婚活ネタについてあれこれ


 婚活物に興味を持ったきっかけは、

「私自身が『35歳以上の女性は男性との成婚率がとても低い』という説の当事者だったこと」
「当事者として、そういう言説にとても落ち込んだ事」
「落ち込んだけど、なんとかなったし、なんとかなってる人に特別な美貌や能力のない私のような人がいる事」
「その人達が成婚した理由から、35歳以上の女性の成婚率の低さを覆せるのではないか」

そんなふうに思ったから。

 しかし私の身の回りで35歳以上で男性と結婚した女性にも色々特徴があるように思った。共通するのは以下。(特別な長所の持主も含めて共通点を挙げる)

・容姿は十人並みかそれ以上(体型は太過ぎず痩せ過ぎず)
・高卒以上の学歴
・男性との恋愛経験がそれなりにある。あるいは、男性との関わりにトラウマがない。
 (数年間以上の交際経験が複数あり)
・年収200万以上の収入がある。
・会社員
・男性とのコミュニケーションに積極的(選り好みしない)

 そしてその後、婚活本を何冊か読んでいて思った。もしかしたら、この基準自体が「人並み」ではなく、「高め」なのかも知れない。
 この中で容姿の問題は、私にとっては割とハードルが低いと感じた。美人は非常にモテるが、美人でない人も、「不潔」「不気味」「かなりの肥満」という極端な状態でなければ大体数の男性から嫌われることはまずない。また、元の造形はともかくナチュラルメイクをして淡い明るい色の無難な服装をしていれば、「外見に難あり」とはあまり思われない(ようだ)。中には「美人以外はいや」と考える男性もいるが、そういう人は35歳以上婚活女性のターゲットから外していいと思います。
 難しいのが、学歴と年収。
 これは現在、個人の努力でどうにかなる範囲を超えていると思う。私は、世の中中卒が大多数でも豊かに暮らせる位がいい経済状況だと思っている。また、保護者の経済状況にかかわらず本人が望めば進学できるようになってほしい。

 そして落ち着いて考えて、もうともかく「結婚」のハードルの高さに驚いた。そりゃ生涯未婚率も上がる。
 女性が働いていることや年収が目安になるのは、平均初婚年齢が上昇している事と相関だと私は思っている。若い内は相手が何者でも割と「この人とやって行こう」とその気になれるらしい。私自身もそうだった。結婚についてそんなに深く考える必要がなく結婚する気になれる。新しい環境への移動が心の負担ではないのだ。しかしこれが30歳を超えると、心が固くなって保守化する。それまでの環境との変化(主に不便、不自由になること)を受け入れることが「大変なこと」になって来るのだ。そうすると、フルタイムで働いている男性が似たような人と結婚したいと思うことは想像できる。私自身、自分が会社勤めが長くなった頃に、学校卒業後に会社勤めをほぼした事のない男性と話していて感覚の隔たりを感じた。それは、私が子供の頃に父親に感じていた「当然のように出勤し、当然給料を得、その給料は当然年々増え」という間違いのない信頼を逆の立場で初めて見るような隔たりだった。私の父の世代である「昭和の父親」がどういう経済活動をしていたのか、確かに私にもわからない。しかし、「会社員だったことがない」「経済面は保護者から与えられた」人から「私の経済面を支えてくれるよね。当然だよね」と無邪気に疑いのない目で見做される事は、今の時代、本当につらいのだ。この気持ちを汲んでくれない人との家庭生活は無理だと私は思っている。

 そして、更に難しさを感じたのが、これらが揃い結婚願望を持っていても結婚していない女性もいた事。容姿も美人に類する人もいる。彼女達が何故結婚しないのかは私にはわからない。あまりその点について話を聞いたこともないのだ。

 婚活について書かれた本で私が最も説得力を感じたのは、白河桃子、山田昌弘共著『婚活時代』(ディスカヴァー携書)だった。この本によると、「(ほぼ)全員が結婚する」という昭和の状況と、平成の現在は全く結婚に向けた社会の状況が違っている、という。いわゆる「普通にしていれば普通に結婚する」社会だった昭和と、「普通にしているといつまでも独身」の平成。大きいのは、周囲が世話をして結婚までお膳立てしてくれる昔ながらの「見合い」が廃れたことと、会社が「総合職(男性)」「一般職(女性)」という採用をして一般職を総合職の嫁候補として雇っていたことが平成でなくなったこと。そして、男性を雇うということは、企業の側も「いずれ一家の大黒柱」と見做してそれなりの給料を設定していたこと(設定できる景気だったこと)。
 このかつての環境が崩壊しているのに、個々人の認識は「普通にしていれば普通に結婚する」とかつてのまま。しかしこの潮目を読み取るのは個々人には至難の業だと私は思う。

 個々人に出来る事、から考えれば、「受け身がよし」とされて来た女性が身の振り方を変える事。結婚したい気持ちがあるなら、その目標の達成のために出来る事をする。それは、かつての男性のように能動的に結婚相手を探し、自分から求めて行く事。
 これを「ガツガツして」と揶揄する昭和おばさんがいるところにはいるのを私も知っている。その攻撃は絶えずこちらの自尊心を痛めつけて来てつらい。非常につらい。でも、そんな他人の目線で引っ込んで自分の一生を棒には触れない。「今時はこうなんです」「私は私の幸せのために生きます。あなたもそうしているでしょう」だ。

 そしてこの「どうすれば女性が自分から行けるようになるか」は、私はやはり『妖怪男ウォッチ』のぱぷりこさんのブログや(『なぜ幸せな恋愛・結婚につながらないのか 18の妖怪女子ウォッチ』文藝春秋)をお勧めしたい。

 また、私は「成婚を目指す」よりも、「一人で幸せに生きるには」を充実させる方が良いように思い始めた。女性が結婚相手に求めるものの多くが経済力である場合、それは結婚相手ではなく経済力で解決する問題というのが本質だと思う。結婚を選択しなかった人が一生涯を幸せに暮らせるように。そちらについて考えていく方が良いように思った。

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