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「紅の豚」

甘くて、苦くて、もの哀しい

ジーナは深い哀しさを背負ってしまった女だが
とても美しい。
女は哀しさと比例して美しくなる。
飛行艇乗りと3度も恋をした恋多きジーナ
1人が死ぬたび次の男と恋に落ちる。
恋に取り憑かれている彼女は
一生、愛した男たちを思い出の中に閉じ込めて
生きていく。
彼女は1人生き残ってしまったポルコまでも
愛したいと願ってしまった。

そんなポルコは
誰も愛さないと決めているように思う。
それをジーナは分かっている。
2人の関係は言葉では言い表すことができない
特別なものである。

ポルコはフィオまでもジーナと同じ哀しみに
沈ませてしまう。
フィオはこれからますます美しくなるだろう。
ジーナと同じように。

かっこいいとは、空を飛び続け、女を美しくし、全てを背負い生きていくこと。
孤独に生き残ったポルコは豚であり続けているからこそかっこいいのである。
彼はいい男であり、かっこいいの本質を人生をかけて語る男である。

彼が人間に戻ることはないだろう。
ジーナが日向を歩ける日も来ないだろう。
フィオがポルコを忘れられることも無いだろう。
だが彼らは生きている。
たくさんのものを抱えて生きている。
生きていることは時に辛く哀しい。
それでも生きているというのは最高に素晴らしく
かっこいいことである。

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