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テキストカバレッジ:レガ鯖杯決勝 ほっとけーき(赤単ペインター) VS てち(Lands)

(筆:サカイ)

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あなたは「決勝戦」に臨んだことはあるだろうか。

それが地方店舗の身内の集いにせよ、全国から猛者が集まった競技的な大会にせよ。
8人構築だろうが、1000人参加だろうが必ず決勝戦は存在する。
無論その決勝戦に込められる意味合いや名誉等は大会によって様々だ。

決勝に臨む人、そこに臨む前に敗れた人、ただその戦いを観戦する人・・・関心や重さ等各々の思いもその数もそれぞれまちまちだろう。

ただ、その中にあって一つ共通しているのは。
その日・その場に集まった中で一番強いやつを決める機会が「大会」を名乗る以上は必ずそこに訪れるというその一点。

今回のレガ鯖杯とてそれは例外ではない。

リモート対戦によるオンライン大会、という形こそ奇抜かもしれない。
総勢の参加者は24名、普段から大きなコミュニティ・店舗で遊ぶ人間からすれば必ずしも大きな大会ではないかもしれない。
参加者も普段からMOで競技的にレガシーを研究したり、身内でレガシーを回しているだけだったり。経験年数も初参加から20年来のプレイヤーまでとてんでバラバラだ。

されど繰り返しになるが、これも決勝戦だ。
他のあらゆるトーナメントと変わらない、「この日この場で一番強いやつ」を決める特別な時間がやってきた。
一人回しやフリープレイでは決して得ることのできない、大会を開催することでのみ訪れる「決勝」という機会。
その機会がささやかにせよ特別であるということを、私の拙筆で少しでもお伝えすることができれば幸いだ。

前置きが長くなった。
第4回レガ鯖杯決勝戦、プレイヤーとデッキの紹介から始めよう。


まずはスイスラウンド上位の側から。
プレイヤーネームはほっとけーき。スイスラウンドは4位通過。
使用するデッキは「赤単ペインター」。

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ペインターこと、《絵描きの召使い》と《丸砥石》によるワンショットライブラリーアウトを基本戦術に据えたコンボデッキだ。デッキの詳しい概要やここに至るまでの活躍は、準々決勝のカバレージもご一読頂きたい。


対するはプレイヤーネームてち。スイスラウンドは6位での通過。
こちらが駆るのは「Lands」。

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「土地単」とも称される、その名が示す通り土地を中心にしたデッキだ。基本勝利手段は《暗黒の深部》+《演劇の舞台》のマリッドレイジコンボ。

こちらもよろしければ、デッキ概要やここまでの活躍を準決勝カバレージにて確認して頂きたい。


青が席巻すると言われがちなレガシーにあって、非青系コンボデッキ同士のマッチアップとなった決勝戦。
「この日この場で一番強い奴」を決める対決の行方をお届けしよう。

・G1

両者7枚でのキープから。
先手は順位が上のほっとけーき。

《冠雪の山》を置いてのエンドに対し、てちは「《冠雪の山》・・・?」と相手のデッキがわからず疑問符を浮かべながらドローするがひとまず《森》を置くのみでターンを明け渡す。

返されたほっとけーきは対照的によどみなくカードを引くと、「こっちか」と呟きつつ迷いなくカードを切る。《古えの墳墓》セットから3マナ、《帝国の徴募兵》だ。
着地してサーチするのは、《月の大魔術師》
土地の機能を沈黙させる、土地単側から見れば悪夢そのものだ。

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てち「プリズン・・・?いやペインターやこれぇ!」

先の準決勝において、マッチアップの関係上ゲームが長引いていたてち。非常に多くのプレイヤーたちから観戦されていたようで、先に決勝にコマを進めていたほっとけーきにはデッキがバレてしまっていたようだ。
カードゲームの大会ではあるあるだが、リモート対戦の大会でもこれは変わらない。

「勘弁してくださいよ~」と嘆きながらターンを受けるてち、せめての抵抗とばかりに《不毛の大地》から《古えの墳墓》を破壊して展開を遅らせにかかる。
・・・が、無情にも返すターンでほっとけーきは《裏切り者の都》からあっさりと《月の大魔術師》を着地させる。

ますます声色が曇るてち、幸い《森》からスタートしている都合色マナでの面での被害は今のところないが致命打であることに変わりはない。
《踏査》から《リシャーダの港》・《演劇の舞台》と土地を並べるがどれもただの山でしかない。
が、山ということは赤マナ源ではある。
本来無色しか生まない土地2枚から、《罰する火》を放って《月の大魔術師》を焼き払いてちがマナ基盤を取り戻しにかかる。

