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この想いをどう言葉にしていいかわからない6

眠りの中の記憶の何処かに、寝返りをしたわたしを後ろから抱きしめてくれる彼がいた。その背中から伝わる熱と呼吸の音でまた深い眠りについて、次に目が覚めた時に彼は隣にいなかった。

少しの不安にさらわれて飛び起きて彼を探す。隣の部屋でソファーに座りテレビを見ながらマグカップで珈琲飲んでいた彼の後ろ姿にホッとして頬が緩む。彼は振り向き「おはよう」と言い、ソファーをポンと叩く。その手につられるようにわたしは彼の隣に座り、彼が差し出したマグカップを受け取った。

ブラックコーヒーが好きだ。

甘くなくて、現実帯びてる。

何も言わなければ何も起こらない。わたしから何か言わなくてはいけないのも、去る者は追わず主義の彼のことも全部わかっていた。


言わなきゃいけないことはわかっていたのに、結局わたしは何も言えずに東京から戻ってきてしまった。

帰ってきて1週間は彼のぬくもりが恋しくて連絡も電話もした。それが続かないものでも1分でも声が聞けるのが嬉しくてそれだけで良かった。

2週間目になるとまた不安になって、彼からくるラインを期待して、落ち込んで、だから忙しくしようと決めて予定を入れて気づかないようなしてた。実際彼がいなくても人は普通に生活できることもこれまでの恋愛で十分にわかっていた。あんなに嫌だった実家も慣れるものだなと実感する。

そう、だからか。わたしは

好きなのかもわからないZONEに突入した。

会ってもいない、話もしない、恋人という不確かで曖昧な関係。

「結婚する未来なんてない人間と付き合って遠距離恋愛なんてする必要ある?時間の無駄じゃない?」と言った友達の言葉がよぎる。

遠距離恋愛ってそもそもわざわざ別れを言う必要ってあるのだろうか?

自然消滅。穏やかな時間の流れの末路。

それでも貴方のことが好きで必要だから一緒にいたいと言える勇気が今の私には無い。ごめんね

(帰る前にそれを言った時に「自立してね」って返ってきた時、ちょっぴり絶望した。けど明確な事実でした。でも嘘でもいいから、一度でいいから「行かないでほしい」って言って欲しかったんですよ)

堂々巡りですね、ほんとに


続く

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