はがね0418

筋腫や腺筋症の組織内へのマイクロ波照射の効果について書いていきます。筋腫や腺筋症に伴う…

はがね0418

筋腫や腺筋症の組織内へのマイクロ波照射の効果について書いていきます。筋腫や腺筋症に伴う過剰な出血に苦しむ女性と彼女らを治療する医師に読んでもらえたらいいかなと思っています。電子レンジと同じく出力と照射時間が大事です。この条件ではこうなるというところまで書いていくつもりです。

マガジン

  • 子宮筋腫と腺筋症に伴う過多月経をマイクロ波で治療するレシピ集

    マイクロ波子宮内膜アブレーション、経頸管的マイクロ波筋腫融解術、経頸管的マイクロ波腺筋症融解術の基礎的事項をまとめた前半は、筋腫や腺筋症の婦人科マイクロ波治療に興味のある方を対象にしています。後半は、130例以上の子宮筋腫や腺筋症の症例それぞれについて、MRIや超音波画像とともにマイクロ波出力、照射時間、照射位置を具体的に示しました。治療日や施設、年令などは抹消してあります。実際にマイクロ波治療を行う術者が、術前にマイクロ波照射の計画を立てるときに参考にできる資料集です。1000例の中からそれぞれが他の7~8例を代表するような130例を勝手に選びました。   ありふれた多数の症例について治療の詳細を共有するための出版はこれまでありません。まだ普及していない治療法に分け入る山道が、歩きやすく整備されたうえに道標まで備えているとハイキングも楽しくなるでしょう。

  • MEA後に気づいたことー--- 361枚の自由記載から

    マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)とマイクロ波筋腫融解術(TCMM)、マイクロ波腺筋症融解術(TCMAM)で過多月経・貧血を治療し、3月後あるいは12月後に経過観察を行ったさいに、自由に記載していただいた感想をそのまま掲載しています。術前の問題・症状は何で、マイクロ波手術が具体的にどのような結果あるいは不結果をもたらしたのかをうかがい知ることができる貴重な資料です。

最近の記事

MEA+TCMM+TCMAM:医療経済学的側面から        その2

費用対効果を考える  何かを選ばなければならないときには、それぞれの費用・労力とその効果について考えてみるでしょう。治療法を選ぶ時も例外ではありません。その1ではQALYsで効果を数値化するという方法を紹介しました。    MEAにTCMMを追加することは意義があるのか?  費用対効果平面上にMEA単独とMEA+TCMMを比較してみましょう。縦軸は医療に伴う費用、横軸は効果です。QALYsが利用できる場合は横軸にQALYsを選ぶのもありです。  MEA+TCMMの効果

    • MEA+TCMM+TCMAM:医療経済学的観点から        その1

        子宮全摘術は古くから行われてきた適応範囲の広い手術  子宮の悪性腫瘍の治療はいうまでもないでしょうが、良性腫瘍の子宮筋腫や腫瘍類似状態である子宮腺筋症に伴う症状を治療するために、子宮全摘術が古くから行われてきました。腹腔鏡下やロボット補助下の子宮全摘術の普及にともない、手術に伴う腹壁の傷は、従来の開腹手術と比較すれば格段に小さくなっています。腹腔鏡下手術による腹壁創部の低侵襲化は大きな進歩です。腹腔内臓器の操作を鏡視下に行うだけで、術後の患者さんの苦痛はずいぶん軽減さ

      • MEA後に気づいたこと  その13                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア

        MEA術後の成績が芳しくない症例について 336はVAS 55、 348は VAS 40、 361は VAS 45と芳しくないVASスコアです。336はかなり少なくなったという感想でしたが、VASスコア 55。しかし、その割には血塊の排出や貧血も改善しているので経過観察としました。348は術後1.5年目の評価でVASスコア 40で、貧血も続いています。血液検査の結果、貧血は保存的に治療可能と評価しました。361は子宮腔の形状には特徴がありましたが、子宮が腫大しているわけでは

        • MEA後に気づいたこと  その12                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア

          MEA後に月経前症候群は変化した? 321は月経開始前になるとイライラしたり悲しくなったりすると書いておられます。このような月経前症候群(premenstrual syndrome(PMS))の原因はよくわかっていません。日本産科婦人科学会は月経前の3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものと定義しています。女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。 361例の自由記載の中には、PMSが術後どうなったのか書いている方が数

