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#136 「Y興業(アルバイト労災)事件」東京地裁

2006年5月17日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第136号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【Y興業(アルバイト労災)事件・東京地裁判決】(2005年11月30日)

▽ <主な争点>
アルバイト従業員の労災事故と使用者の過失

1.事件の概要は?

本件は、建物等の解体業を営むY興業ことYにアルバイトとして採用されたAが、Yが請け負った家屋の解体作業中に家屋2階から転落し、脊髄損傷等の傷害を負った事故について、Yが転落防止措置を怠ったとして、Aとその父Bおよび母Cが不法行為または安全配慮義務違反に基づき、Yに対し、損害賠償(合計約1億8千万円)および慰謝料(B、C各300万円)等を請求したもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Y興業およびAについて>

★ Y興業ことYは個人で解体業を営んでおり、作業員としてアルバイトを数名雇用し、その者たちを指揮して請け負った解体作業を行わせるとともに自らも作業を行っていた。

★ A(昭和55年生の男性)は平成12年1月、Yにアルバイトとして採用され、Yが請け負った建物等の解体工事の作業員として勤務していた。

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<本件事故およびその後の経過について>

▼ Yは13年3月、家屋(以下「本件現場」という)の解体工事(以下「本件工事」という)を請け負い、Aも本件現場で本件工事に携わるようになった。Aらが行う作業は建物の壁、床などをバールやハンマーを使って破壊し、鉄骨があればガスにより切断し、その破壊された廃棄物を積み込み、運搬するというものであった。

▼ 同月20日、本件現場の2階部分において、Aは2階の開口部から鉄骨を投げ下ろそうとした際、2階から1階へ転落し(以下「本件事故」という)、負傷した。なお、YはAから数メートル離れたところで鉄骨の溶断作業を行っていた。

★ Yは作業員分の安全帯やヘルメットを用意して現場に持ってきていたが、本件事故の際、Aは安全帯をせず、ヘルメットも被っていなかった。

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