【音楽ジャンル】Noise Rock Part1 // 和製ジャンル ジャンクロック
この記事の続きです。
今回もだいたいディスクガイドによく書いてある事なので文章は読み飛ばしてもらっていいので、音源をどんどん聴こう。
好きな人は好きだけど、ライトリスナーが全然いなくてあまり語られないジャンル
Noise Rock(ノイズロック)
Sonic Youth、Swans、Big Black辺りがこのジャンルの始まりと言っていいと思いますが、用語としてのNoise Rockは他にしっくりくる物が無いので消極的に使われ出した言葉で、自然発生したブームを示す言葉が定着したわけではないので、アーティストそれぞれの熱心なファンはいても、Noise Rockというワード自体には愛着や帰属意識を持つリスナーはとても少ないさみしい言葉。
そんな感じと思いきや、最近の日本のインディシーンでNoise Rockと呼んでいい音のバンドがじわじわ増えてきた印象です。
Noise Rockに括れるバンドでもそれぞれノーウェイヴ、オルタナ、パンク、ハードコア、ポストハードコア、轟音サイケ、ガレージロック、スラッジ、インダストリアルと軸足があるのは他のジャンルだったりして定義が曖昧なので人それぞれ指す範囲が違ったりしますが、この記事ではグランジに繋がっていく方面よりも日本だけで使われたジャンル名"ジャンクロック"に寄せてみました。
イメージはしやすい言葉ですがソニックユースのサートン・ムーアにインタビュアーが日本ではソニックユースはジャンクロックと呼ばれていますと伝えると、ジャンキーを連想してあまり良い反応ではなかった記事を読んだ記憶があります。
Scratch Acid – Scratch Acid (1984)
1st 12インチシングルだけど曲数も多くて実質アルバム的な音源。
特にShe Saidはカッコいいですね。
The Jesus LizardのボーカルのDavid Yow、ベースのDavid Wm. Simsが以前に活動していたバンドとして有名。
ドラムのRey Washamは90年代以降のMinistryやLardにも参加。
NIRVANAのKurt Cobainも自分達はScratch Acidのパクりだよと発言していたとか。
ベスト盤のThe Greatest Giftでほぼ全てのスタジオ音源が聴けます。
Bandcamp
Butthole Surfers – Locust Abortion Technician (1987)
Alternative TentaclesからTouch And Goに移っての3rdアルバム。Noise Rockという角度で見るとこのアルバムが一番と思います。
NIRVANAのKurt Cobainもこのアルバムと最初のEPをフェイバリットに挙げています。
このアルバムの制作の時期に自前のスタジオを持ったお陰で、じっくり作り込んだ音作りが出来るようになったそうです。
ピエロのジャケのイラストも素晴らしい。
ちなみに一曲目のSweat Loafのサタン!という声はサンプリングされてOrbitalの曲のSatanで使われています。
Live Skull – Dusted (1987)
NYで結成されたバンド。
1985年の1stアルバムBringing Home The Baitはまだ手探りな感触のポストパンク色が強い作品でそれも味があって人気のあるアルバムですが、DustedはリードシンガーのThalia Zedekが参加して全体的な音のメリハリもついて代表作となるアルバムになりました。
ポストパンクとオルタナの橋渡し的な音。
Pussy Galore – Sugarshit Sharp (1988)
このEPのジャケのアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンとローリング・ストーンズを合わせたロゴがあまりに分かりやすく音楽性を表していたJon Spencer率いるNYのトラッシュガレージロックバンド。元Sonic YouthのBob Bertもメタルパーカッションを組み込んだドラムで在籍。
ノイバウテンのYü Gungのカバーがあまりに有名ですが、B面のオリジナル曲もベースレスのスカスカ感はそのままに以前の音源よりメリハリがあって音のバランスよくロックンロールのグルーヴがあります。
バンドの解散後はジョンスペはThe Jon Spencer Blues Explosion結成。嫁のBoss Hogにも参加。
もう一人のギタリストNeil HagertyはRoyal Truxを結成します。
Black Snakes – Crawl (1988)
写真家/映像作家のRichard Kernがギターで参加していたバンドの唯一のアルバム。Pussy Galoreとスプリット7インチもリリース有り。
ミキシングエンジニアのBubba KowalskiはJ.G. Thirlwell(Foetus)の変名。
ベースは後にCop Shoot Copに加入するJack Natz。
これぞNYアンダーグラウンドなNoise Rockですが周りのバンドに比べると頭ひとつ抜ける個性は無かったのかも。
中古盤屋で見かけた事がないのですがYouTubeで聴けてありがたい。
因みにRichard Kernのこの映像作品の音楽はCop Shoot CopのConsumer Revolt収録のサンプリングコラージュの曲Disconnected 666
