mmF4.5での作例 F4.5開放 Sony α7Ⅱ

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フジノンEXとエルニッコールがお勧めな、もう一つの理由
細かい理由からですが、引き伸ばしレンズを撮影に使うならフジノンEXとエルニッコールが断然オススメです。実はフジの引き伸ばしレンズはEXシリーズを除いてフィルターネジが切られていません。フィルターなんて使わないから関係ない、、、わけではありません。レンズフードもキャップも付けられないので、逆光対策には手間取るし、キャップが付けられないため携帯するには不便を伴います。おまけに単層コートのEPシリーズは逆光に弱い。。。
EXシリーズやエルニッコールだとフードが付けられるし、フジノンEXシリーズやエルニッコールNならレンズがマルチコートなので元々逆光に強くフレアも出にくい。使い勝手では大差があります。

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フジノンEXを撮影に使う前にやっておくこと
レンズのF値/焦点距離が書いてあるところの上に、出荷時には透明部分が位置しています。この下は空洞になっていて、レンズ横の絞り目盛りのところにつながっています。このままだと絞りに当たった光線が撮像面まで来てしまいますので、3本のネジを回して透明部分が遠いところに向くようにしておきましょう。

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Fb実測データ集

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参考   各社ミラーレスカメラのFb基準値

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撮影に引き伸ばしレンズを使うときの使い方解説はこちら

前編にあたるニコン編はこちら

シリーズ格納庫





便利グッズの紹介

引き伸ばしレンズのL39をM42に変換するリングです。

ニコンFマウントのベローズ

ニコンのベローズにM42レンズを付けるときに使うリングですが、引き伸ばしレンズのL39にL39-M42リングを付ければ引き伸ばしレンズを付けられます。

ニコンZマウントのカメラを使っているならこれが便利
ニコンZマウントにソニーEマウントのレンズやベローズが付けられます。Zマウントのアクセサリーは少ないので、ソニーEに変換してからZにするのも手です。



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