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もうひとつの心臓




「あたたたーまた足がつった、つった」

椅子から立ち上がりざまに

患者さんのHさんが叫んだ

少し座ってもらって足を伸ばして

水分をとってもらう

ついでに飴玉も

(芍薬甘草湯もオススメだ)

「ふー なんとかおさまったわ」


もうどれだけの人の

足をみてきただろう

「足は口ほどにものをいう」

そう僕は心の中で呟く

足へ いく ながれ
足から 戻る ながれ

動脈、静脈、リンパ管

からだは一つに

つながっている

足からその人の循環器や

呼吸器や肝臓、門脈系の情報が
(もちろん反射などから
中枢、末端、神経についても)

たくさん読み取れる

足(の筋肉)は

たくさんの循環に関する

いい仕事をしている

特にふくらはぎなどが

第2の心臓と呼ぼれるのは

そのせいだ

足から

からだの巡りをよくできるし

逆に足の循環が悪くなると

軽い足のつりから

エコノミー症候群、血栓塞栓症など

巡りの悪さは足からはじまり

全身にひびいてゆく


「先生、ようするに運動しろって
ことでしょ!」

苦虫をつぶしたような顔で

Hさんがいう

僕からいわせると

本当に本当に、足を使うだけで、

肥満も、高血圧も、無呼吸症候群も、

低体温も、家庭のストレスも、骨粗鬆症も

浮腫みも肩こりも

良くなるのにー

なんて思ってみても

Hさんのウォーキングへのやる気

はまったく動かない

・・・

だけど最近、少しちがう

Hさんにお孫さんができたからだ

Hさんの「気」が動きはじめた

「先生、すぐにハァハァ息切れしてたら

おばあちゃん大丈夫?って

孫に心配されてしまって、情けない」

なんと

近くのスポーツジムで

水中ウォーキングをはじめたらしい

びっくりだ

ビクともしなかった

Hさんの山を動かしたのは

病院の検査結果でも

鍼灸師の指導(小言)でもなく

小さなかわいい

お孫さんだった


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