Richard Kern監督映像作品に多く出演したLung LegはSonic YouthのアルバムEVOLのジャケットの女性です。
そしてRichard Kernが監督した有名なこの一曲も貼っておきます。
Head of David – Dustbowl (1988)
Napalm DeathのギタリストだったJustin Broadrick(その後、Godfleshを結成)がドラマーとして在籍していた時期にBlast Firstからリリーズされたアルバム。
このバンドは再発も配信もされていないのもあって知名度はありませんが、Killing Jokeとはまた違ったポストパンクからインダストリアルロックへの導線上の音で非常にカッコいいと思います。
Blast FirstはSonic Youthの音源をイギリスで流通させる為に発足されたレーベル。
そこからSonic YouthのThurston MooreがUSアンダーグラウンドには凄いバンドが沢山いるとレーベルオーナーのPaul Smith(Cabaret Voltaireなどのマネージャーでもあった)に強く薦めてSY以外のアメリカもバンドも扱う事になりました(イギリスのバンドも居ます)
SY以外に初期にリリースされたバンドはHead of Davidの他、Big Stick、Big Black、UT、Butthole Surfers、A.C. Temple、Rapeman、Dinosaur Jrなどなど、親会社のMuteのテクノポップ/ニューウェイヴのイメージとは違うオルタナティブな音が幅広くずらり。
Rapeman – Two Nuns And A Pack Mule (1988)
Big Black解散後のSteve Albini、Scratch Acid解散後のDavid Wm. SimsとRey Washamというスーパーバンドと言っていい面子のバンド。
音もBig BlackやShellacとはまた違った荒々しいドライブ感があって素晴らしいのですが、みやわき心太郎の漫画から取られたバンド名がとにかく不味かった。かなりの批判を集め、メンバー全員こんな名前にしなければ良かったと後悔しています。Blast Firstのレーベルオーナーも当初アルビニが提案してきたセメントというバンド名を良くないと意見を言った事を後悔していました。が、解散理由はバンド名ではなくバンド内の人間関係が原因のようです。
ちなみに共同プロデュースにクレジットされているFlussはアルビニの飼ってる猫の事らしいです。
Happy Flowers – Oof (1988)
米国バージニア州シャーロッツビルの二人組。
このアルバムしか見ないのでリリースはこれだけだと勝手に思ってたらLPは四枚くらいあるそうですね。
ギターとドラムのグシャグシャした演奏に子供の視点で見た奇妙な体験や感覚を歌詞にしたボーカルの、一昔前ならスカムやローファイと呼ばれていた音。改めて聴くと金属的な感触でイメージより結構ダークかもしれない。特にマニアックなリスナーに熱く支持されていたバンドで山塚アイもフェイバリットに挙げているとか。
曲のタイトルも面白い。「赤ちゃんの頭には柔らかい部分がある」は蛭子能収先生もまだ赤ん坊の自分の息子の頭が柔らかくて押すと指がめり込むみたいな事を言ってた事を思い出します。
赤ちゃんの頭、押しちゃダメだろ。
Pailhead – Trait (1988)
FugaziのフロントマンIan MacKayeとMinistryとAl JourgensenとPaul Barkerのコラボプロジェクトで、Killing Jokeが大好きなみんなでKilling Jokeみたいな音を出すバンド。
初期はNaked RaygunのドラムのEric Spicerも参加。
Man Should SurrenderなんかはモロにKilling Jokeの代表曲War Dance。
Ian MacKayeの歌い方はKilling JokeのJaz Colemanに寄せてて楽しんでレコーディングしてるのが伝わってきます。
結果的に90年代のKilling Jokeの音を先駆けた印象も。
オマケにKilling Joke関連の事を幾つか。
・NIRVANAのCome As You AreがKilling Joke - Eightiesに似てるという事で当時、訴訟になる。
・Foo FightersがRequiemをカバー
・HelmetがPrimitiveとRequiemをカバー。
・MetallicaがThe Waitをカバー。
Godflesh – Streetcleaner (1989)
Justin BroadrickとG. C. GreenによりFall Of Because(Killing Jokeの曲名から拝借した名前)を前身として1988年から始動。
Napalm Deathと並行して活動していたFall Of BecauseではJustin Broadrickはドラムを担当していましたがGodfleshではギターとボーカルとリズムプログラミングにパートチェンジしています。
SwansとKilling Jokeの影響を強く感じますが金属的なギター、重苦しいベースと頭蓋骨に打ち込まれる様なリズムマシーンのビートは他で味わえない気持ち良さがあります。
