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#61 「システムワークス事件」大阪地裁(再掲)

2004年11月2日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第61号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【システムワークス(以下、S社)事件・大阪地裁判決】(2002年10月25日)

▽ <主な争点>
年俸制適用者の時間外割増手当、未払賃金の支払など

1.事件の概要は?

本件は、S社の従業員であったXが年俸制の労働契約を締結し、時間外労働を行ったとして、同社に対して、未払賃金等の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xについて>

▼ Xは平成11年11月、S社に入社し、13年6月に退職した者である。

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<S社からXに対する賃金の支払状況等について>

▼ S社はXに対し、11年12月分から13年3月分まで毎月18万円、13年4月分から13年6月分まで毎月19万6000円の賃金を支払ったが、Xが同社から受領した給与明細書には、次の通りの記載がされていた。

(1)11年12月分から12年5月分まで
   基本給欄 15万円     残業手当欄 3万円
(2)12年6月分から13年3月分まで
   基本給欄 18万円     残業手当欄  0円
(3)13年4月分から13年6月分まで
   基本給欄 19万6000円   残業手当欄  0円

▼ S社はXに対し、12年7月分として12万2000円、同年12月分として31万6000円をそれぞれ支払った。その際、Xが同社から受領した賞与明細書には上記金額が賞与額欄に記載されていた。

★ S社代表者はXに対し、採用時に年俸制なので残業手当は支払わないと言った。S社に在職中、Xは時間外労働を行ったが、同社はXに対し、残業手当を支払わなかった。

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<S社の就業規則の定めについて>

★ S社の就業規則には以下の定めがある。

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