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#576 「グローバル事件」福岡地裁小倉支部

2022年11月30日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第576号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【グローバル(以下、G社)事件・福岡地裁小倉支部判決】(2021年8月24日)

▽ <主な争点>
障害者就労支援施設等での泊まり込み時間が実労働時間に該当するかなど

1.事件の概要は?

本件は、XおよびYの2名が平日(出勤の土曜日も含む)の就労移行支援施設における業務(午前9時から午後4時まで)を終えた後にグループホームにおいて泊まり込みで利用者の対応業務(午後4時から翌日午前9時まで)を行い、就労移行支援施設に出勤しない土曜日、日曜日、祝日は一日中グループホームの利用者の対応や食事準備をしていたから、その労働時間は24時間365日であるとして、Xにつき1112万8136円、Yにつき2357万7345円の未払割増賃金等の支払を上記施設等を運営するG社に対してそれぞれ求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<G社、XおよびYについて>

★ G社は、触法障害福祉を主たる事業内容とし、障害者のための就労移行支援施設「」、グループホーム「」のほか、自立準備施設等を運営する会社である。

★ Xは、2014年11月1日から2017年8月31日まで、G社において、雇用契約に基づき働いていた者である。その後、Xは同社との間で業務委託契約を締結した。

★ Yは、2015年1月16日からG社において、雇用契約に基づき働きはじめた者である。なお、同契約は2018年10月25日時点においても継続していた。

★ Xらの就業場所は就労移行支援施設である甲とされ、グループホーム乙で寝泊まりをしていた。


<グループホーム乙での勤務状況、Xらの活動内容等について>

★ グループホーム乙では、昼から夕方までは世話人が勤務し、夜間は宿直担当者が勤務していた。

[平日の午前6時から8時30分まで]
★ 午前6時には宿直担当者が帰り、内鍵が開くため、Xらのうち一方が午前6時に起床して、利用者の外出を防ぐため内鍵を掛ける。

[平日の午前8時30分から午後4時まで]
★ Xらは午前8時30分頃に利用者を甲へ送迎するために乙を出発し、甲に到着した後、午後3時30分頃まで甲で勤務する。昼の休憩は1時間である。

★ Xらのうち一方は午後3時30分頃に利用者を乙へ送迎するために甲を出発し、午後4時頃に乙に到着する。送迎しなかった一方は甲で残業をする。

[平日の午後4時から9時まで]
★ Xらのうち、午後4時頃に乙に戻った者は清掃や夕食の配膳等を行う。午後7時頃にXらのうち、甲で残業をした者が乙に帰ってくる。

[休日の午前6時から午後9時まで]
★ Xらは利用者が外出するときは利用者から目を離さないようにするため同行することがある。

[平日、休日の午後9時から翌日午前6時まで]
★ Xらは利用者が眠れないときやトイレに行くための介助が必要なときには、宿直担当者から利用者対応のため起こされていた。Xらが起こされることはほとんど毎日であった。

★ Xらは一方が午前6時に起床して内鍵を掛ける当番の週は、もう一方が夜間対応をするというように、夜間にどちらが対応するかを決めていることもあった。

3.社員Xらの主な言い分は?

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