イギリスのレーベルEarache RecordsからリリースされていますがEaracheの当時のリリースの中でNoise Rock的な音だとMick HarrisのScornの1st、Fudge Tunnelや、Khanateで知られるJames PlotkinのOLDなどが居ます。
Band Of Susans - Love Agenda (1989)
Blast Firstからリリース。
No Waveから発展したバンドですが、シューゲイザー方面にもリスナーがいます。
Helmet結成前のPage Hamiltonもこのバンドのメンバーだった時期あり。
中心メンバーのRobert Possは作曲家のRhys Chathamに師事していたそうですが、トリプルギターのアンサンブルはRhys Chathamのこの辺りの作品を連想しますね。
Bastro – Diablo Guapo (1989)
Gastr del SolのDavid Grubbs、TortoiseのJohn McEntireが在籍していた事で米国ポストロック/音響派の文脈で名前を見る事が多いのですが、最初期の音源Rode Hard & Put Up Wet, backedはアルビニ録音、リズムマシーン、ギシギシした金属的ギターもモロにBig Blackのフォロワー的な音。
1st LPになるDiablo Guapoは生のドラムになりギシギシした疾走するNoise Rockを鳴らしています。2nd LPのSing the Troubled Beastも十分喧しいのですがより複雑な展開で後々のポストロックに繋がる要素が見え隠れしてきます。
日本版CDは1st/2nd LPの内容が一枚に纏まってお得です。
Cop Shoot Cop – Headkick Facsimile (1989)
Tod A.を中心としたベース×2、サンプラー、メタルパーカッション/ドラムという編成のNY拠点のバンド。
このアルバムは最初期の音源で、これが一番凶暴なドライブ感があってかなりカッコ良いです。
その後のフルアルバムだとJ.G. Thirlwell(Jim Fetus)が半数程度の曲のミックスを担当した1991年のWhite Noiseもオススメです。
Cop Shoot Copはこの近辺のバンドでは演奏力がありJ.G. ThirlwellやSwansのライブサポートメンバーとしても活躍しています。
来日ライブの時に高円寺20000Vの天井にベースを突き刺して穴を開けた逸話も有名。
Of Cabbages and Kings - Basic Pain Basic Pleasure (1990)
シカゴを拠点にしたバンドで、初期はインダストリアルロック界隈で活躍する事になるドラマーのTed Parsonsも所属していました。ベースはSwansのAlgis Kizys。
メタルでもハードコアパンクでもない、Swansにドライブ感を増したような音。
こんな重厚な音ですがバンド名はルイス・キャロルの鏡の国のアリスから。
再発されないのが勿体無い。
Foetus - Rife (1989)
JG Thirlwell、日本だとジム・フィータス表記が多いのですが変名を使いまくる人なので仕事の全貌を把握するのが難しい。
Post Industrial〜Industrial Rockの文脈で紹介される事が多いですが、エンジニアやリミキサー、作曲のコラボレーターとしてニューヨークのNoise Rockシーンを支えていた人でもあります。
この盤に収録されたライブのサポートミュージシャンはこの辺りのシーンの要所に居る人ばかりで豪華。
Algis Kizys (Swans), Norman Westberg (Swans), Ted Parsons (Swans, Prong, Godflesh) and Ray Scabellero (aka Raymond Watts, Pig)
特に名盤Hole収録のClothes Hoistは中盤ほぼSwansになるパートもあったりでかなりカッコいい。
1990年のライブを収録したMaleでは、SwansのNorman WestbergとAlgis Kizysは引き続き参加していて、Of Cabbages And KingsやCop Shoot Copなどのメンバーも参加していてこちらもNYアンダーグラウンド総力戦状態。
John Zorn – Naked City (1990)
初めの二枚はJohn Zorn名義で、あとはプロジェクト名"Naked City"でリリース。
メンバーはJohn Zornの他、Bill Frisell, Fred Frith, Joey Baron, Wayne Horvitzにゲストとして山塚アイ。
ジャケットは、写真家Weegeeにより撮影されたギャングの遺体の写真 "Corpse With Revolver"
このアルバムの写真でNYのアンダーグラウンドミュージックの持っていた現代アート由来のポップな成分が吹き飛んで荒んだ犯罪都市の音のイメージが決定的になったかもしれない。
裏ジャケは丸尾末広のイラスト。
映画のテーマ曲、ジャズスタンダード、そしてハードコアとジャズを融合させた曲が収録されており、特に短尺の"hardcore miniatures"と呼ばれるシリーズの曲は次作Grand Guignolの分も合わせてアルバムTorture Gardenに再収録されています。
ちなみに激烈に速く短いハードコアジャズを作った理由に日本に滞在していた時に感じた疎外感や拒絶感からというのもあるそうです。そんなに辛かったんだ...
