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子どもが自ら学び考える体育授業 〜体育✖️けテぶれ〜

けテぶれとの出会い

最近私は「けテぶれ」に大きな可能性を感じ、日々の授業の中に取り入れています。

「けテぶれ」という言葉を聞いたことがないという方もいらっしゃると思います。

その方はこちらをご覧ください。

簡単にいうとけテぶれとは

「計画」「テスト」「分析」「練習」の頭文字をとった言葉であり、「けテぶれ」の順番で子どもたちに学習を進めさせていく方法です。

この方法で学習を進めさせていくことで、子どもが自分で学びを進めていく「自己学習力」をつけていき、自ら学び考える「自立した学習者」として育っていくのです。

私は大学院時代から「子どもたちが主体的に学ぶためにはどうすればよいのだろう」と疑問を持っており、教師になってからもそのことで悩んでいました。

板書の仕方や教材教具、話し方の工夫など、「教師の指導技術が大事だ」と様々な講義や先輩先生からの話、勉強会で聞いてきました。

このことはものすごく大事だと思う反面、それだけではないよなとなんとなくモヤモヤした気持ちも持ち続けていました。

そんなときに出会ったのが「けテぶれ」という学習方法でした。

けテぶれの意味を知り、本も読み、Twitter上にある様々な実践を見る中で「求めていたのはこれだ!」という感覚がありました。

学習の型を「けテぶれ」とわかりやすく具体化し、子どもたちがそれを使って学習を進めていくというところに惹かれたのだと思います。

そして、すぐに実践してみました。

けテぶれの実践

4年生の担任をしていたときに初めてけテぶれを実践しました。

最初は漢字学習をけテぶれで行いました。

これをした時期は年度が終わる約2週間前で、担任の裁量で自由に授業を使ってもよい時間があったので、「クラスの仲間の名前を漢字で書けるようになろう」と目標を立て、けテぶれで子どもたちに漢字学習(?)に取り組ませました。

すると、様々な方法で漢字を覚えようとする姿が見られました。

一人一人の机に貼ってある名前カードを一人ずつ見てメモしていく子、黒板に名前カードを貼ってそれを見ながらノートに何度も練習する子、友達と問題を出し合いながら練習する子など。

そこには生き生きしながら学習に取り組む子どもたちの姿がありました。

その後、小テストで5人の名前をテストし、その結果に様々な感情を露わにする子どもたち。

そして、間違えた字をノートに何度も練習する姿。

やっぱり求めていたものはこれだという感覚でした。

そして、子どもたちと同様に私も心が躍るような気持ちになったことを覚えています。

年度が変わり、新たな学級で様々な場面でけテぶれを通した学習を進めていきました。

その中で、子どもたちの素晴らしい成長を見ることができ「けテぶれを中心にこれからの教員人生を歩んでいこう」と決めました。

また、体育専科として採用されている立場としては、体育にけテぶれを導入し実践していく過程で「体育とけテぶれは相性がいい」と感じました。

体育とけテぶれの相性の良さ

様々な場面で体育とけテぶれの相性の良さを感じましたが、以下にその例を挙げます。


子どもが自ら考え学んでいきやすい

体育は比較的、けテぶれが回しやすい教科だと思います。

目標の動きを決め(計画)やってみて(テスト)どうすればさらに良くできるかを考え(分析)考えたことを実際にもとに練習する(練習)

のサイクルがすぐにできます。

もちろん、けテぶれの質は初めから高いわけではありませんが、子どもたちが自ら学び考えていくことが比較的容易にできます。

すると、先に紹介した漢字の学習の時のように、子どもたちが生き生きしながら学習に取り組むようになりました。

もちろん、けテぶれを子どもたちに手渡しただけで全てがうまくいくわけではありませんが、けテぶれを手渡すだけでもかなりの効果を感じました。


個別最適な学習が図れる

体育は、子どもたちの技能差が大きく、指導する上での大きな悩みの一つでもあると思います。

そのような中で、一人ひとりに合った指導の難しさを感じることも多いと思います。

しかし、けテぶれで学習を進めさせていくことで、それが大きく改善されたように感じます。

そもそも「個別最適な学習」とは、「学習の個別化」と「指導の個別化」に分けられます。
例えば「跳び箱運動」では、子どもたちが自分に合った技を選択し、その技の習得や上達を目指して学習に取り組みます(学習の個別化)。

