【短歌連作20首】Swingin'
※「第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト」応募作品の再掲です。
Swingin'
首元を拭けば冷やした林檎の水で喉のかたちをあらためて知る
苦しみをあらわす美しい漢語 いのちの語呂が悪くなるとき
ジョン・ウィックが銃を組み立てる速さで2錠・半錠・1錠と飲む
残飯をアンチエイリアスを性欲を処理だと言う波風うちよせて
これ以上安くで買うと食うことが難しくなる元禄箸よ
目や口の動きに怯えさみどりのセル空間をぴこぴこさせる
餅を捏ねる餅を捏ねる餅を捏ねる「お前の元気、は怖いんだよな」
蛹からダイスが積み上がり出てくる数字はばらばらのまま出てくる
あのころは確かに倫理の片棒を担って今は奇妙なポーズ
なるほど詩にうたいたくなる白い羽つぎ会う時は生きててくれよ
考えうる最悪の選択のあとで何も食べたくないと気づいた
鬱のことを言ってしまえる星月夜まだ都会では見たことのなく
雀の子を散らしてしまった自分かと振り向く先でまた散る雀
セッションを観たことはなく死んだ人がひとりいるのは把握している
かつてないほど珍しい条件で石は孔雀を死にながら咲く
Twiggy 逡巡 Cuisine 惨憺 Swingin' 今日は帰ろうおもては街だ
いちどだけ人に届いたことがある 短歌の言葉になってしまった
「かなしみ」とあだ名で呼ばれ極彩の光の中に消えて行きたし
浅黒い いやもっともっと浅黒い あー もっと浅 あ~あ 自由だ
さてお別れです。その前に、素晴しい時をはじめから見ていきましょう
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