↓は途中から山塚アイも参加の92年のライブ映像。
Pain Killer – Guts Of A Virgin (1991)
John Zorn、Bill Laswell、Napalm DeathのドラマーだったMick Harrisによるバンド。
Naked Cityよりも更にハードコアな音。そしてビザールなイメージ。
英国ではEarache、日本ではToy's Factoryからリリース。
1stアルバムになるこの作品は、ジャケットのアートワークが理由で英国では初回出荷分は廃棄されてしまったそうです(現在の配信等では内蔵の部分がトリミングされてアートワークに変更済み)
その他、Bill Laswellが関わったハードコアジャズプロジェクトだとLast Exitも強力です。
The Ex + Tom Cora – Scrabbling At The Lock (1991)
オランダのAnarcho-punk/Post-PunkバンドのThe Exと、 CurlewやSkeleton Crewなどに参加していた前衛チェリストのTom Coraのコラボアルバム。
Dog Faced Hermansで鋭角なギターを鳴らしまくったAndy Moorも正式メンバーになったツインギター体制でもあり、かなり強力な布陣で制作された音源で沢山あるThe Exの作品の中でも最高傑作に挙げる人も多い一枚。
The Exは、Shellacがキュレーションを担当したATPでもフリージャズ界のホーン奏者集団Brass Unboundと共に召喚された事があります。
The Jesus Lizard – Goat (1991)
ギタリストDuane DenisonがScratch AcidのDavid YowとDavid Wm. Simsに声を掛けて活動開始。ごく初期はリズムマシーンを使用していた。同業者からのリスペクトも厚いバンド。
このアルバムGoatやその前後の音源はアルビニ先生がエンジニア。
メンバーはLed Zeppelinとthe Birthday Partyが好きな奴らが集まったバンドと発言していたそうですが、そう言われると確かにLed Zeppelinのダイナミックなグルーヴにthe Birthday Partyのフリーキーなギターが載ったような音。特にこのアルバム含めて初期の音源はthe Birthday Partyやポストパンクの要素を感じます。
Missing Foundation – Go Into Exile (1992)
後に再始動もしますが、これが解散までの五枚あるオリジナルアルバムの内の最後の作品。
前身はノイズガレージパンクバンドのDRUNK DRIVING。Peter Missingを中心としたメタルパーカッションを使用したNoise Industrial/Noise Rockバンド。
Einstürzende NeubautenとThrobbing Gristleから着想を得ていますがアルバム毎に音の方向性は違っていて、特にこの五枚目のアルバムと四枚目のIgnore The White Cultureはパーカッションを軸にかなりリズムが強化されています。
70年代末から試行錯誤されつつも他が手放してしまったPost PunkとNoise Industrialが持っていたロックの解体というテーマを、時代から逸れても追求し続けた境地と言ってもいいかもしれません。
プロデューサーはJim Waters。この人は後にThe Jon Spencer Blues Explosionも手掛けています。ダブ的な解釈も出来る複雑な編集は、Mark Stewart(And The Maffia)の傑作As The Veneer Of Democracy Starts To FadeやLearning To Cope With Cowardiceと通ずる物があります。
昼間の公園でパンクスが踊るライブ映像(93年)
Distorted Pony - Punishment Room (1992)
エンジニアはスティーヴ・アルビニ先生。
ドラマーも居ますがリズムマシーンも使っています。
Big Blackに通ずる音ですが、圧縮したようなよりハードコアな印象。
God Is My Co-Pilot – Straight Not (1993)
1991年に結成されたNYのバンド。
メンバーも出入りが多いしゲスト参加も多い。音源の数も多いし、一枚の中にも短尺の曲が大量に詰められていて、ネットが普及する前はとにかく謎の多いバンドでした。
日本の音楽雑誌では"lo-fi"という括りをされていましたが、主要なアルバムは殆ど日本盤CDでもリリースされていました。昔、その日本盤で何枚か聴いたときはアートロック的な印象でしたが今聴くと絡まったような演奏でいながらパンキッシュな疾走感があって思いの外キャッチーに感じます。ちなみに日本独自規格の初期ベスト盤CDがあってこれは中古盤の価格もかなり高いので見つけたら買った方がいいかも。
