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Gate.の歴史に見る、不動産AI分析の過去と今

こんにちは!リーウェイズ広報の森です。リーウェイズ10周年を記念して、今回は弊社のプロダクトである不動産価値分析 AI クラウドサービス「Gate.」の歴史を振り返りたいと思います。

そもそもGate.とは

Gate.は、2008年から独自に収集した2億5,000万件を超える物件データをもとに、人工知能を活用した不動産の査定や投資分析のシミュレーション、市場の分析、ハザード情報の提供などをしています。金融機関や大手不動産企業、交通・インフラ企業、生命保険、FP事務所、税理士法人、コンサルティング企業など現在550社に導入いただいています。


不動産の売買においては、土地の評価や建物の特性、地域の経済動向、人口統計データなどさまざまななデータが重要な判断材料となります。また不動産投資の観点では、市場の変動や法律・規制の変更、地域の発展などのリスク要因も考慮しなければいけません。不動産の価格は、これらのデータが複雑に影響し合って決定されるため、高度な情報分析が求められます。

しかし、残念ながら不動産業界では長らく「情報の格差(非対象性)」が収益源となっていました。例えば売り手(不動産の所有者や不動産業者)は自分の物件やその物件がある地域について十分な情報を持っていますが、買い手はその情報を得られない場合があります。特に、建物の構造や隠れた欠陥、また地域の開発計画などの情報は不透明であり、買い手の意思決定が難しくなる場面も少なくありません。

こうした不動産業界の状況を踏まえて、リーウェイズではミッションを「テクノロジーによる不動産取引環境の新エコシステムの確立」に定めました。不動産取引×テクノロジーのリーディングカンパニーとして、不動産取引に関わる全てのプレイヤーに透明性の高い取引環境を提供するために日々尽力しています。
そんな私たちのプロダクトGate.がどのように変化していったのかを振り返ります。



Gate.リリース前の発端

実はリーウェイズでは、Gate.正式リリースより前に不動産仲介プラットフォーム「jikauri」を開発・運営していました。2016年にその一部を発展させて一般投資家向けにリリースした「Gate.Trade」は、現在の地図ベースの金融機関向けサービスの元になっています。

Gate. Investment Plannerのリリース

2017年6月に、記念すべき初代Gate.となる「Gate. Investment Planner」をリリースしました。物件を登録して投資条件(自己資金や金融機関様からの融資額、何年後に売却するか等)を入力すると将来のキャッシュフロー推移が出てくる、AI査定と投資シミュレーションに特化したサービスです。誰でも簡単に5分程度で物件査定や資料作成ができるだけでなく、AIによる第三者の視点も取り入れて納得感のある資産価値を算出したり、将来50年先まで家賃の下落率や空室率を考慮して不動産の資産価値を予測したりできるようになりました。

それまで不動産の賃料を査定するには、物件情報ポータルサイトから類似物件を1つずつ探す必要があったため、途方もない手間や時間がかかっていました。また、賃料査定結果が不動産会社の担当者個人の経験や知識量に左右されることもあり、確かな根拠を持って顧客に説明できているとは言えませんでした。「Gate. Investment Planner」を導入いただいた不動産会社の方々からは、「業務効率が大きく上がった!」などのコメントをたくさんいただきました。

2018年には収益不動産の不正融資問題を受け、金融機関に対して不動産融資におけるリスク管理の厳格化が金融行政方針に盛り込まれました。
不動産の情報分析の重要性が高まり、社会的により詳細なリスク分析が求められるようになったため、AI査定の精度を向上して Gate. をフルリニューアルしました。また、リリース当初は首都圏エリアのみに対応していましたが、2022年には査定対象エリアを全国47都道府県へ拡大しました。

Gate. Market Survey のリリース

2018年には、駅ごとに住民のプロファイルや賃料相場などをまとめたオウンドメディア「駅カタログ」の発信を開始しました。この「駅カタログ」は不動産業界から高い評価を受け、ウェブサービスでの提供を希望する声をいただくようになりました。そこで2019年6月にはエリアの市場分析に特化した新サービス「Gate. Market Survey」をリリース。膨大な時間がかかっていた市場調査をワンクリックでできるため、市場調査レポートとして仕入や販売、提案の資料にも使えるようになりました。エリアごとの賃料水準や人口密度、世帯構成、性別構成等の統計情報も見ることができます。

2019年には、お客様に街の発展をわかりやすく説明したいという不動産会社のニーズに応えて3年先までの建築計画を表示する「建築未来図機能」を搭載しました。また、2020年8月28日から宅地建物取引業者に対して水害リスクの説明が義務化されたため「ハザードマップ機能」を追加しました。

オフィス市場にも対応できるようになった Gate. Office Market Survey をリリース

2020年8月には、住宅情報よりもさらに透明性が低かったオフィス市場向けに「Gate. Office Market Survey」を開発しました。オフィスの賃料相場や募集物件情報を直感的に理解できるグラフ形式で確認でき、取得した情報を簡単に文書化できるPDF出力機能も備えています。リーウェイズが毎月収集している全国のオフィスデータを活用しているので、市場の変化にもすぐに対応できるんです。

そして、Gate. がひとつになった

幅広い企業で使っていただくため、2022年12月にはフリープランの提供を開始しました。同時に、これまでリリースした3つのサービスを統合し、シンプルで使いやすいデザインにリニューアルして現在の「Gate.」となりました。認知度が拡大し、最新のGate.利用者数は2022年から約3倍に増えました。

その後現在までに「事例検索機能」や「スマートAI査定」など、事業者様のニーズを取り入れる形で様々な機能を加えています。最近ではご要望にお応えして「査定書作成機能」を大幅にアップデートし、ページ編集機能によりカスタマイズ性の高い査定書を作成できるようになりました。従来の査定書には周辺エリアの分析や販売プランの提案ページを追加し、お客様に対してより質の高い提案ができるようになりました。

また昨年からは、幅広い顧客層を獲得できるよう「実需査定」にも対応しています。これまでの収益還元法による査定モデルに加えて新たに相場価格査定モデルを導入し、投資物件と実需物件(所有者本人が自己使用する目的の物件)という異なる視点での査定ができるようになりました。
直近では、部署や事業所ごとのグループを設定して案件情報を部署単位で管理できる「グループ追加機能」を搭載しました。

これからも前進するための取り組み

これまでリーウェイズでは、不動産業界における情報格差の解消や、より透明性の高いマーケットの実現に向けて、Gate.ユーザーの皆様の声をもとに機能開発を進めてまいりました。一定の成果を上げつつも、新たな課題が浮上しています。今後においては、より安定的な Gate. のサービス運営を考慮する必要があります。
2024年の主な焦点は、システム基盤の整備と新機能開発のスピードアップです。画面の読み込み速度など重要な課題の解決に向けて、システム基盤のリニューアル(Reactへのリプレイス)に伴うコードの整理、デザインのシステム化、仕様決定のフロー改善に取り組んでいます。
また、営業部からのフィードバックをもとに新機能の準備も進めています。

Gate.ユーザーの皆様の満足度向上と継続的な支持の獲得を目指し、今後も力を注いでまいります。



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