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体育授業を子どもに任せるために私がすること

「学びを子どもに任せよう」
と考え実践するとしても、全てを任せてしまっては子どもはうまく学べません。
完全に自由に学ばせるのはかえって子どもにとって不自由になってしまうのです。

そのため子どもに学びを任せるからには、任せられるだけの「環境」を作る必要があります

そこで今回は、体育で子どもに学びを任せるために私がしていることを紹介します。


学び方を教える

学ばせるのなら「学び方」を教える必要があります。

私は「けテぶれ」を教えます。
この「計画」「テスト」「分析」「練習」という基本的な学習の型をもたせることで、どの子も学び方に困らないようにします。

しかし、けテぶれを教えただけで子どもたちが自分たちで学んでいくようになるわけではありません。

やはりそこには、粘り強い指導が必要になります。

「いい学び方とはどんな学び方か」ということを教師が自分の中に確立させ、それを子どもに伝えることが大切だと思います。

ここについては、今後詳しく書いていきたいと思います(いずれ、、、)。

つまりは学びの型を子どもたちに教え、それを子どもが使いこなせるようにすることで学びを任せられるようにします。

必要な技術を教える

「学びを任せる」とはいっても、その運動に必要な最低限の技術を教えなければ子どもたちは何をすればいいかわかりません


「学びを任せる」というのだから、必要な技術は子どもに見つけさせるべきだと考えるかもしれません。
かつての私はそうでした。そして、多くの失敗もしてきました。

よく考えてみてください。
例えばプロ野球選手でも、バッティングやピッチングのフォーム、走塁の仕方などを教えてもらいます。つまり、野球が上手くなるために必要な技術を教えてもらっているわけです。
それなのに、小学校で行われる体育の授業で必要な技術を教えないのは少し無理があると思いませんか

私はそのことに気づかず、子どもたちに全てを見つけさせようとして、結局「何を学んだの?」状態になりました。

もちろん、何も教えなくてもできるようになる子はいますが、それは一部の上位層の子だけではないでしょうか。

多くの子は、動きがわかっていても「動き方」がわからず上手にできないと思います。
つまり「わかっていてもできない」のです。

にもかかわらず、技術を教えなければ「わからないしできない」という状態になってしまいます。
こうなると、授業に対する意欲はなくなって当然ですよね。

そのため学校で行われる体育授業としては、その運動に必要な最低限の技術を教えた上で「どうすればできるようになるか」という問いに対して学習を進めていくことが大切だと思っています。

コツを掴ませる

「コツを掴む」とは自分がやりたいと思っている運動を行なっているときに「こうすればできる」と頭でも体でもわかっている状態のことを指します

言い換えると、自分がやりたいと思っている運動を成功させることができ、さらに成功させるための体の動かし方を知っている状態といえます。

体育ではこの「コツを掴む」ということを大事にしています。

ここで、「技術」と「コツ」のちがいを整理しておきます。

「技術」とは、「だれにでも有効で客観的な運動のしかたを示したもの」です。

「コツ」とは、「運動を成功させるための体の動かし方のポイント」です。

この2つの違いは 技術は「客観的」なものであるのに対し
コツは「主観的」なものであるという点です。

つまり
技術は、誰にでも当てはまるものであるのに対し
コツは、人によって違うものなのです。

跳び箱運動の「開脚跳び」を例に挙げて説明すると
「手で跳び箱を突き放す」
「手をついた後に体を切り返す(起こす)」
といったものが「技術」で
「手で跳び箱を叩く感じでつく」
「手をついた後は前を見る」
といったものが「コツ」といえます。

このように、コツを掴ませることで運動に対して「自分はできる」という感覚をもつことができます
「自分はできる」と感じることができれば、少なくとも「運動がつまらない」とは感じないはずです。

では、コツはどのように掴ませるのか。

それは、「思考」と「試行」を繰り返すことです。

友達や教師、器械・器具との対話、身体を動かしたときに感じたことを振り返る自分の身体との対話、お手本を見るなどして「どうすればできるのか」考えることと
考えたこともとに様々な体の動かし方試しながらうまくいくためのポイントを探す

