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記憶とは



心理学には目に見えない「こころ」よりも目に見える行動から研究をはじめる流れがあった。


自然環境の中で生き抜くために、生体が新しい行動を獲得する為の道具的な「こころ」という文脈だ。

言語を生み、大脳を発達させてきたプロセス

そこにはどう考えたって「情報を記憶すること」
が「こころ」の成立には重要だろう。


心理学では記銘、保持、想起の3つの段階をおいている。
コンピューターの情報処理と似せて
符号化、貯蔵、検索と呼ぶこともあるらしい。

つまり、心理学では「こころ」≒情報処理としてるところがあって、だとしたら、普段使うPCやスマホは私達の拡張してゆく「こころ」と呼べてしまう。
うーん当たり前だがなるほど。

インターネット空間はそれこそ記銘、符号化した情報が保持・貯蔵されたとえば検索エンジンによって想起・検索される。

つまるところ巨大な社会の拡張してゆく「こころ」みたいなイメージが湧く。

それはさておき、心理学では記憶というのを内容でわけていて、それは宣言的記憶と意識的に想起できない手続き記憶という。

宣言的記憶とは
普通にいつどこどこでと思い出すエピソード記憶や一般的な知識などの意味記憶。

面白いのは手続き的記憶
想起できないけどしっかり記憶してるのだ。
自転車が乗れるとか、ギターが弾けるとか
何度も繰り返し学習された技能とか
勝手に体が覚えてるみたいな記憶だ。

空手や太極拳の型とか式など、習い事全般にいえるが、考えるよりも何度も繰り返し体に憶えさせるみたいなところに通ずるかもしれない。
何か技能の学習方法としてまず基礎的に「手続き的記憶」にインプットさせてから応用へつなぐ感じだろうか。

よく考えるとからだの動作、赤ん坊だった時から立って歩くようになったのもこの手続き的記憶と関連するだろう。いちいち歩き方を思い出してたら歩くことなんてできない。

あとプライミングといって、無意識に、潜在的に想起してる、選んでいるというやつ。

単純接触効果といって接する回数が多くなるほど手続き的記憶にインプットされて無意識に好感度があがるのだ。

これはもう世の中に溢れてる広告にみてとれる。

次は短期記憶と長期記憶

短期記憶は、初めてみた電話番号をリダイヤルするまで覚えている場合で、繰り返し反復、リハーサルしないと短時間で減衰してゆく。

視覚だけでなく聴覚、音声言語化すると記憶が保持されやすいみたいだ。

ただ容量があるみたいで、ミラーによればだいたい意味のまとまりをチャンクといってそれを7個前後ぐらいしか覚えられないそうだ。

チャンクは
DOGCATは6個のチャンクだが
DOGーCATとすると2つになる

この消失する短期記憶を語呂合わせにしたり意味付けして繰り返すことを精緻化リハーサルといいこれによって情報は長期記憶へ移行するみたいだ。

そもそも短期記憶と長期記憶というのがあるというのを証明する実験があり、それは系列位置効果という。

順番に数字を提示されてそれを記憶する際、最初の数はよく覚えていて(初頭効果、長期記憶)あいだは忘れて、最後の数も覚えやすいがすぐ忘れる(新近効果、短期記憶)
ということだ。

たしかにいわれてみると自分でもそんな実感はある。
途中は忘れて、最初が長期と最後が短期に記憶に残りやすいのか。

他には短期、長期記憶になる前の
感覚記憶というものに、アイコニックメモリやエコーイックメモリというものがある。
一瞬の、1秒から数秒ほどの視覚、聴覚的な記憶だ。

覚えると次は忘れる

忘却について

エビングハウスの忘却曲線というのがあり、時間とともに減衰してゆくとする説と

記憶同士が邪魔しあって忘却するというジェンキンスの干渉説

また、タルヴィングの記憶痕跡は残っているのに、検索ができなくなるとする検索失敗説

あとは精神分析での苦痛を伴う意識内容を無意識に押し込む抑圧説などがあるみたいだ。

一口に忘れる、忘却にも色々あるのだな。

記憶するということがあるおかげで学習したことが残りさらに新しい適切な行動へとつながり、環境への適応範囲が広がる。
ヒトはこの記憶システムを外部にも広げてきた
紙の発明や記録のおかげではるか昔の記憶を今のヒトが想起することができる。スマホ一台あれば記銘され保持されている膨大な記憶に検索アプローチができる。
すごいことだ。

だけど、

フラッシュバルブ記憶というのがある。
なにか衝撃的な事件が起きるとその事件そのものや、事件が起きた前後の記憶がいつまでも鮮明に保持されるというものだ。

2001年のニューヨーク貿易センタービルにおける同時多発テロが報道されたとき、自分がいた場所、していたこと、多くのアメリカ人に強固に残っていることがしめされている。

ヒトは経験に伴う感情も記憶に影響し、戦争や震災、悲惨な経験のようにとても強い情動を伴う経験をすると、PTSD、心的外傷後ストレス障害が生じる。

そう

ヒトは記憶があることで苦しむことも確かだ

行動、学習、記憶、情動や感情、「こころ」は働きかたによってプラスにもマイナスにもなるのだね。

今日はここまで。


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