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#331 「医療法人 共生会事件」東京地裁(再掲)

2013年3月6日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第331号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【医療法人 共生会(以下、K法人)事件・東京地裁判決】(2011年4月28日)

▽ <主な争点>
賃金減額の合意の有無など

1.事件の概要は?

本件は、K法人を退職した医師Xが同法人に対し、平成20年6月分から21年8月分までの各月45万円の未払い賃金(合計675万円)等の支払いを求めたもの。

K法人はXとの間で20年6月中旬頃、同月分以降のXの賃金を月額120万円から75万円(年額900万円)とすることに合意した(以下「本件賃金減額合意」という)と主張し、Xは本件賃金減額合意の契約書の偽造および減額合意の錯誤無効、詐欺取消しを主張した

2.前提事実および事件の経過は?

<K法人およびXについて>

★ K法人は、医療法人であり、北海道内にK病院(以下「本件病院」という)を開設している。

★ Xは、平成19年9月1日、K法人との間で下記内容を含む雇用契約(以下「本件雇用契約」という)を締結した者である。
 雇用期間:定めなし
 勤 務 地:本件病院
 賃  金:月額120万円(当直および月1回の帰省費用を含む)
 住  居:月額4万円(水道光熱費等の費用を含む)で宿舎を貸与する。

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<Xに対する賃金の支払い状況等について>

▼ K法人はXに対し、19年9月分から20年5月分の賃金として、各月120万円を支払った。

▼ K法人はXに対し、20年6月分から21年8月分の賃金として、各月75万円を支払った。20年6月分から21年8月分までの各月120万円の賃金と支払い済み額75万円との差額の合計は675万円である。

3.医師Xの言い分は?

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