この2つが非常に重要になります。

そして、2つを両輪として授業を進めていくために私が採用しているのが、上でも述べた「けテぶれ」です。
けテぶれで学習を進めていくことで、「思考」と「試行」を繰り返していくことができます。

なぜ私が「コツを掴ませる」ということにこだわるのかというと
それこそが体育の授業で行われる「学習」だからです

体育は、ともすれば「活動あって学びなし」の授業になることが往々にしてあります。
それでは、授業として体育を行う意味が圧倒的に薄れてしまいます。

しかし、「コツを掴ませる」ということをねらいとして授業を進めていくことで
活動の中で「どうすればできるのか」を考え、様々な動き方を試しながら目標とする運動に近づいていきます。
つまり、学びがあるのです

少々濃い内容になってしまいましたが、子どもに学びを任せるために「コツを掴ませる」ということを意識しています。

安全管理

これは言わずもがなですね。

しかし、よく抜け落ちてしまう視点なのではないでしょうか。

安全管理は、教師だけがするのには限界があります。
そのため、子どもたちにも安全について理解させたうえでみんなで安全管理を行なっていくことが大切です

そのために私がよくやるのが、考えられる危険を子どもたちに出させ、それを解消するための方法をみんなで考えさせる というものです。

例えば跳び箱運動であれば、
・跳び箱の横に落ちてしまう可能性がある
・助走の時に人にぶつかる

といった危険を見つけ、
・跳び箱の横にマットを置く
・助走路を横切らないように動線を作る

という感じで進めていきます。

学年によっては、安全のポイントを模造紙に印刷しておき、穴埋めにして子どもたちに考えさせることもあります。

注意しなければならないのは
子どもたちだけでは気づかない危険なポイントは教える
授業中は危険がないか常に目を光らせておく

ということです。

安全管理を子どもに任せることは非常に危険です。
もしも事故が起きたら教師が責任を問われることになります。

安全管理については、常に最大限で細心の注意を払っておく必要があります。

フィードバックが受けられる仕組みづくり

子どもたちが自分たちで学びを進めていくためには
「できているのかできていないのか」
「良かったのか良くなかったのか」
「何が良かったのか良くなかったのか」
といったことを、子どもたちにとってわかりやすく、そしてすぐに受け取れるようにしなければなりません

自分が行った運動が良かったのかどうかがわからなければ、自分は何をどのように頑張ればいいのかわかりませんよね。

そこで、自分が行った運動に対してフィードバックが受けられる仕組みをつくることが重要になります。

私がよくやるものとしては
・テープを貼るなど、目指すものを視覚化し、結果が一目でわかるようにする
・試技が終わったら次の人の試技をみてアドバイスをする
・兄弟チームにパスやシュートの回数などを記録させる

などがあります。

ここに関しては経験が豊富な方にたくさん教えていただきたいところです。
種目にもよりますが、何かよいものがあればぜひコメントなどで教えてください。


「広げる」と「深める」が選択できるようにする

「広げる」は運動の難易度のことを指します
例えば跳び箱運動の切り返し系であれば
「馬跳び」ー「開脚跳び」ー「抱え込み跳び」ー「屈伸跳び」ー「開脚伸身跳び」
のように、技を設定します。

こうすることで、子どもが自分の能力に合った技を選択することができ、「自由進度」的な学習になります。

「深める」とはその運動の上手さを指します。
またまた跳び箱運動の切り返し系でいうと
「ギリギリ跳べる」ー「跳び箱から50cm離れたところに着地できる」ー跳び箱から80cm離れたところに着地できる」ー「跳び箱から1m離れたところに着地できる」
といった感じです。
これらの中から子ども自身に目指すレベルを選択させることで「自由深度」的な学習になります。

この2つの視点から学習の方向性を示してあげることで、一人ひとりに合った学習が選択できるようにします。

こうすることで、子どもたちに学びを任せても迷子にならずに取り組めるようにしています。

最後に

今回は、体育で子どもに学びを任せるために私がしていることを紹介しました。

ここで紹介したことは、私自身がやってみて良かったと感じたものです。

しかし、まだまだ改善すべき点も多くあります。

今後は本実践を磨いていき、さらに子どもたちの力を伸ばせるようにしていきたいと思います。

この記事が誰かの参考になればうれしいです。

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