        MEA+TCMM+TCMAM:医療経済学的側面から        その2

        • MEA+TCMM+TCMAM:医療経済学的観点から        その1

        • MEA後に気づいたこと  その13                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア

        • MEA後に気づいたこと  その12                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア

        マガジン

        • 子宮筋腫と腺筋症に伴う過多月経をマイクロ波で治療するレシピ集
          48本
        • MEA後に気づいたことー--- 361枚の自由記載から
          14本

        記事

          MEA後に気づいたこと  その11                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア

          MEA後に出血が全くなくなったら閉経なのか?  再確認しておきたいのですが、MEA後に出血がなくなる原因は、卵巣の内分泌機能の低下とは無関係です。しかし、50才前後の閉経が近い年齢でMEAをおこなうと術後に閉経が重なる可能性はあります。その場合は卵巣機能の低下がありますので、多少とも更年期症状を伴うはずです。  子宮摘出術のあとに出血しないということは、納得しやすいようです。しかし、子宮摘出時に卵巣を温存しておけばホルモン分泌機能は保たれています。検査するとホルモン値は閉経

          MEA後に気づいたこと  その11                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア

          MEA後に気づいたこと  その10                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア

          MEA+TCMMあるいはMEA+TCMAM後に頻尿が改善   すでに記事にしているマイクロ波レシピ集に提示した治療前後の画像を見比べて頂くと術後に子宮の体積が著しく縮小している症例が見つかります。MEAと合併する筋腫にTCMM、あるいは腺筋症組織にTCMAMを行い、過多月経の原因病変をマイクロ波で壊死させるとそれらは縮小しますから膀胱を子宮が圧迫するという状態がずいぶんと改善される可能性があります。筋腫や腺筋症組織を切除するかわりにマイクロ波照射をして壊死させ縮小させるとい

          MEA後に気づいたこと  その10                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア

          MEA後に気づいたこと  その9                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア 

            「過多月経が治ったら太った」の続き。  MEA後に太る話はこのシリーズのその8で少し触れました。今回の230の方もMEA後の肥満、脂肪肝、高血圧になったと書いておられます。体重はIN-OUTのバランスが日常的にプラスに傾いていなければ決して増えません。MEAの術前には大量出血によるマイナスが常にOUTを多めにしていたので、ちょうど体重は安定していたのでしょう。せっかく、鉄欠乏性貧血が解消しQOLも改善したのですから、ここで、メタボリックシンドロームになるのはもったいな

          MEA後に気づいたこと  その9                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア 

          MEA後に気づいたこと  その8                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア  

          MEA後なのに貧血の改善が遅れる場合もある   MEAで出血量が改善した後、3か月もすれば女性アスリートをしのぐ検査結果になる方がかなりおられます。しかし、いっぽうで、鉄欠乏性貧血からの十分な回復にはさらに何カ月も要する方がおられます。過多月経が長く続いた結果、貯蔵鉄が全くなくなっている方は、MEA後に数回の月経出血がなくなるとその分は血色素量が上昇します。しかし、血色素の重要な成分である鉄がまたっく不足していると、十分に血色素は作られません。  鉄欠乏性貧血からの回復には

          MEA後に気づいたこと  その8                             361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア  

          MEA後に気づいたこと        その7                              361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア  

          術後の内子宮口狭窄  内子宮口近く(子宮頸管と子宮腔の境界あたり)の熱傷の治癒過程で、瘢痕収縮が強くおこると子宮腔に貯留した液がスムーズに排出しにくくなります。子宮腔内に貯留した液の圧力で内子宮口が広げられて一時に排出されると157のような不都合な症状が現れます。外来受診時に狭窄部分を拡張する処置を行うとこのような症状は解決します。瘢痕狭窄がひどい場合は、子宮鏡下に瘢痕組織を切除して治療することもできますが、このような手術が必要になる場合は例外的です。  170では筋腫ある

          MEA後に気づいたこと        その7                              361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア  

          MEA後に気づいたこと     その6                              361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア   

