【短歌連作25首】Gray Goo
どこまでを引けば喜劇に撮れるだろう 雨と炎の混ざる頬から
生命を爆発させて室外機五蘊五蘊と鳴る短夜に
犬走る塗れるための美しい泥を行方にばらまきながら
権力の擬人化の擬人化の饅頭化 外服で寝たので血が濁る
石畳切り抜け都市の末梢はパクチーと区民プールの匂い
悪人に優しい生き物殖やされて戦争の論文を興味深いと思う
正しさに輪っかを書いてやるだけで羽まで生える have や 12 や
燃え尽きた柱のもとを見つめればどれもチカ、チカ、意志ではないか
その苛烈な痛みの後にも壊れえぬ防音室を誰しもよ持て
九分九厘あんなの助からなかったの事実にいつも寝に帰ってくる
*
生きるため生きるのトートロジーのうた苦々しく鳴る灰降る街で
黒鳥に過去も未来も同じことよんじゅうごねんよんじゅうごねん
ぽやんの子ぽやんで生きて生き残りぽやんの馬を飼えば見守り
宇宙ごと灼いても消えず珊瑚礁 nightcored 富めるもの富み…
瞑っても瞠ってもどうしてもこの世 あなたを撫でる術ここになし
雨札のような十年、否、百年、否、否、億年、否、否、穂粒
*
横たえた胸に右手で触れるとき未来の軍の大太鼓鳴る
汝の星で三角をなす星群は吾の星で投棄のピンホール
汝の星で遺伝子と呼ぶいざこざは吾の星でただの占い道具
汝の星で快と不快に別けられたそれは吾の星では同じもの
無明から無明へ消える道の駅 昼夜はわずか星の羽搏き
心臓の潮よ汐よ潮よ不可解に汐よ潮よ汐よ漫ろにぬるく
(reply to 心が壊れてから行ける場所はどこにもない)本当に?
こするから眼は赤くなる 流れるままにしておけばいい
*
ハルキュウセンどうだ差せるかハルキュウセンハルキュウセンかハルキュウセンか
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