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スーパースプレッダーの謎、答えは『細菌』か?
新型コロナでたびたび噂される『スーパースプレッダー(感染力の強い人)』という存在。
単によく喋るとか発声時の飛沫排出量が多い特性を持つ人だと思っていましたが、細菌が関係しているかもしれません。
今回は関連する研究のレビュー記事をご紹介します。
(ただし、研究はインフルエンザウイルスによるものです。)
◆記事引用
Medical Xpress というサイトの記事から一部引用します。リンクは以下。
JUNE 26, 2024
インフルエンザの感染力が強い人がいる理由を科学者が解明
by Rebecca Mosimann, Ecole Polytechnique Federale de Lausanne
ヒトの腸内細菌がウイルスを安定させ、長生きさせることはすでに広く知られている。しかし、LEVの研究者であるシャノン・デイビッドは、人体から排出される飛沫の中で、呼吸器系の細菌が同じような保護的役割を果たしているのではないかと考えた。
それを調べるため、彼女と同僚たちは2種類の実験室実験を行った。ひとつは、くしゃみをしたときに発生する飛沫に似たものを作り、室内の空気にさらされた平らな面に置いた。ある飛沫にはインフルエンザ・ウイルスだけが含まれていたが、他の飛沫には呼吸器によく見られるバクテリアも含まれていた。
科学者たちは飛沫を乾燥させ、感染したウイルスの量を経時的に測定した。細菌を含まない液滴では、30分後にはウイルスはほぼ完全に死滅していた(99.9%)。ウイルスとバクテリアの両方を含む液滴では、感染性ウイルス量はこの同じ時点で100倍となり、ウイルスは何時間も生存することができた。
二つ目の実験では、空気中に浮遊する粒子状の飛沫の感染性ウイルス量を測定した。この実験では、ウイルスだけを含む粒子は15分後には感染力を失っていた。しかし、細菌を含む粒子では、1時間後もウイルスは存在していた。
安定化効果が最も大きかった菌種は、黄色ブドウ球菌と肺炎球菌で、どちらも呼吸器官に常在していた。
More information: Shannon C. David et al, Stability of influenza A virus in droplets and aerosols is heightened by the presence of commensal respiratory bacteria, Journal of Virology (2024). DOI: 10.1128/jvi.00409-24
Journal information:Journal of Virology
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.07.12 引用]
https://medicalxpress.com/news/2024-06-scientists-reveal-people-flu-contagious.html
◆所感
私は『ウイルスの不活化速度とその影響因子』に興味がありますが、今回の研究はその洞察を深めるものです。
今まで『乾燥が早いほどウイルスの不活化は早い』と考えており、エアロゾルに細菌等の不純物が含まれる場合、不活化までの時間は長くなるだろうとシンプルに推測していました。
しかし、ポリスチレン粒子ではあまり不活化を促進しないことから、生きた細菌であることが重要な因子であることを示唆しています。
むしろ細菌の存在は表面的な乾燥を早め、それによる白華と潮解が不活化速度を遅らせるとしています。
ただし、試されたのが実験環境であることには注意が必要です。ヒトでも比較的容易に確認が可能な気がするので、今後そのような研究を期待したいですね。
◆おわりに
今回の研究結果を踏まえるなら、感染者の排出するエアロゾル中の(生きた)細菌含有率が高いほど空気感染リスクは高まると言えそうです。
日常生活に応用するのは難しいですが、たとえば自らの感染が疑われる際に口腔環境を清潔にしておくことは、周囲への感染リスクを減らすことに繋がるかもしれません。
その場合、マウスウォッシュが手軽で良さそうですね。
(ただし、やり過ぎると悪影響があるかも)
興味のある方は以下をどうぞ。
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