主要メンバーがクィアで、クィアコアと括られたりする事が多いそうですが、このアルバム収録曲のSomeone's Always Telling You How To BehaveはダンスポップバンドChumbawambaの曲のカバーでロックミュージックにおける同性愛嫌悪を批判した内容の歌詞。
ベスト盤のThe Best Of God Is My Co-Pilot一曲目の"Behave" はこの曲を新たに録音したヘビーな別バージョン(のはず)
Six Finger Satellite – The Pigeon Is The Most Popular Bird (1993)
98年のアルバムLaw Of RuinsにDFA Recordsを立ち上げる事になるJames Murphyがエンジニアとして参加していて、そのシンセを使ったサウンドが2000年代のディスコパンクの元になった事で知られてるバンド。
初期はギター中心のNoise rockでした。エンジニアはShellacのBob Weston。ShellacとはよくいっしょにライブをしていてShellacのシングルThe Bird is the Most Popular Fingerはこのアルバムタイトルが元ネタ。
音的にはギターとシンセのバランスが良い95年のアルバムSevere Exposureが一番好きです。
Unsane – Total Destruction (1993)
毎度恒例の死体写真ジャケが気が滅入るのですが、このアルバムのジャケは血塗れの車で多少マシだ。
拳をぐりぐり押し付けられてるような重い音が特徴で、このバンドはバンドマンに特に好かれてる印象があります。
次のアルバムScattered, Smothered & Coveredに収録のScrapeのMVはMTVで人気で繰り返し放送されたそうです。
1997年のアルバムOccupational Hazardはスリーピースバンドでゴリゴリ進む音の完成系と言っても良いような出来で、重心が低い音が好きな人は必聴の一枚。
中心人物のChris Spencerは、現在はさらにゴリゴリした音のHuman Impactを率いています。
Melt-Banana – Speak Squeak Creak (1994)
日本のバンドに関しては日本語で読める詳しい記事がウェブ上でも沢山あるので後追いの自分が付け加えて書ける事はないのですが、メルトバナナは記事に入れたい。
長いキャリアでとテンションがまったく緩まない凄い日本のバンド(現在は二人体制)
マシナリーでファストなハードコアですが、"No New Yoke"からの影響も強いそうで、特にこの1stアルバムはNo Waveなギザギザした感触がありますね。
Nux Organization(Zeni GevaのKK Null氏のレーベル)からリリース。
Shellac – At Action Park (1994)
シカゴ拠点、Steve Albiniが亡くなるまで、
ごく初期を除きSteve Albini、Bob Weston、Todd Trainerの不動の三人で活動。
ポストハードコアやマスロックの文脈でよく名前が挙がりますが自分達の音楽性を"minimalist rock trio"と表現しています。
実際、このバンドはハードコアパンクが起点では無いのでポストハードコアではないですね。
この1st LPの時点で作曲/編曲というより音を配置していく様な構成美を築いています。
1994年と言えばNirvanaのKurt Cobainが亡くなり当時のグランジロックブームが冷めて行く中、打ち込みのビートや、ラップ、複雑に音を重ねたサウンドプロダクションのロック/ポップスが盛り上がってきた時期ですが、Shellacのこのアルバムは、ロックバンドに向けて新しい時代の為の音作りのプレゼンテーションをしている様にも聴こえます。
個人的に、Melt-BananaとShellacの新しいビートの出現で混沌としたNoise Rockの一つの区切りになった印象があります。
補足でレーベルの話。
90年代に入るとにグランジ/オルタナの流れになって行きますが、80年代後半から90年代初頭にNoise Rockをリリースしていた主なレーベルとしては、イギリスのBlast First
アメリカのAmphetamine Reptile Records
、Alternative Tentacles、SST、Sub Pop、Touch and Go Records、Homestead Records、他多数。
90年代からじわじわ活動開始して2010年代まで充実したリリースの実績のあるSkin Graft RecordsやLoad Recordsは、80年代末の重苦しいNoise Rockのイメージの更新をしました。
次に2000年代から最近のバンドまで入れた記事も書く予定です。