けテぶれを回していく中で「自分はこれができる」「これはできない」を把握し、それに応じた自分の目標を持つことができます。

教師としても、一人一人の技能レベルが把握でき、その子に合った指導がしやすくなりました(指導の個別化)。

このように、けテぶれを体育に導入することで、個別最適な学習が図りやすくなりました。

なお、サッカーやバスケのようなチーム行う種目についてはこれからさらに実践と研究が必要だと感じています。


自分の小さな成長に気付ける

体育では、自分の「できなさ」を他人に晒すことで運動することに嫌気がさし、体育が嫌いになるということが多々あると思います。

これはつまり「他人と自分を比べることで体育が嫌いになる」といえます。

ポイントは「他人と自分を比べる」です。

この場合、評価の軸が自分ではなく他者になっています。

こうなると「自分は運動が下手くそだ」「下手な動きを見せたくない」と、体育に対してネガティブな感情になる子も出てきます。

余談ですが、私が教員採用試験の面接を受けた時、「運動が嫌いな子にはどのように指導しますか」と聞かれました。

その時に答えたのは「他者とではなく過去の自分と比べて小さな成長も喜べるようにします」でした。

今考えると、この考えが生まれたのは体操競技を長年続けてきたからなのだと思います。

体操競技はよく「自分との戦い」と言われます。

他者と比較するのではなく、自分の理想とする演技を求め、それに向かって日々努力していく。孤独な毎日ですが、少しでも理想に近づく成長ができたときの嬉しさと言ったらもう。

きっと、他人と比べていたらこんな喜びはなかったと思います。

子どもたちにもこれを体験してほしかったのだろうと思います。

話を戻すと、けテぶれでは「過去の自分と今の自分」を比べることを求めるので、他者と比べることは自然となくなっていきます。

また、自分の小さな「できた」にも気づき、運動が苦手な子も自分の動きに対してポジティブに捉えられる場面が多くありました。

その結果、運動が苦手な子が楽しそうに何度も跳び箱を跳び続けるなど、楽しく体育学習に取り組めるようになってきました。

けテぶれ、最高。

自分の身体の感覚に目を向けられる

体育では「できるけど、なぜできているのかわからない」ということがよくあります。

これは、身体ではその動きを覚えているが、頭ではコツがわかっていない状態だといえます。

これは、自分の身体の感覚に目が向けられていないことが考えられます。

そこで、自分の動きについて「分析」させると、自分の動きを理解しようとし、自然と身体の感覚に目を向けるようになりました。

そして、自分なりの動きのコツをつかんでいきました。

また、できない動きを習得する場面でも、身体の感覚に目を向け、どうすれば動きが良くなったのか・できるようになったのか、何が悪くてやりたい動きができなかったのかなどを考えることができます体育ではこちらの方が圧倒的に多いです。

このように、自分の身体の感覚と向き合い、「自分はこうすればできる」というコツをつかむことで運動の楽しさを感じていくことができます

私はここが体育では重要だと思っています。

様々な運動のコツを見つけることができれば、様々な運動を楽しめるだけの技能が身についているといえます。

それこそが、体育の目標である「豊かなスポーツライフ」の実現に繋がっていくと考えています。

決して、楽しく運動ができるように教師が何もかもお膳立てして行われる体育の中でだけで運動を楽しむのではないと思っています。
もちろんそれが必要な場面もありますが、あくまで子どもたちが自分たちだけで運動を楽しめるだけの能力をつけていくことが大事だと思います。

そのための手段として、けテぶれはかなり有効な手段だと感じました。

けテぶれ、最高。

最後に

今回は、私のけテぶれ実践や体育とけテぶれの相性の良さなどについて書きました。

ここでは紹介しきれないくらい、体育にけテぶれを導入する良さはたくさんあります。

また、実践する中で成果や課題をたくさん得ることができました。

今後はそれらも含めて、体育とけテぶれについて書いてみたいと思います。

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