転職者の定着率を上げるための方策
はじめに
企業の皆さんこんにちは。今回はアカデミックの話だけではなく企業向けの話、特に転職者の定着率についての考察を実施していきたいと思います。私は34歳までアカデミックでのポストを獲得しようと頑張ってきましたが、なかなか難しく…そんな矢先に現在所属している会社の人事の方から面接を受けてみないかという事で、あれよあれよという間に就職が決まりました。
企業には私の様に中途で採用された方もいるのですが、私と同じグループに所属していたAさん(仮)は、グループの空気が合わず、転職してしまいました。私は比較的居心地も良く、PMとしてのポジションも拝命しております。そういう意味では転職後の定着率を上げている要因にもなれているのではと思っております。
私とAさん、何が決定的に異なっていたのか。企業の人事の方々の役に立つような記事になれば幸いです。
定着率を上げるためには
否定しない環境づくり
まず一つ目は否定しない環境を作るということです。私も日々感じていたことなのですが、中途入社の人間は1年目では会社に慣れようと必死です。「あなたは”即戦力”として雇ったんだから、そこも含めて直ちに対応していただかないと困る。」まぁ、お気持ちは分からないでもないですが、新天地で、何がどこにあるのかすら分からない、何ならパスワードだらけの会社のパソコンに慣れるのに時間がかかっている状況の人間に「早く慣れろ」は酷だと思います。私はポスドク含めて3回ほど職場を変えていますが、①何がどこにあるのかを理解するのに2~3週間、②誰に何を聞けばいいのかを理解するのに1~2か月といったところで、いよいよ仕事を進めることができる段階というのは3か月以降になると思っています。そんなあたふたした所で「それは違う」「その思想はわが社にない」「〇〇してはいけない」と指摘するとどうなるでしょうか。不満がたまり、日々の業務に自信が持てなくなってしまうでしょう。それは更に、上司や同僚への不信感へとつながっていきます。そういう観点からも、否定しない環境づくりは非常に大事なのです。
前職とのマッチング
これも非常に大事です。例えばですが、中途採用候補者がバイオリンを弾ける人だったとしましょう。
候補者「私はバイオリンをメインにこれまで演奏してきました!」
人事「あなたは弦楽器が弾けるんですね!弊社ではそういう人材を欲しているのです!」
採用部門「…ビオラが弾ける人がいいな」
人事「バイオリンを弾ければビオラもいけますよね?」
候補者「え、お、おそらく弾けなくはないですが、専門ではありませんよ?」
これまでの経験上、この方は採用部門でビオラを弾くことになるでしょう。そして、もしバイオリンへの執着や愛が捨てられない…といった場合にはどうなるかというと、数年後にやはりバイオリンを弾きたくなり、転職する可能性がUPする。なんでそんな人材を取ったんだ?そんな人材取るわけがないでしょう、と思うのですが、結構そういう事って起こりえます。それだけ、候補者のスキルや学歴、職歴は重要と考えていただいたほうが間違いないと思います。
私の例
上述のように、私は結構うまくやれています。もちろん、アカデミックへの道に後ろ髪を引かれていないかと言ったらウソになります。ですが、企業でしかできないこと、社会人としてのやりがいは非常に感じていますので、今はアカデミックへ帰ろうとあまり感じていません。それだけ今いる職場が魅力的かつ、私にマッチしていると考えています。
①仕事のマッチング
私は化学者ですが、主に触媒化学をメインで実施しています。触媒と言ってもピンキリといいますか、多種多様なモノがありますが、原理・原則についての理解はある程度カバーしていると思っています。ですので、面接の際に「〇〇グループで触媒の研究をしていただきたいのですが…」との話が上がった際には、私のポスドク研究での実施内容にリンクしていたため、「△△でしょうか?直接触ったことはないのですが、充分知識もありますし、やってみたいです」と答えました。案外反応も良かったと記憶しています。
②仕事場の環境
正直なところ、否定的な方もいらっしゃったのですが、そこは上司がカバーしてくれたということもあり、「あなたはあなたの好きなこと、考えていることを言うべき」と言ってくださったので、最初はおっかなびっくりでしたが、今では率先して自分の意見を言えるような状態になっていると思います。
まとめ
とりとめもない話になってしまいましたが、結局のところ、中途採用者と受け入れるチームのマッチングは非常に重要という点が挙げられます。先ほどのバイオリンの例ではありませんが、弦楽器と言っても多種多様、やりたい楽器は演奏者それぞれです。志望者は志望者なりのバックグラウンドを有して、それでも何かの理由があって転職をしています。そこをはき違えてしまうと、志望者、受け入れる企業でのミスマッチが発生してしまい、結局また転職してしまう…といった悲しい出来事が起こってしまいます。そんなミスマッチを最大限抑え、入ってきた方への最大限のサポートをする。簡単そうで非常に難しいですが、それが定着率を上げる一つのコツなのかもしれません。
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