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レデラジ#22「凸凹といろ。」創刊のきっかけと道のり

ひとりひとりが過ごしやすい社会をともにつくるをミッションに活動するLedesone(レデソン)のショートラジオ番組「レデラジ」

今回は、前回から引き続き、大人の発達障害がテーマのフリーペーパー「凸凹といろ。」編集長のゆーさんにお越しいただいて、雑誌を創刊するきっかけや取り組みについてお話を伺いました。

「凸凹といろ。」は大阪を中心とした各地の配布場所、または下記のサイトから取り寄せることが出来ます。

配布場所一覧

取り寄せサイト

※お取り寄せの場合、梱包や梱包材などの手配がございますので、送料と、手数料がかかります。同料金にて1冊〜12冊まで対応可能です。

レデラジはnoteではテキストとして、Spotify、Apple Podcast、Youtubeでは音声でお楽しみいただけます。



「凸凹といろ。」のはじまりは、お店の宣伝?

Ten:
Ledesoneがお届けするショートラジオ番組「レデラジ」
モデレーターのTenです。

レデラジでは、毎回さまざまなゲストと一緒にLedesoneが取り組むインクルーシブデザインに関することや見えづらい違いについてお話しをしていきます。

今回も前回に引き続き、「凸凹といろ。」のゆーさんにお越しいただいてます。
ゆーさん、よろしくお願いします

ゆー:「凸凹といろ。」の編集長でデザイナーのゆーです。よろしくお願いいたします。

Ten:前回は「凸凹といろ。」の取り組みについて、また、Ledesoneと連携を開始した経緯についてご紹介しました。「凸凹といろ。」は今、大阪を中心にいろいろなところで配布されていますが、読んだ方はぜひ感想を送っていただけたらと思います。

「凸凹といろ。」は大人の発達障害がテーマのフリーペーパーですが、そもそもなぜゆーさんはこの「凸凹といろ。」を始められたんですか?

ゆー:もともと、自分のフリーペーパーを作りたいという想いは20代からずっと持っていたんです。

デザインを初めて触ったのが20代の前半の頃です。私は20代の間、演劇をやっていました。初めて演劇に出た時に「イラスト書けるんだったら、チラシ作れるでしょ?」みたいな、雑な感じで頼まれたのがきっかけでデザインを始めて、早15年くらい、なんだかんだやっています。

デザインができるようになった頃、「自分ができることで、周りのなにかやっている人たちの活動を宣伝したりとか、応援できたらな」という思いがありました。

演劇をやってるときは、「ローカルの小演劇をメインにしたフリーペーパーを作りたいとか」、絵を描いてるときは、「アマチュアのイラストレーターさんとかの作品を発信するフリーペーパーを作りたい」とか、ずっとそんなことを言ってたんです。

でも、なかなか一人でできることじゃないですし、やりたいといっても一緒にやってくれる人もいなくて、ずっとできていませんでした。そんな感じで、最近はそれなりに手際よくデザインもできるようになってきて、そういうことを言っていたことも少し忘れていました。

私自身、この活動を始めるまで、(発達障害があることを)まわりに言ったりとか、発達障害の人だからという理由で仲良くなるようなことはなかったんです。でもやっぱり当事者同士で「あるある話」とか「これ困るよね」っていう話や悩み相談をしたい気持ちがあったんです。

そこで、20人ほどの承認制の小さなコミュニティをLINEのオープンチャットで作っていました。ある時そこで、参加者の男性が「大阪で発達障害カフェバーを始めるために今、準備をしている」という話をされたんです。「じゃあ、今進んでないことや、できることがあれば手伝うよ」といって、ロゴ作ったり名刺作ったり、お手伝いをしたんです。それが大阪の阿倍野にある「DDbugs」というお店です。

参考

お店のオープン直前になって、オーナーが開店資金を借りに行こうとしたら、「発達障害の当事者がお酒を飲みに行くわけがない」って言って、お金を貸してくれなかったらしいんですよ。その話を聞いて「やばい」と思って。「いや、めちゃくちゃ飲むし!」みたいな(笑)めちゃくちゃ飲むし、みんな普通に社会生活を送って、ご飯食べに行ったりするのに、どういうふうに思われているんだろうと思って、すごくショックだったんです。

なんだかんだあって、お店をオープンすることはできたんですが、オープンしてすぐの1,2ヶ月はお祝いや応援でたくさん来てくれるんですが、宣伝するのも結構タスクが重いじゃないですか…。宣伝があまりうまくいってなくて、2,3か月目くらいから、ボウズ(お客様が0の日)が出てくるようになっちゃったんです。

お店開けたばかりなのに「今日、お客さん来なかった」みたいな話をしてくるので、「宣伝してGoogleマップとかに登録して、口コミとかもらったら?」とか「チラシ配ったりしたら?」とか言ったんですけども、「もうタスクが自分の中でいっぱいいっぱいだからできない」っていうんですよ。

そこで、私が楽しくやれて、このお店の宣伝できることって何だろうと考えてた時に、「フリーペーパーやりたい」ってずっと言ってたことを思い出したんですよ。しかも、今の自分だったら一人でできるなって思って。そこでもう思い立ったが吉日というか、もうその場で「やるぞ」って決めて、すぐに記事作りに取りかかりました。

決めてから2ヶ月ぐらいかな、創刊号は。それぐらいのスピード感で完成させて、配布するような感じでした。最初は1500部だったんですが、そうやって始まりました。

参考:「凸凹といろ。創刊号」

最初の「発達障害の人は飲みに行かないだろう」みたいな話とか、お店オープンした時に、ふらっと入ってきたおばちゃんたちが「いや、私たちもそうよ」「そんなんだったら、みんな発達障害じゃない?」みたいな話をされたとかも聞くんですよね。そういうのもすごい嫌だったという思いもあって。

