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この本との出会い⑤ 『こねてのばして』

ヨシタケシンスケ著

ときどき絵本を読みます。

単行本や文庫本をもう一度読み直すのにはちょっと時間がかかりますが、絵本であれば簡単に読み直せます。

ひたすら考え事が頭から離れなかったり、忙しくて余裕のないときのちょっとした気分転換の方法の一つが絵本を読むことです。といっても、持っている絵本のすべてのヨシタケシンスケさん作のものです。

かわいい絵と、ユーモアに溢れた文章で作られている彼の絵本は、こどもが楽しめるのはもちろんのこと、むしろ大人が共感できるような、ときおりブラックなこともサラッと書いてあるところが気に入っています。

「こねてのばして」は、一人の男の子がピザ生地かうどんの生地のようなものを、一生懸命こねているような絵と、短い言葉がリズムよく並べられている絵本です。具体的に何の目的で何を作っているのかを分からない。ただ、男の子は楽しんでいる。

身についてしまった固定観念で物事を見る傾向が年々強くなってきます。何かをするときには、効率とか損得とかが物事の判断の基準になっていることがほとんどです。

何かをするときに、もっとキレイにとか、もっと早くしようとかいう目論見をちょっと脇に置いて、「ただ、する」という行為そのものを単純に楽しむと、結果的に早くキレイに出来上がってくるものなのでしょう。そして、この絵本の男の子のように可愛くなれるのでは、と思ってしまいます。





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