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#463 「X社事件」横浜地裁(再掲)

2018年6月6日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第463号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【X社事件・横浜地裁判決】(2014年9月3日)

▽ <主な争点>
時間外労働の限度基準を超える定額残業手当など

1.事件の概要は?

本件は、X社との間で労働契約を締結していたAが同社に対し、在職中の時間外手当および深夜手当ならびに同額の付加金の請求をしたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Aについて>

★ Aは、平成20年4月、X社との間で雇用契約を締結し、同社の飲食店において調理業務に従事していたが、25年6月に退職した者である。

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<X社の給与規程、業務手当に関する定め等について>

★ X社の給与規程14条には給与の種類が分類されており、基準内給与は基本給、役職給、食事手当、特別手当であり、基準外手当は業務手当、住宅手当、子供手当、調整給である。

★ 同規程15条には業務手当に関して「時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日勤務手当、休日深夜勤務手当の代わりとして支払うものとする。ただし、不足がある場合は別途これを支給する」旨の規定がある。

★ 同規程16条には割増賃金の計算方法に関する規定がもうけられており、算定基礎賃金は基準内給与とされているので、業務手当は割増賃金の算定基礎(時間単価)から除外されている。

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<X社における店舗従業員の労働時間管理方法等について>

★ X社において労働時間は店舗にあるパソコン画面上での(1)指紋認証システムによる出退勤打刻と(2)月毎の社員勤怠リストによる承認という方法で管理されていた。休憩時間に関しては、Aを含む正社員は勤務時間が長いため、休憩回数がアルバイト等より多く、複数店舗を巡回して移動中に休憩をとることもあるので、あらかじめ休憩時間がプログラムされていた。

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