【短歌連作30首】One Quintillionth
One Quintillionth
現実に錠菓。直径1cmつまりは
0.000000000000000001光年を噛む
1
東京に永いピクニックで来てるずっと紙皿ずっと紙コップ
友達は今食べているチョコパイを1人とすれば 0人
本誌では死んでいる子のキーホルダー 本誌で契約社員の私
ギュッとしてホッとしたならゴミ袋でも愛の可能性に注意を
甘くかつ辛いカレーがあるように悲しみは喜びで埋まらない
死にたいと言えば違うが100人の自分を1桁まで減らしたい
答えを出すことはできない 考えないことはなおさらできない 泳ぎ
3
人間で言えば百歳の人間が水面を跳ねる夢を見ている
咬んだのがレパードかレオパードなのかはっきりすればそこを起点に
マジ泡w と流行り言葉の人魚らを語源の姫も陰で見ている
漱石のこゝろと金子みすゞとを搾取してこの文字をフォームへ
「すぱしーば」あのまばたきが言っていた 当人言っていないと言うが
1 sec と言い本当に 1 sec で止め刺しされた獣の名前
お断り申し上げます → I refuse → やだ ウェルニッケ野に跳ねる石
2
言い分がひとつも理解できないが宇宙のコスプレなら仕方ない
ねじまげてワルツで歌う人だったもっとシンクロしてもよかった
この夜のためなら百年塩漬けにされてもいいとは、ええ、思いません
祈る守る信じる向き合うAJINOMOTO 意味がするまでもっと何めよ
ずっとこうしてられるなら避難指示ずっとこう避難して指られ示る
キバラスズガエルの瞳が本当にハート型かを調べてから 発つ
あの馬の死後をごちゃごちゃ生きている いつか絶好調になりたい
0
軽口を叩けばすごい勢いで離れていくドクターフィッシュたち
あまりにも逃げないせいで今の子は鳩が飛べると知らないらしい
自白剤飲んで湯布院ひとり旅生きて帰ってこれるかどうか
たんぽぽの花びらだって気づくのが早すぎて疑ってはいたが
人生が無駄の逆位置 後々に激怒されても窓際を取る
落語家は悲しい続きのあるネタの前半まででサゲたりできる
神様の拡張子だよ .mp5 どんな命も再生してね
人類に残った仕事はあとひとつタテにならないちょうちょ結びを
▼画像版
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