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どう見えるか、どう見るか


夕暮れの薄明かりの中、新宿御苑を散歩しました。新宿門近くの遊歩道を歩いていたら、突然現れた奇妙な造形のものたち。

落羽松の気根。Genesisの『Invisible Touch』のジャケットを思い出しました。

夕暮れは別名『逢魔時』とも呼ばれます。薄明かりの中だと見間違いも起こりがちです。あるべきではないものを見た時のギョッとする感じをよく表した言葉ですよね。

わたしもこの地中から生えた奇妙なものを見た時に、ギョッとしました。これが地中から伸びてきた手に見えたのです。

まるで救いを求めるかのように差し伸べられた手に、ゾッとしました。

そのうち、救いを求める手ではなく、仏様の手に見えてきました。子供の頃読んだ『西遊記』の最後のシーンの挿絵で見た、お釈迦さまの手のように感じたのです。

この正体は、落羽松という植物の気根だそうです。これほど美しく出現するのは珍しいということが看板に書いてありました。

人はある出来事を、その時の気分や過去の出来事などから、見たいように見ています。事実とは異なっていても、そう見えたらそれがその人にとっての真実です。

だから、同じものを見ても、他の人がわたしと同じように感じているかどうか、わたしには分かりません。わたしたちは言葉を持っているので、違うと分かっていれば、違いを丁寧に汲み上げることができます。

これが分かっているだけで、生きるのがずいぶん楽になります。

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