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#23 「ユーロピアノ事件」東京地裁(再掲)

2004年1月28日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第23号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 参考条文

★ 労働基準法 第9条(「労働者」の定義)
「この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」

★ 労働基準法 第11条(賃金の定義)
「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」

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■ 【ユーロピアノ(以下、E社)事件・東京地裁判決】(2002年12月25日)

▽ <主な争点>
研修生の労働契約の成否

1.事件の概要は?

本件は、E社との間で「研修生(社員)採用規則」と題する契約書に基づく契約を締結したXが当該契約は労働契約であるとして、同社に対し、賃金、解雇予告手当等および損害賠償の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<E社について>

★ E社は、楽器の輸出入卸売、小売等を業とする会社であり、ヨーロッパ製の高級鍵盤楽器の代理店としてピアノの販売を主に行っていた。同社の営業社員にはピアノの調整等の技術が必要であった。

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<XがE社での研修を辞めるまでの経緯等について>

▼ Xは音楽大学のピアノ調律科の学生であった平成12年1月、E社の営業社員の求人に応じて、採用面接を受けた。

▼ E社はXを営業社員としては不適格であると判断したが、ピアノ調律技術者研修生として受け入れることを決定し、12年3月、Xとの間で「研修生(社員)採用規則」と題する契約書を締結した。

▼ 同契約書によると、当初6ヵ月間は無給とされ、研修の期間は最長2年間で、「一通りの課程終了後は優先的に正社員採用を考慮するが、期間中に将来社員としてふさわしくないと考えられる場合は、ただちに当契約を解除できる」とされていた。また、賃金を支給し始める時期や賃金の額等について具体的な定めはなかった。

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