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室内での『アルコール消毒の影響』を測定してみた。

私の使用する空気質測定器ではHCHO(ホルムアルデヒド)が測定できますが、その測定結果にはエタノールが含まれる可能性があります。

測定器を買う際にはそれを認識しておらず『なんてこった…』ではあったのですが、逆に考えると『エタノールが測定できる!』ということ。

既に『アルコール消毒ジェルを使った際に測定器のHCHO値が上昇する』ということは確認済みですが、その際はいろいろと雑だったので、今回それなりに条件を定めて測定し直しました。(暇かよ。)

結果、数値上昇及び一定時間その場にエタノールが留まることが確認出来ましたので、記事にしておきたいと思います。結構影響は大きいと思いますよ。


◆無人室内での放置テスト

『誰もいない6畳程度の室内で、薄く伸ばしたアルコール消毒ジェルを1時間放置』という条件での結果が以下です。
(下図の『HCHO』は『エタノール』と考えてください。)

室内空間でのアルコール消毒ジェルの影響
室温15±1℃ 湿度28±2%
横軸:時間(1時間)
縦軸:濃度[mg/m^3]
HCHO:エタノールと仮定
TVOC:総揮発性有機化合物

急上昇し、徐々に下降している様子が見られます。
15分程度で最高値に達しています。

最後のほうでまた急上昇していますが、これは私が部屋に入ったことで空気が大きく動いた為と推測します。

部屋に入って数値確認し、すぐに出ただけなんですけどね。

その後データが切れているのは『機器が1時間で自動オフするらしい』という仕様を知らなかったためです。もうちょっと測りたかったんですけど。


◆試験条件

各条件は以下です。

  • 測定器
    Temtop LKC-1000S+ 2nd

  • アルコール
    アルコール除菌ジェル(75%と記載)を1プッシュ

  • ビニール袋
    A4程度のPP製

  • 空間
    6畳、高さ2.6m程度
    (多少隙間などあるので、完全な密室ではありません。)

  • 環境条件
    無人、換気無し、エアコン等の影響無し。

  • 測定器設置位置
    中央からちょっと壁寄り、高さ1m程度

  • アルコール設置位置
    床に置いたビニール袋表面
    (測定器とは直線距離で1.5m程度離れている。)

  • 塗布方法
    ビニール袋表面にジェルを出し、ビニール袋を折り合わせて出来るだけ薄く伸ばしておく(この作業は室外で行う)。設置時に広げる。


◆所感

ヒトが入った際に再度急上昇していることからも、低い位置に高濃度のエタノールが留まっていることが予想されます。

時間経過による数値低下要因としては、以下が考えられるでしょうか。

  • 隙間からの流出

  • 低い位置への沈殿

  • 壁など環境への付着

  • 化学反応による変性(不明)

特に沈殿については、再度の急上昇という結果から『空間自体の総量は時間が経っても大きくは減少せず低い位置が高濃度になっていった』という可能性を推測します。

なお、攪拌された場合に空間全体がそれなりの高濃度になることが予想されますが、エアコン以外の攪拌の手段を用意できなかったため、今回の試験では諦めました。


◆アルコール消毒後の入室テスト

さて。

ついでにシェディングの逸話である『ヒトが入室後のHCHO/TVOC値の上昇』についても試験しました。結果は以下です。
(下図の『HCHO』は『エタノール』と考えてください。)

室内空間でのアルコール消毒(ヒト)の影響
室温22±2℃
湿度25±2%
横軸:時間(25分)
縦軸:濃度[mg/m^3]
HCHO:エタノールと仮定
TVOC:総揮発性有機化合物

入室後1分程度はほぼ変化無しでしたが、その後急上昇しました。
5分後、数値が低下しだしたため退室。

無人のまま徐々に数値が低下していたようですね。エアコンが結構濾過しているのでしょうか。
(傾向は予想出来たので試験は25分で打ち切り。)

影響はアルコール消毒後の入室までの経過時間で変わると思いますが、今回は30秒です。もちろん消毒は部屋の外(3mくらい離れた場所)でやりました。

◇◇◇

試験条件は『無人放置』から以下を変更しました。
なお、実環境を想定し空気を攪拌するためエアコンを有りにしています。

  • 環境条件
    換気無し、エアコン有り。
    消毒ジェル使用後のヒトが入室。

  • アルコール設置位置
    ヒトの手指(測定器から2m程度)
    5分後、最高値からの低下を確認後退室した。

  • 塗布方法
    1プッシュ分を30秒手に塗り込み後入室
    (室外で塗布する。その際、ドアは閉めておく。)


◆おわりに

『シェディングの逸話のファクトチェック』みたいな記事になってしまいましたが、私はシェディングという現象を否定するつもりはありません。

実際に健康被害を体験してますし、これまでの測定結果と症状から『測定したHCHOが本当にHCHOであった可能性』も捨てていません。

ただし、様々な状況の中で『アルコール消毒』の影響はあるのではないかと考えています。

計測されたTVOCは決して低い数値ではありません。
TVOCの暫定目標値は 0.4[mg/m^3]で、今回の結果はそれを余裕で超えています。

◇◇◇

これまで私は『アルコールは短時間で揮発し無害に近くなる』と思っていました。

しかし、今回の結果から『結構その場に留まる』ということが確認出来ました。(そもそもエタノールが空気より重い事も知りませんでしたが。)

几帳面な方は自宅の玄関先などでアルコール消毒を行っているかもしれませんが、やるにしても換気は徹底されたほうが良いかと思います。

ではでは皆さんもお気をつけて!

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