          しだいに自由記載が内容豊富で長いものが増えてきました。   筆者にも言えることですが、レストランで料理に対するコメントや従業員の応対など細かく項目を指定されて記載を依頼されても、もう2度と来店しないという気持ちのときは、ペンが止まります。いろいろと生の声を書いていただいて感謝しております。丁寧に書いていただいたかたにお尋ねすると、MEAについての感想などは、どんどん検索にかかるというものではないので、誰かの役に立つかもしれないので率直に書くべきだと考えたという方が多かった印

          MEA後に気づいたこと     その6                              361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア   

          MEA後に気づいたこと     その5                              361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア   

          QOLの改善について    日常生活や社会生活のあり方を自らの意思で決定し、生活の目標や生活様式を選択できることをQOLが高い満足すべき状態と定義すると、出血や貧血によって日常生活や社会生活のあり方を自らの意思で決定できない、生活の目標や生活様式を選択できない状態はQOLが低いといえます。MEA+TCMM+TCMAMは筋腫や腺筋症を縮小するだけでなく、少なくとも術後1年程度は健康関連QOL (HRQOL: Health Related Quality of Life)を改善

          MEA後に気づいたこと     その5                              361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア   

          MEA後に気づいたこと  その4                              361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア   

                                                         腺筋症合併例でのMEA+TCMAM後の痛みについて  MEA+TCMAM後に月経痛様の下腹痛・腰痛が強くでることがあります。この強い痛みは持続的で原因が今のところ不明です。消炎鎮痛薬、慢性疼痛治療薬(トラマドールなど)を含めて鎮痛薬はあまり効果がありません。MRIで検討しても、子宮頸管が術後に閉塞した子宮溜血症などもありません。しかし、偽閉経療法、スルピリド、黄体ホルモンなどで排

          MEA後に気づいたこと  その4                              361名の術後3月または12月の自由記載とVASスコア   

          MEA後に気づいたこと その3                                361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア  

          さらに成績を向上させるヒントはどこに? 治療の効果・術後の症状は、① 術前の筋腫や腺筋症の状態 ② それぞれの病巣に対するTCMMやTCMAMの効果によって変わります。すべての症例に過不足なくTCMMあるいはTCMAMを行い出血のVAS スコアを0にしたいのですが、これが意外に難しい。レシピ集に示したMRI画像、マイクロ波照射条件と術後経過をまとめた表を各症例ごとにじっくり眺めて、レシピをどう変更すればさらにうまくいきそうかを、マイクロ波手術を行う医師は考える必要があります

          MEA後に気づいたこと その3                                361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア  

          MEA後に気づいたこと その2                             361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア   

          症例1~30までの記載内容です。 これらを読んでみると、術前、術後のヘモグロビン濃度の変化や 子宮筋腫の体積、あるいは子宮体部の体積(腺筋症の場合の評価に使用)のような、客観的に測定可能な量を観察するだけではわからない、患者さん自身の治療に対する評価を知ることができます。これらを参考にすると治療法の選択として適切であったのか、術者として個々の手術の出来映えについて点検し、今後の改善につなげることができます。                 

          MEA後に気づいたこと その2                             361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア   

          MEA後に気づいたこと その1                                361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア  

           MEA後に患者さんからいただいた評価が大切    以前の勤務先では、術後3月または術後12月に月経出血量の減少や月経痛の軽減などの症状について、患者さん本人がどのくらい実感できたのかをvisual analog scale(VAS)を使用して患者さん自身に評価していただいていました。2.45GHzのマイクロ波を使用するMEAの臨床応用を開始した当初は、もっと細かく多くの項目について評価していました。しかし、結局のところ、この2項目が著しく改善すれば、子宮全摘術の代替治療と

          MEA後に気づいたこと その1                                361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア  

          MEA後に気づいたこと その0                             361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア 

          はじめに   閉経前の成人女性が、自分の性周期に伴う出血や生理痛などの症状について、オープンに話したり書いたりする機会は少ないようです。そのため、いよいよ症状がつよくなり、医療機関を受診するさいの問診表に記入した内容が、それなりにまとめられた初めての記録であった方もいるとおもいます。 そんな中でクリエーターsnowさんは、ご自身の過多月経との長い付き合いとMEA術後におこった変化について「マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA) 体験記」https://note.com/m

          MEA後に気づいたこと その0                             361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア