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新規事業開発はキラキラしてない、地味で泥臭い仕事

新規事業開発という仕事をするようになって、1年ちょっと経ちました。
この1年で新規事業開発について学んだことや実感したことを書きます。
まずは「新規事業開発という仕事では、どんなことをしてるか」という話です。

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新規事業開発をする人のことを「社内起業家」とか「イントレプレナー(intrapreneur)」と呼んだりします。

Wiktionary英語版では以下のように説明されています。

A person employed to work independently within a company in order to introduce innovation and to revitalize and diversify its business.

つまり「イノベーションを起こし、ビジネスを活性化・多様化するために企業の中で働く人」です。具体的に何するかはよくわからないけど、なんかスゴそうですね。

似たような言葉に「起業家」「アントレプレナー(entrepreneur)」という言葉もあります。
同じくWikitionary英語版の説明を見ると……

A person who organizes and operates a business venture and assumes much of the associated risk.

「ベンチャー企業を組織・運営し、関連するたくさんのリスクを引き受ける人」です。いわゆる会社の社長さんというよりは、どこか冒険家っぽい響きですね。

この社内起業家と起業家は、これまでにない新しい製品やサービスを作って世の中に価値を提供するという意味では、同じような活動をしてます。一般的には起業家という職業の方が、メディアやSNSで目にする機会も多いと思います。主な仕事の内容は次のようなことです。

・事業アイデアをつくる
・資金を調達する
・人材を集める
・アイデアを目に見える形(プロダクト)にする
・プロダクト(製品・サービス)をリリースして改善を繰り返す

言葉にするとシンプルですが、これを全部一人でできる人はまずいません。とはいえ初期の段階では、一人でやっちゃうスーパーマンみたいな人もいます。もちろんチームで協力してプロダクトを作り上げる人もいます。

さて、一方の社内起業家は会社のなかで「新規事業開発」という仕事をします。これまでその会社でやってきた商売とは全然違う商品をつくって売ったり、今まで商品を買ってくれていたお客さんとは全然違うお客さんを見つけてきて商売をすることです。

仕事の流れは、先ほどの起業家の仕事リストと同じようなものです。基本的にはアイデアを考えた人がリーダーとなり、数名のチームで仕事をすることが多いです。やっぱり一人では難しい仕事です。

わたしが新規事業開発に携わる前に抱いていた、この仕事のイメージというのがありまして……

いつも真面目に仕事をしている、目立たない会社員の新一(仮名)。彼はこのメーカーに入社して以来、大きな成功も失敗もなく、淡々と変わらない日々を過ごしていた。そんな新一はある日、上司からの指示で社内の人材育成セミナーに参加する。そこで出会ったひとりのベテラン社員。彼らはあることをきっかけに、全く新しい事業のアイデアを思いつく。その日をさかいに新一の平凡な日常は終わりを告げ、のちに伝説のイントレプレナーとして世間に認められるようになる小さな一歩を踏み出すのであった・・・

……なんかうまいこと表現しようとしたものの文章力がアレすぎて、心が折れそうになりました……

と、ともかく、なんとなくキラキラした輝かしいストーリーを想像してました。しかし現実には、なかなかシビアな環境でして、心が折れかけることも多いのです。

とくに感じたのは、社内向けの仕事の多さです。上司や同僚との打合せに使う資料の作成や説明・相談、または許可を取るために費やす時間がけっこう長いです。

例えばプレゼンという仕事ひとつとっても、社外の人にプロダクトの魅力を理解してもらうためのプレゼンよりも、社内の人にプロダクト開発を前に進める許可を取るためのプレゼンほうが多いです。ざっと1対5くらいの割合です。

こう書くと「内向きの仕事ばかりして時間を浪費している」と感じるかもしれませんが、そうではありません。新規事業開発という仕事を続けていくための予算をゲットするために必要なコミュニケーションなのです。

予算をとるということに関しても、優れたビジネスアイデアさえあればみんなが褒めてくれてどんどん予算がついて……という簡単な話ではありません。

基本的に会社の偉い人はとても論理的で批判的(なんでも否定するという意味ではなく、多面的・客観的に考えるという意味です)なので、その方々を説得しようと思うとアイデアだけでは無理です。

思いつきのアイデアに対して「市場の成長性は?」「競合他社の動向は?」「ターゲットユーザーの声は?」「自社で持っているリソース(従業員の能力や資産など)は活用できる?」「自社でやる意味は?」などなどなどなど……新規事業開発の担当者が説明すべきことは、たくさんあります。ここに書いたのはほんの一部です。

こういうことを調べるのに時間がかかるため、社内向けの仕事が増えるのです。

わたしも新規事業開発の仕事につくまでは「新規事業の企画ってなんかカッコいい、キラキラしてそう」というイメージを持ってましたが、実際には地味で泥臭い仕事です。

起業家も、プロスポーツ選手も、アーティストも、表に出てくるのはきらびやかで華々しいステージです。でも、その日常はコツコツと積み上げていく活動があるに決まってます。そもそも地味で泥臭いという意味では、どんな仕事でも同じなのかもしれません。

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新規事業開発という仕事の印象についてのお話でした。
それではまた!

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