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#32 「西日本鉄道事件」福岡地裁

2004年3月31日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第32号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【西日本鉄道(以下、N社)事件・福岡地裁判決】(1997年2月5日)

▽ <主な争点>
猥せつ行為を理由とする懲戒解雇

1.事件の概要は?

本件は、N社の観光バス運転士として勤務していたAが未成年のバスガイドBに対して、猥褻(わいせつ)行為を行ったことを理由として懲戒解雇され、その処分の効力が争われたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<AおよびBについて>

★ Aは、N社に雇用され、観光バスの運転士として勤務していた者である。

★ Bは、平成4年3月、バスガイドとしてN社に入社した者である。

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<AのBに対する本件行為等について>

▼ AとBはそれぞれ運転士とバスガイドとして、5年6月2日から5日にかけて、3泊4日の日程で貸し切り勤務に乗務した。BにとってAとの乗務は初めてであり、互いに挨拶をする程度の面識しかなかった。なお、当時Bは未成年であった。

▼ AとBは第一日目である6月2日の夜、宿泊所のS旅館に到着し、食堂で夕食をとった。Aは夕食時からウィスキーを飲んでいたが、食堂で出されたビワをAの部屋で食べることになり、BはAの部屋に入った。

▼ Bは交際中の男性に電話をするため一旦部屋の外に出たが、Aに挨拶をして部屋に帰ろうと思い、再びAの部屋に入ったところ、Aはまだ飲酒していた。

▼ 同僚のバスガイドから泊まりがけの仕事であれば、運転士の機嫌を損ねてはいけないと聞いていたBは、一人で飲酒中のAをそのままにして自室に引き上げるのを控え、Aの部屋でビワを食べていた。

▼ Aはしばらく飲酒を続けた後、畳んであった布団を枕代わりに横になった。その後、AがBの手を取り、いきなり引っ張ったので、Bは重心を崩してAの上に倒れこむような形になった。

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