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#449 「福星堂事件」神戸地裁姫路支部

2017年11月15日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第449号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【福星堂(以下、F社)事件・神戸地裁姫路支部判決】(2016年9月29日)

▽ <主な争点>
時間外労働割増賃金の請求など

1.事件の概要は?

本件は、F社の従業員であったXが同社に対し、未払の時間外労働割増賃金294万円余およびこれに対する遅延損害金、労働基準法114条に基づく付加金249万円余およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<F社およびXについて>

★ F社は、和洋菓子の製造・加工ならびに販売等を主たる目的とする会社である。同社の業務の概要は菓子製造会社が製造した個包装の菓子製品を化粧箱に箱詰め加工し、出荷先別に仕分けし、菓子製造会社に搬送するというものである。

★ Xは、平成21年12月、F社と期間を定めずに労働契約を締結した者である。Xの所定の就業開始時刻は午前8時30分、終業時刻が午後5時30分であり、主に菓子の運送業務に従事していた。

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<Xの勤務状況等について>

★ F社の取引先の菓子製造会社は西宮市に工場があるH社と尼崎市に工場があるE社の2社であったところ、Xは24年11月から25年9月まで、繁忙期には1回の往復では商品を載せきれないため、午前と午後の2便を出すことがあった。そのため、業務が過多なときは休憩時間をとることができない日もあり、休日出勤することもあった。

▼ Xは26年4月30日をもってF社を退職した。

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