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世界を旅する婦人科ナースとしての生き方~私の人生スタンプラリー~

「明日がどうなるかなんて分からない、頑張って貯めたお金だって明日死ぬんだったら、何でもない」。
「自分に自分で許可さえ出せば、どこへでも行ける。時間がない、お金がないと言い訳にするのは嫌だ」。

婦人科ナースとして働きながら自他ともに認める海外旅行好きのyukaさんは、サバサバとした口調で人生のモットーを話す。人生はワクワクして楽しいものだと彼女の話を聞いて思い出す。

このインタビュー記事はキャリアスクール “SHElikes”の10期海外コミュニティのメンバーをインタビュー取材したものです。 海外の魅力に触れたメンバーの紹介を通して、この記事を読んでくださるみなさんが少しでも海外に興味を持ってもらえるきっかけになれば幸いです。

SHE:SHElikesの略称 SHEメイト:SHEの受講生 サポ隊:コミュニティサポートメンバー CP:コミュニティプランナー


Yukaさんのプロフィール

【プロフィール】
愛知県一宮市出身。現在は婦人科のナースとして働きながら、海外旅行に年2,3回行く"海外旅行"好き。世界遺産検定2級を保持。
2023年8月にSHElikesに入会、ライティングやデザインを勉強中。10期海外コミュニティのCPを務める。

日赤看護師から、旅する婦人科ナースへ。

将来の夢は「看護師」

Yukaさんは愛知県一宮市出身で三人姉妹の長女。小学生の時に決めた将来の夢は看護師。

専業主婦の母は、家族を支えていた大きな存在だった。家庭内で色々苦労してきた母を傍で見て育ち「私は手に職を持った自立した大人になる」と物心ついたときから考えていたという。

「小学校1年生の時に扁桃腺の手術をしたことがあって、その時に担当してくれた看護師さんがかっこいいなって思った、でもあんまりはっきりとは覚えてないの」。
きっかけは小さなことだった。女性で手に職、制服を着てテキパキ仕事をするかっこいい姿、お給料も良い、それに母もきっと喜ぶ。
一度決めたら迷わない性分。そこから看護師になるという夢に向かって脇目も振らず一直線に走ってきた。「今振り返ると他の選択肢を知る機会もなかったし、考えようと思ったことがないことについては、それで本当に良かったのかな?と思うこともあった」という。
それでも晴れて念願の看護師になれた時は、「1つ大きなステージをクリアした気がして誇らしかった」。

せわしない毎日と擦り減っていく心

看護師としての最初の5年間は、日赤の消化器内科病棟での勤務。憧れだった仕事とはいえ、現実はとても厳しかった。
「毎日毎日帰るのが遅くて、プレッシャーも半端ないし…」抗がん剤治療や放射線治療を行っている人、末期癌で延命を希望しない患者さんも担当していた。多い時には一晩で3人看取った日もあった。「休憩時間が15分とか30分しかない時もあったし、夜もナースコールが鳴りっぱなしで、常に走り回ってバタバタして。本当に戦場みたいだった」。

褒められることはほとんどなく、ミスをするたびに指導を受ける"減点方式"の環境。人の命に携わる職業柄、小さなミスが大きな事故に繋がる可能性もある。

「患者さんの話をじっくり聞く時間や寄り添える時間も余裕も全然なくて。もらった『ありがとう』の言葉も素直に受け取れない自分がいて歯がゆかった」。業務に忙殺され、患者さんも自分の心も大切に出来ていない罪悪感。憧れだった”看護師の私"のはずなのに、仕事も自分自身も嫌いになっていった。

わたしが決めた私の選択。

病院で働く中、yukaさんの死生観も確立されていった。「いつ死ぬか分からない、明日は我が身かもしれない。死ぬときにお金が手元に沢山残っていたとしてもどうするの?そんなのもったいない」明日何が起こるのか誰にも分からない人生。ただシンプルに、悔いなく毎日楽しく生きようと思った。

忙しい仕事の合間を縫って行っていた海外旅行、Yukaさんの息抜き。最初は現実逃避だった。もともと海外が好きというわけではなかったが、新しい国で新しい体験をするワクワク感を知って純粋に楽しいと感じた。
病院旅行を含め、オーストラリア、フランス、インドネシア、スペイン、香港、マカオ、台湾と色々な国に旅行した。

そんな中、yukaさんに転機が訪れる。過酷な病院勤務の心の支えだった同期たちがほとんど辞めていき、5年目に入る頃には同じ病棟で働く同期がたった1人になったのだ。そして唯一の同期も年度末には退職することが決まっていた。

yukaさんも退職を意識するようになる。「看護師って寿退社とかが多かったけど、私は別にそんなでもないし」なにかカッコイイ理由が必要だった。「それで、あ、私ワーホリに行こう!って」。

決めてからは早かった。5年間お世話になった職場に退職の意思を伝え、留学エージェントとも契約し、オーストラリアのメルボルンの語学学校やホームステイ先も決まった。仮入金までしていたところで、ある人に出会った。

その人からの助言もあって、「ワーホリに行っても1年後は帰国しなきゃいけないし、その時に自分はどうなっているのか?」もう一度頭を冷やしてよく考えた。日本に帰ってきたら、また同じ場所に戻って、また同じ働き方に対して嫌な気持ちになる、そんなループが容易に想像できた。
それに「私は1つの国じゃなくて色々な国を見たいんだ」ということにも気がついた。

