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Springは天才のバーゲンセールである

全方位偏差値60を目指す平凡人な僕ですが。

今回は恩田陸作:Spring
のご紹介。

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小説の天才が、
バレエダンサーの天才を全方位から書く(あと、音楽の天才も書く)。
一口に天才ダンサーって言ってもね、
天才って200種類あんねん。
・感性の天才
・正確性の天才
・雰囲気の天才
・フィジカルの天才
・気品の天才
・天真爛漫の天才etc.

様々な方向に分岐した天才が互いに影響しあい、より高みへと昇っていく。
天才同士は惹かれ合うっつって。
(そりゃ同じレベルの人間がコミュニティを作るわけだから、
1人天才が居ればそのコミュニティには30人の天才が居ますわな)。

………

んで、
天才書かせりゃ恩田陸よ、
そりゃそうよって思いながら読み進めて行きました。
僕の中でバレエといえば、
ダンス・ダンス・ダンスールの知識のみ。

結論、
「ふ〜ん、天才ってこういう思考してんだ。エッチじゃん。」
って感じ。(いや本当に。親子丼の描写とか出てくるから。)

前作「蜂蜜と遠雷」では、小説から音が聴こえてくるなんて言われていたけれど、
今作も何となくダンスが見えたぜ(ダンス・ダンス・ダンスールの影響もでかい)。

細分化された天才が出てくるけれど、

全員に共通しているのはメンタルが浮世離れし過ぎていて、
共感は出来ないよね。

徹底的に自責思考で、
不平不満を言う暇があったら、
「どうすれば出来るのか」にしか目が向いてない。
メンタルの強い弱いとかは語られてない。
やってきたことと技術が裏付けるから。


天才の十代ってこんなに成熟しちゃってんの?と。



脳内メーカーだったら、
・十代の僕
HHHHH女女女女女HHHHH女女女女

・十代の天才ダンサー
踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊踊

みたいな。
僕のHと女の探究心なんて、
天才に比べたらカスくらいの脳容量で(エロですらない)、
天才たちの特大脳容量には「踊」しかない。

そんな感じ。
そしてまぁイっちゃってるんだけど、悪は居ない。
バレエの世界なんてブラック・スワンみたいなギスギスドロドロした世界だと勝手に思ってたけどね。
基本的に爽やか。

………

んでまぁ、
ハッとさせられたのはね。

主人公の叔父が教授で、
主人公は叔父の書斎に入り浸って本を読んで育ったって設定なんだけどね?

主人公をライバル視する女の子が、主人公の感性がどこで身についたのかを探るために叔父の家を訪ねるんです。
そして、その書斎(本がズラーって並んでる)を見て言うわけです。

「踊っているだけじゃ駄目なんだ」と。

これよ。
まさにコスパとかタイパのアンチテーゼ。

遠回りこそが最短の道だったByジャイロ・ツェペリ

何が自分の未来に繋がるかなんて分からないんだから、全部やっておけってことなんですよね。
自分の浅い経験で
「これは関係ないからやりません」
っていうのは無し。

「YES」か「はい」か「喜んで」。

職場の後輩にはこれを徹底的に植え付けていきたい。
僕の仕事全部やって欲しい。
給料だけは貰っておくよ。

………

あと、
これも当たり前だけど、
舞台一つ作るにも、
ダンサーだけでなく、
振付師、
作曲家、
(あまり描写は無かったが)、
デザイナー、
舞台装置、
照明etc.
色々なポジションの一流が協力し合わなきゃ出来ないんだよなって。
天才ですらそうなんだから、
いわんや凡人をや、って感じ。

………

全編通して、
「こういう感じ方、考え方もあるのね」っていう対岸の出来事を覗かせてもらう本でした。

覗きって、
なんかHじゃん(脳内メーカー)。

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