あのクズを殴ってやりたいんだ 10話 最終回 感想
最後まで視聴し、好きなドラマでした。
結末は誰もが予想する通りにはなりました。
佐藤ほこ美(奈緒)がクズ(という設定。逃げ込みクズ)の海里(玉森裕太)を前向きに立ち直らせるために殴る(という心意気)ため、
ボクシングの試合に出ます。
約束通り写真を撮りに来て欲しいと。
海里は試合に駆けつけ、負けそうになっているほこ美に声をかけ、ほこ美は勝利する。(お約束ですね。)
2人はハッピーエンド♥️
ほとんどの視聴者の予想通りとなり、意外性はありませんでした。
でもセンスは感じさせてくれました。
最終回にキスシーンは無かった。
そこを物足りなく思う視聴者もいるでしょうが、私はすごく良かったです。
キスシーンは前に描かれています。
初めはクズの海里がほこ美を落とすために仕掛けた「嘘のキス」
そして海里がほこ美を好きになり、前向きに生きる決断をしたターニングポイントの「本気のキス」
これでじゅうぶんです。
試合の後、海里がほこ美を抱きしめ、おでことおでこをくっつける幸せそうな二人の笑顔が素敵でセンス良く、あの場でキスまでしたら台無しでした。(ハリウッド映画ならキスするかもね。)
✨✨✨✨✨
3ヶ月後、ラストシーンの海里の写真展で
ほこ美の試合のパンチをきめた瞬間の写真が飾られ、
海里「この写真が一番好きだな」
そしてほこ美がボクシングの練習で忙しいことを淋しがり、(以下、二人の声のみ。)
海里「俺よりボクシングの方が好きなんじゃないの?」
ほこ美「わかってるくせに。」
海里「パンチつよ」
いちゃつきながらも、タイトルでもある「殴る」を「意味」だけでなく「行動」として本当にしたんだな、とわかります。
もちろんタイトルがこじつけっぽいのは百も承知ですが、
甘々なキスして終わらせるより、センス良く感じました。
写真展の入り口には花が飾られ、
写真の師匠であるスポーツカメラマンの朝倉さんからの大きな花があり、海里は一度は写真から逃げたけど朝倉さんとの関係性も良好であると一発でわからせ、
朝倉さんの花よりさらに負けずと大きい羽根木ジムからの花があり、
海里を息子のように大切に想っている羽根木ジムの会長(渡部篤郎)の顔が浮かびます。
ほとんど儲かってなくてカツカツのジムなのに、大きな花を贈って無理しちゃったんだろうな、無理したかったんだな、と想像して微笑ましい気持ちになりました。
✨♥️✨♥️✨♥️✨
大葉(小関裕太)がボクシングジムに入会し、まんまと入会記念に会長からTシャツも買わされて、
始めたきっかけはほこ美にふられたモヤモヤの爆発だが、意外といいバンチをしていました。
大葉「もっと知りたいんです。ボクシングのこと。ゆいさんのこと」
なんて言ってのけて、ゆい(岡崎紗絵)が照れたような笑顔を見せるのもセンスが良いです。
「もっと知りたい」というのは相手に興味があるってことで恋愛が始まるためには欠かせないステップですが、
「もっと知ったあげく」恋愛に発展しないこともあり得ます。
それはそれで良く、ドラマとしては恋愛に発展しそうな雰囲気だな♥️と思わせるだけでニヤニヤするし、そこらへんに止めるくらいがちょうど良いです。
ゆいさん好きです、まで行っちゃうと興醒めですから。
✨♥️✨♥️✨♥️✨
そして相澤悟(倉悠貴)の件。
これもセンス良かったです。
お墓参りで待ち伏せした海里が悟に会って頭を下げ、自分も前向きに生きるから悟も自分の人生を生きて欲しいと言います。
悟「俺はあんたのことなんか大嫌いだ。消えてくれ。」
海里「元気でね」
悟は海里を本当は憎めない相手だと思う時間があったにしても、海里と再び兄と弟のように親しくすることはできないでしょう。
ここで和解して仲直りするのは興醒めでやり過ぎになります。
でも海里が言う通り、「俺はお前といた時間の全部が嘘だったとは思えない」のは悟も同じであり、
最後に二人で過ごした部屋に悟は舞い戻り、
壊れた引き出しを直して、一緒にアイスを食べたスプーンを一つ持ち帰り、海里が母に償いとして渡し続けてきた通帳を置いて帰ります。
これで悟は海里への監視という名の愛憎まじりの執着を捨て、新たな自分の人生を「前進」させていくのだと思います。
「前進」は海里の写真展のタイトルですね。
海里の前進であり、悟の前進です。
♥️✨♥️✨♥️✨♥️
撫(玉井詩織)はほこ美に謝りました。
「クズだよね、私。私はほこ美がちょっと羨ましかっただけ。でもほこ美が怪我したって聞いた時、ざまあみろって思えなかった」
ほこ美は撫とのランチが5回位面倒だと思ったことがあるから自分もクズ、と言いました。
心で思うくらいでクズだったら誰でもクズだし、実際に会社で嘘までついてほこ美を陥れようとした撫とレベルが違いますよね。
撫の悪意ある行動は私ならもう信用できないけど、撫の気持ちは人間の本質的なものなので理解できます。
人間って恋愛でも仕事でも受験でも自分が勝てないと思える相手に負けても、そりゃそうだ仕方ないねって納得できるけど、
自分の方が上だと認識している相手に負けると、なんか悔しくて許せない気持ちになる傾向があると思います。(だからって悪意の行動はしないけど。)
撫はほこ美より女子力が上で綺麗だと思っていて、なんならほこ美は自分の引き立て役くらいに思っていたのに、実際は自分がほこ美の引き立て役になっちゃってるんで、納得できなくて悔しかったと思います。
そこに悟の悪魔の囁きがあり行動しちゃったんでしょう。
反省したみたいです。
「私の情報網なめないでくれる」の撫のおかげで
あっけなく海里が見つかりましたね。
✨♥️✨♥️✨♥️✨
サイドストーリーをまとめて視聴しました。
本編以外の情報に引っ張られたくなかったので、最終回の後にしました。
すると心理合戦みたいなことが舞台劇っぽい空間で行われ、展開に意外性もあり、とても面白かったです。
✨✨✨✨✨
撫の悩み、ほこ美の妹のさや美(鳴海唯)との友情の芽生えも面白く、
本編では存在感の薄い同僚の小島俊(浅野竣哉)の狂気的な面が描かれて面白かったです。
一番見どころがあったのは大葉の心の闇が小島によって引きずり出されていくところ。
つまんない男と思われているんじゃないかというコンプレックスや、つい優等生的ないい顔をして好ましく思われようとしてしまう葛藤など、銃の引き金を引くという究極の行動をすることで鮮やかに描かれていました。
本編でも大葉のこういう面が描かれていたら、さらに面白く深みが出たんじゃないかと思います。
ある意味、ほこ美と後半の海里がわかりやすいキャラ行動なので。
本編でゆいに「ちょっと面白いんです」と言われて大葉は嬉しかったんだろうな、とサイドストーリーを視聴して理解が深まりました。
♥️✨♥️✨♥️✨♥️
読んでくださり、ありがとうございます。
また面白いドラマや映画を視聴したら感想を書きたいと思います。