しかし、そこからの盛り返しをほっとけーきは許さない。
《裏切り者の都》からマナを出しつつ《大焼炉》をセットし4マナ、《反逆の先導者、チャンドラ》

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重い二の矢

さらに+能力から2マナを生むと、《ゴブリンの技師》を戦線に追加。
コンボパーツの《絵描きの召使い》を墓地に落とし更なる脅威を展開し続ける。

対処しなければならないカードが急に増え、追い詰められるてち。
《死者の原野》と《Taiga》をセットしつつ《溶鉄の渦》を置いて盤面への干渉を試みるが、赤マナ源が少なく苦しい。

それを尻目に、チャンドラを起点にどんどんとカードを展開していくほっとけーき。《呪われた鏡》を《帝国の徴募兵》のコピーとして戦場に出すと、《呪文滑り》をサーチしてコンボへの干渉も許さない構えだ。

てちも《リシャーダの港》でなんとか動きを封じたいところだが、マナがなければチャンドラがマナを、手札がなければトップのカードを追放してほっとけーきの動きをがっちりとサポートしている。
PWという触られにくいパーマネントの面目躍如だ。

やがてそのチャンドラがトップからめくった《血染めの月》を見たところで、てちは静かに投了を宣言した。

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月は出ているか

ほっとけーき WIN!(1-0)

メインからの特殊地形対策《血染めの月》・《月の大魔術師》のW採用と、てち操る土地単にとっては致命打を撃たれ続ける無情なゲーム展開だった。
相性が露骨に出ているため、メインゲームはやむなしといったところか。
てちも「いや~きつぅ~」「メイン月かぁ~」と呻きつつのサイドボーディングに入る。
対するほっとけーきはその相性有利の余裕故なのか、静かかつ速やかにサイドボード入れ替えを済ませている。

両者とも対策カードが採用されるであろう2戦目以降の展開に期待しよう。


・G2

先手が代わっててちから。
7枚でキープするてちに対し、ほっとけーきは即決のマリガン。
6枚でキープでゲームスタート。

てちは《吹きさらしの荒野》から《森》、更に《踏査》で口火を切る好スタート。追加のセットランドで《不毛の大地》から特殊地形を牽制する。

対するほっとけーきは当然とばかりに基本地形《冠雪の山》、更に《睡蓮の花びら》で初動のマナ加速に追いすがる。

第2ターン、てちは《暗黒の深部》を捨てつつ《モックスダイアモンド》をキャストから《ヴァラクートの探検》を送り出す。

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エンチャントは赤単にとって鬼門の一つでもある

早速《リシャーダの港》を置いて上陸を誘発させると、めくれたのは《倦怠の宝珠》。CIP能力を封じるアーティファクトだ。

おそらくサイドカードなのだろう、欲しかったカードだけに「うわあ~欲しかった~」と呻くてち。実際《帝国の徴募兵》や《ゴブリンの技師》等厄介なCIPを止めることが可能だ。
このターン《踏査》による2回目のセットランドがまだ残っているのだが、この様子だと手札にマナの出る土地がなさそうだ。
やむなく宝珠を墓地に送って1点をほっとけーきに与えつつターンを終えるてち。

・・・がしかし、土地がなくて口惜しい思いをしていたのはてちだけでなくほっとけーきも同様だった。「うわ土地引かんかった」と細く呟いてターンを返すしかない。先ほどとは逆にマナの自由の面ではてちに圧倒的に分がある状況だ。


《壌土からの生命》でフェッチランドを回収しつつ、再び《ヴァラクートの探検》を誘発させ、それによりめくられた土地を《踏査》によって次々展開、さらに上陸を達成させていく。
この間にめくられた更なる《リシャーダの港》により、ただでさえマナスクのほっとけーきは毎ターン土地を寝かされる始末。

なんとか引き込んだ《髑髏砕きの一撃》を土地としてプレイし、《ゴブリンの技師》から展開を試みるほっとけーき。

が、最早盤面のマナ優位は揺るがない。
返しのてちが《壌土からの生命》で発掘したカードから拾い上げた《演劇の舞台》と先に回収していた《暗黒の深部》が盤面に揃ったところで、ほっとけーきは苦々しく「無理ですね・・・」と投了を宣言した。

てち WIN!(1-1)

ほっとけーきのマナスクを咎める形で、今度はメイン戦の雪辱とばかりに一方的な展開を見せたてち。
「事故に付け込む」形とはいえ、そういった攻め方ができるのが土地単というデッキの特徴でもある。勝負のカギはお互いマナベース面への攻撃という形にもなりえるだろう。
決着は最終ゲームへと持ち越される。


