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#93 「マップインターナショナル事件」東京地裁

2005年6月29日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第93号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【マップ・インターナショナル(以下、M社)事件・東京地裁判決】(2004年7月12日)

▽ <主な争点>
懲戒解雇処分の効力等(出向先で退職の意思表示した後、出向元に出社せず)

1.事件の概要は?

本件は、M社の関係会社の海外支店に出向し、約3ヵ月間勤務した後、出向先において退職の意思表示をし、帰国後出向元であるM社に出社しなかったため、無断欠勤を理由として懲戒解雇されたXがM社に対し、自己都合退職に基づく退職金、慰謝料およびコンピュータの掲示板に謝罪文を掲載すること等を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<M社およびXについて>

★ M社は旅行代理業を営む会社であり、Xは平成元年4月以降M社の従業員として、同社の業務に従事してきた。

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<本件懲戒解雇に至った経緯等について>

▼ XはM社から14年12月、同社の親会社であるH社のグアム島での子会社、H社グアム支店(以下「G支店」という)への出向を命じられ、直ちにG支店に着任し、旅行代理店業務に従事していた。

▼ Xは15年3月中旬、G支店で日本人社員の取りまとめ役をしていたAマネージャーに対し、G支店を辞めるだけでなく、M社そのものを退職したい意向であることを伝え、同月下旬にG支店のB支店長に帰国のあいさつをした上、4月1日には日本に帰国した。

▼ 帰国後、Xは何度かM社の総務部に電話をしたものの、出社はせず、同月17日になって、C総務部長と会い、同部長から同月30日付で懲戒解雇する旨の告知を受けた(以下「本件懲戒解雇」という)。

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<M社の就業規則の定め等について>

★ M社の就業規則には、「無断欠勤が10日以上に及んだ場合」には懲戒解雇できる旨が定められている。また、退職金規程によって、「懲戒解雇された従業員に対しては退職金を支給しない」ものとされている。

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