結局、yukaさんはワーホリには行かなかった。

「まあ、でも本当はワーホリに行く勇気がなかったのかもしれない」yukaさんは笑う。「それに、ただ今の環境から抜け出したいという気持ちに、ワーホリに行くという"カッコイイ"理由を被せていただけだったかも」。
日本に残ることを決めてからは意外と「やっぱり行きたかったなとか、そういう後悔はなくて、病院を辞められたことへの満足感が大きかった」と話すyukaさん。

自分自身で考えて、答えを出して、決断した、ということが彼女にとって大事だった。

退職前に同じ病棟で働く仲間と。

私の理想の働き方

老健施設を経て、現在は婦人科のクリニック勤務。2016年の2月から働いてもう9年目になる。だが「自分的にはあまりやりがいを感じていない」のが本音。切迫感、危機感の中で目が回る忙しさで働いている時と比べたら、「業務も割りと単純なものだったり繰り返しの作業」が多かったりする。病院勤務時代は、チャレンジングな環境の中で日々の業務をやりきることに対して達成感を感じていたし、刺激的でやりがいに満ちた仕事だった。

でも、今の仕事は圧倒的に働きやすい、心の余裕がありプライベートを優先できる。そして何より大好きな海外旅行に年数回も行ける。「海外旅行に行きたい自分としては一番重要な要素」だった。

1か国、1都市、訪れた場所が増える度に、自信も増えていく。異国の地で馴染みのない言語の中、自分で調べて行動して、というのが楽しかった。ゲームを1つ1つクリアにしていく感じ。国内旅行よりも緊張感が増す、その中で旅をすることがyukaさんの達成欲を刺激する。
自分で試行錯誤して、問題を乗り越えながら、目的地に辿り着いた時の感動は何にも代えがたい。

そして、彼女の好きな国は「スペインとポルトガル!」。yukaさんが初めて一人旅をした思い出の土地だ。

ポルトガル・ポルトのドウロ橋からの景色
LAのウォールアートの前で


SHElikesと私

SHElikesとの出会い。

SHElikesに入ったのは2023年8月。「元々旅行に関するSNSでの発信も個人的にやっていて、大好きな旅行を仕事に出来たら良いな」とぼんやり考えていたのだそう。
そんな時、憧れていた旅インフルエンサーの人が登壇するイベントに参加。その主催者がたまたまSHElikesだった。イベント直後にすぐ体験会に応募し、速攻でSHElikesに入会した。

海外コミュニティのCPに就任

そしてyukaさんは、SHElikesに入会して直ぐにコミュニティのCPに応募する。「海外コミュニティっていうのがあるの?なにそれ楽しそう」、直観だった。

yukaさんは海外コミュニティの運営をしながら、自ら3月のコミュニティイベントに登壇。4か月間、毎月実施したイベントには各回80名を超えるSHEメイトさんが参加した。
CPとしての活動について聞くと、「コミュニティのメンバーに支えてもらいながらやり切れた。本当にありがたい。今は達成感でいっぱい」と笑顔で答えたyukaさん。同じ"海外"という共通点で多くのSHEメイトさんと繋がりを作ることが出来た「貴重な経験」となった。

SHEメイトさんへのメッセージ

「明日何が起こるか分からないし、病気になったり震災にあったり、事故にあう可能性もゼロではない。それに自分自身だけじゃなくて、家族に何かあったときに自分も巻き込まれることもある。そういう人も病院で本当によく見てきた。例えばお母さんが病気になって入院して、自分が毎日お見舞いに行かなけゃとか送迎しなきゃとか」。
やりたいことがある、行きたい場所があるのならば、先延ばしにしないことを大切に生きてきた。「結局お金も時間もなんとかなるはず」と話すyukaさん。行きたい時に、思い立った時に、が吉日なのだ。

4か月間一緒に駆け抜けた10期CPたち

今後のVision

「死ぬまでに4、50か国は行きたいな」。旅行の話をするyukaさんはその場の温度が1℃くらい上がったように言葉に熱がこもる。「行きたい時に行きたい場所に行く人生がいい」。彼女なら世界一周、いや、196か国も夢ではないだろう。
「今年はウズベキスタンとカザフスタンに行って、来年はヨーロッパ周遊がしたい」。数年先の旅行予定も頭の中にあるようだ。

理想のキャリアは「パラレルワーカー」。看護師の仕事をメインに他の柱も持つのが彼女の理想。「柱はいくつもあってもいい」。
そして、もう一つ目指していることがある。まだはっきりとは見えていないが、「とにかく旅に関わるお仕事をしたい」ということ。

看護師の仕事は、「結局”嫌いじゃない”んだよね」というyukaさん。「わたしの価値観に『他者貢献』というのが割りと大きく締めているのかも」。その先には、人の役に立っているという自覚を通して、自分を肯定できる、自分を好きになれる、ことに繋がっているのだろう。


スペインの白い村フリヒリアナ

あとがき

yukaさんにはyukaさんだけのスタンプラリーがある。
『人生のスタンプラリー』。憧れの看護師になるまで辿ってきた道のり。目の前のことに一所懸命に向き合った病院勤務。看護師というスキルを軸に経験した様々な働き方。そしてこれまで足を運んだ、特別な20か国と50都市。

ワクワクするスタンプはもちろん多い方が良い。自分で決めてしまえば、何にだってなれるし、どこへだって行ける。スタンプが押される度に、人生を、そして自分自身を肯定されていく意味もある。
人生の旅の記録、この広い世界を旅した証が一つずつペタンと押されていく。世間や社会が決めるものではない、yukaさんが作るyukaさんだけのスタンプラリー。

インタビュイー:Yuka
執筆:Kiki
バナー制作:ズシン


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