その第3ゲームに向けたサイドボード中、今まで比較的黙々とプレイしていちゃほっとけーきが「いや~勝ちてえなあ~・・・」と素直な勝利への欲求を口に出す。
それにはてちも「最後ですからね~今日の・・・」と頷きを返す。
殺伐した雰囲気でこそないが、お互いしみじみといった様子でカードを吟味している。

そう、これが今日最後のサイドボーディングだ。
スイスラウンドから数えて8戦に及ぶ長丁場を勝ち抜いてきた両者。
されどやはり優勝の座につけるのはただ一人、というのはほかのあらゆる大会と変わらない。
決勝の重みは同じ、総勢24名にて争ってきた「この日この場で一番強い奴」を今こそ決めようじゃないか


・G3

先行は戻ってほっとけーき。
両者7枚でキープ。

ほっとけーきは《冠雪の山》から《ゴブリンの溶接工》でスタート。
対するてちは《モックス・ダイアモンド》と《燃え柳の木立ち》から《森の知恵》。
ここにきて両者ともキーカードへのアクセスを高めるカードからとかっ飛ばしている。

とはいえ《森の知恵》スタートはやや予想外だったかほっとけーきはややたじろぎつつターンを受ける。
しばし小考するも、《古えの墳墓》セットから意を決して送り出すのは最重要カードである《絵描きの召使い》

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実はこのマッチ初登場

着地で青を指定すると、早速《紅蓮破》を放ち、青く染まった《森の知恵》を破壊する。
早々に出鼻をくじかれたてち、慎重に手札を吟味すると「ここはリスクを負うか・・・」と《不毛の大地》を置いて《不屈の追跡者》を送り出す。
互いに初ターンから呪文を連打するへ激しいゲーム展開になっている。

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アド源がエンチャントだけとは言ってない

《不屈の追跡者》の登場もまた予想の外だったらしいほっとけーき。
ターンを受けると数秒固まってしまったが、「それでもこれしかない」と送り出すのは土地単への必殺カード《血染めの月》

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やはりこいつが肝なマッチアップだった

フルタップのてちにはどうしようもない。ただ、《モックス・ダイアモンド》がある故色マナは最低限保障されているし手掛かりトークンは無色マナでも起動可能。メインゲームほどの絶望的盤面掌握ではないだろう。
ほっとけーきも「《活性の力》があるから万全ではない・・・」と独り言ちてロック解除への懸念を示す。コンボパーツの片割れこそ揃っているが油断はなさそうだ。

ターンを受けたてち、ひとまず山と化した《新緑の地下墓地》を置きつつ手掛かりトークンでドローを進め、トラッカーでクロックをかけていく。
ブロックは当然なし。
とりあえずは土地を立ててエンド宣言。

しかしほっとけーきの第4ターン。
送り出されたカードにはてちも大きく呻く。
《ゴブリンの技師》である。

CIPから墓地へと落とすのは無論、残るコンボパーツの片割れ《丸砥石》

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既に戦場にいる《ゴブリンの溶接工》の召喚酔いは無論解けている。
そして、戦場には既に入れ替え用のアーティファクトも鎮座している。

ほっとけーきが《ゴブリンの溶接工》が起動を宣言、墓地の《丸砥石》がターゲットにとられる。
そこに「スタックで」と割り込むてち。
キャストするのは《輪作》、サーチするのは《ボジューカの沼》。

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墓地をすべて追放する能力を持った土地。
なるほどこれで相手の墓地を吹っ飛ばせばコンボは不成立だ。
・・・本来ならば。

サーチされたそのカードに対し、ほっとけーきが静かに口を開く。

ほっとけーき「それ、山です」

《血染めの月》に照らされた戦場に、土地が能力を持つことは許されない。
月は最後まで赤々と戦場に鎮座したままに、てちに敗北の頭を垂れさせたのであった。


ほっとけーき WIN!(2-1)


メインゲームから続いて、やはりマナ基盤への致命的な攻撃手段を持つ赤単ペインターの優位点が光るマッチアップとなった決勝戦。
ラストゲームはお互いに序盤から手札を豪快に展開する形となったが、その中にあって素早くキーカードを引き当て、そして相手の有効牌を弾き・無力化する先手を取り続けたほっとけーきに軍配があがった。

改めて全8回戦を勝ち抜き、「この日この場で一番強い奴」として君臨した勝者の名前を称えて本カバレージの結びとしたい。
願わくば、決勝に臨んだ両者はもちろん、次回以降の活躍とこのカバレージを読んでくださった皆様とも決勝の舞台で戦う日が来ることを楽しみにしながら!

第4回レガ鯖杯、優勝者は「赤単ペインター」を使用したプレイヤーネームほっとけーき

優勝おめでとうございます!

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