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全力でおすすめしたい映画

※2018年の記事です

2018年の夏、多くの人の心を掴んだこの作品の存在を私が知ったのは、友達が試写会に行った話をしていた時だった。彼女は無類の映画好きで、彼女のスマホに入っている映画鑑賞記録用アプリには大量の映画鑑賞の記録が記されている。きっとそのリストは、今も次々と更新されているんだろう。そこには、私がネットで「絶対に見るべき映画」「死ぬまでに見たい映画」と検索して(私も高校生の時、一人部屋で映画を見ては大爆笑したり大号泣したりしていた)上位に上がってくるような、モノクロ映画時代の名作もチラホラあった。
でも、出ている俳優でその映画を見るか決めることが多い私は、ほとんどその時代の映画を観たことがなく、大学1年目のフィルムスタディーズのクラスで何本かその時代の映画を観た時も「この撮影方法がどこで使われているか着目して観てね(by教授)」という感じだったので、話の内容に全然入り込めなかった。

だからそのリストを見て、彼女は本当に「映画」が好きなんだな、と思った。

そんな映画好きの彼女が、ある作品の試写会に行ったと言う。どうやらそれは同性愛が描かれている映画らしく、彼女曰く「めちゃくちゃ良かった」らしい。ただ、中には濃い性描写のシーンもあるらしく「お父さんと行ったから、気まずかった」と笑っていた。

面白そうだなと思いながらも、俳優のことは知らないし(俳優で観る映画を決めがちなミーハーです。)めちゃくちゃ見たい欲は湧かず、暫くしてその映画のことは忘れてしまっていた。

そんなある日、本屋さんに寄った時に「あの雑誌」を見つけた。

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「だれだこのイケメン」と思って雑誌を手に取りパラパラしていると、彼の出演作品欄に、彼女が言っていたあの映画が載っていた。
「あぁ、この人の作品だったんだ」なんて思いながらインタビュー記事をチラ見したりしてページを遡っていると、彼に関するページの中で、1ページ目は文章だけしか載っていなかった。どうやら映画に関するコラムらしい。

始まり方は「拝啓 ティモシーシャラメ様」。

私はこの、今時なかなか無い手紙の始まり方が特に印象に残っていて、すぐに文章の雰囲気が好きになった。更に読み進めると、それはある女性が、ティモシーシャラメの演技と彼が演じた役に向けて綴ったラブレターだった。残念ながら、私の手元にはその雑誌が無いので一文も引用出来ないのだが、文章を読んであそこまでワクワクしたのは生まれて初めてだった。

彼女は「もしも今の自分が、劇中のあなたと同じ位の年齢だったら、あなたのどこに惹かれて、あなたと知り合うために◯◯をして、、」というようなことを書いていた気がする。それは、ドキドキして、愛情に溢れていて、少しクスッと笑っちゃうような、でも、彼の役と演技の魅力を十二分に伝えてくる文章だった。
「誰がこんな文章を書くんだろう」と思って作者を見てみると、そこには"山崎まどか" とあった。

これは帰って調べなければと思いつつ、その雑誌を買うかめちゃくちゃ悩み、「でも1つの文章に700円はちょっとな。。」と店を後にした。だけど今となれば、あそこまで心がワクワクする文章に出会ったのは人生で初めてだったから、買うべきだったなあ、と後悔している。

映画のチケットは帰りの電車で予約して、翌週見に行ったのだが、もうそれはそれは素敵だった。役者も音楽も映像も、全部が全部、映画の世界観にハマっていて、何一つとしてそれを乱さず、むしろそれぞれがお互いの良さを最大限に引き出し合っていて、すっかり視覚と聴覚と感情が引き込まれてしまうような作品だった。まだの人には是非見てもらいたい、本当に素敵な映画だった。

山崎まどかさんの話に戻ると、彼女はコラムニスト、ライター、翻訳家として活躍されていて、去年も、書評エッセイ集「優雅な読書が最高の復習である」を出版されている。

タイトルもめちゃくちゃクールだし、何よりもあのラブレターのように、彼女の愛に溢れる書評が読めるかと思うと、凄くワクワクするが、カナダに持ってくるにはなかなかの重さだったのでまだ買えていない。(カナダ行きのスーツケースは常に重量ギリギリなので。笑)

でも、あの本屋さんに行って、あの雑誌を見つけて、友達が良いと言っていた作品のコラムに興味を持って、そこで初めて山崎まどかさんのことを知って、彼女の文章を読んで物凄く映画が観たくなって、、、、、という小さなことの巡り合わせが、こんなに素敵な作品や人の存在を知るきっかけになることって凄いなと思うし、こんな巡り合わせがこれからも色々あるのかと思うと、凄くワクワクする。

ちなみにこれは去年の夏のことで、それ以来こういう、お気に入り・オブ・お気に入りの作品や人にはまだ3つしか巡り会えていないので、もっと自分を外の世界に触れさせて、その頻度を増やして行きたいな〜と思うこの頃です。

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