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#147 「東海技研事件」大阪地裁

2006年8月2日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第147号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【東海技研(以下、T社)事件・大阪地裁判決】(2003年8月1日)

▽ <主な争点>
業務委託契約の労働契約性

1.事件の概要は?

本件は、業務委託契約の下で、T社の工事勧誘および募集業務に従事していたXが、同社が委託契約を解除したのに対し、契約は雇用契約であり、XはT社の従業員であったと主張して、労働契約に基づき、未払い賃金、未払い賞与および解雇予告手当の支払い等を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<T社およびXについて>

★ T社は、住宅設備機器の卸販売、取付工事、屋根工事および瓦・スレート等の販売を業とする会社である。

★ Xは平成10年9月、T社と業務委託契約書を交わし、同社大阪支店の委託販売員として従事していたが、14年6月、T社はXに対し、業務委託契約を解除する旨の意思表示をした。

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<業務委託契約書の内容等について>

★ 業務委託契約書によると、Xの業務内容は「顧客に対するT社の業務の説明ならびに同社の工事請負契約申込の勧誘および募集、それに付随する業務」であり、業務遂行にあたってXが支出する費用はX自身が負担することになっていた。

★ Xの勤務時間については、業務委託契約書では何ら定められておらず、ノルマもなく、いかなる契約を取得するかはXの判断に任されていた。

★ Xに対し、T社からの指揮監督は特になく、業務委託契約書では、「Xが委託業務を遂行するにあたって、業務委託契約により定めた他は、委託業務契約を遵守させるための指導、教育、管理を除き、T社はXに対して指揮命令をしてはならない」と定められていた。

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