フリーペーパーっていう媒体で、「発達障害はこういうものだ」とちゃんと分かってくれる人を増やしたいなという目的もありました。DDbugsの宣伝と発達障害のことを知ってもらう媒体として、フリーペーパーはすごい良いなと思ったのがきっかけで始めました。

誰でも手に取ってもらえるフリーペーパーのポテンシャルは理解促進にぴったり

Ten:お店を知ってもらうためと、発達障害の理解とか啓発を兼ねたフリーペーパーという感じで始まったんですね。

ゆー:なので、最初は新しい号が出たらDDbugsに一番最初に置きに行くかたちでした。「欲しかったらお店に取りに行ってください」みたいな感じでやってたんですよ。

フリーペーパーという媒体も良くて、最初に配布場所探しとかもいっぱいがんばりました。ジュンク堂さんとか大きい本屋さんなんですけど、たくさん置かせていただいてるんですよ。

お金が要る書籍とか、インターネット上だけの情報とかだと、そもそも発達障害に興味がある人とか、発達障害というワードを入れて調べないと、インターネットだったら出てこないし、本気で知る気がないと本屋さんでお金を出して買わないですよね。

だから興味のない人になかなか情報が届かないので、フリーペーパーという無料で手軽に取れる媒体で、そこかしこに置いてあるのは、すごい啓発にいいなって今も思ってます。

Ten:確かにそうですよね。お金を取るとなると、どうしてもハードルがあるし、知ってる人しか、興味がある人しか手に取らない。

ゆー:なので、インターネット上の情報も有料の本も、結局どっちみち発達障害のことよく知ってる人しか手に取らないんですよね。目に入らないというか…。

なので、「表紙がすごく素敵だったから手に取って、発達障害のことを初めてこんなに詳しく見ました」ってアンケートに書いてくださってる方もいらっしゃって、それはすごい嬉しいです。

「凸凹といろ。」の名前の決め手と、取り組みによって生まれたつながりとご縁

Ten:ありがとうございます。あと、この「凸凹といろ。」っていう名前について、凸凹までわかるんですけど、「といろ。」っていうのは、どんな意味でこの名前を名付けたんですか?

ゆー:発達障害のこと凸凹ってみんな言うじゃないですか。発達障害のスペクトラムってよく言いますけど、みんなグラデーションで、いろいろ言っても、症状はみんなそれぞれ違うので、「みんなそれぞれ違うよ」という意味合いで「といろ。」と名前を付けました。

結構、この名前も褒めていただけるんですよ。最初は、こむずかしい名前をいろいろ考えたりしてたんですけど、眠りかけてまどろんでいる時に「あ、これだ!」みたいな感じで思いついて、起き上がって、この名前を表紙のデザインに入れました(笑)。

Ten:ありがとうございます。さっき「凸凹といろ。」を始めた経緯として、DDbugsというお店の応援だったり、発達障害についてちゃんと知ってほしいという目的から無料で配布にしたということだったんですけど、この「凸凹といろ。」をやってるからこそ生まれた縁であったり、生まれた取り組みもありますか?

ゆー:ご縁は、めちゃめちゃ多いですよね。最初に言ったみたいに、私は「発達障害だから」ということで人と関わることをしてこなかったので、記事を作るために今すごくがんばってる当事者の方とかに、話しかけに行ったりするんですよね。

「あなたのやっていることを記事にさせてください」といって、そういう方ってすごく精力的にいろいろされているので、やろうとしてることに一緒に絡ませてもらったりとか。書籍出そうとしてる方がいれば「表紙のデザインしてください」とか…。第2号と第7号に、記事にさせていただいた映画監督がいます。たとえば2号の方は不登校をテーマにした映画を作ってらっしゃる映画監督の方が掲載されたので、来年あたりに「凸凹といろ。」に関わった映画をまとめた映画上映会をしようかなと考えてます。

いろいろと面白いこと考えてるんですけど、私(のリソース)が足りないんですよ。ちょっとキャパオーバーで、やりたいことの割に動けてないのが現状です。誰か一緒にやってくださる方、募集中です。

自分と向き合う機会にもなった「凸凹といろ。」の記事制作

Ten:もともとあまり自分の発達障害っていう部分をオープンに言っていなかったけど、今「凸凹といろ。」をきっかけにオープンにするようになったっていうようなことでしたが、むしろ雑誌を作っていく中で自分自身も特性と向き合うようになっていったみたいなところもあるんですか?

ゆー:もちろん、ありますね。自分と似た方も多いので、どういう対策をしてるかとか、自分が今まで向き合うのが嫌だったのでスルーしてきた悪い部分とかも、ちゃんと考えるようになってきたというのは、すごくありますね。

今、連載しているバウンダリーの記事があるんですよ。自他境界線のことをバウンダリーって言うんですが、人と自分の境界線をちゃんと引いて、自分のことは自分のこと、相手のこととして、ちゃんと区切りをつけるみたいに、自分の国を守るみたいな考え方なんですけど。

その辺ってすごく、当事者の方は私も含めてすごく曖昧なので、それで苦しむ人がすごい多いなってずっと思ってたんです。なので、私も嫌な思いしたり、嫌な思いさせてしまったりしたことが多くて、この記事を書いてもらうことにしたんですけど、めっちゃためになるんですよね。

だから自分の今までの行動とか、周りの人の行動や言動を振り返ってみて、いろいろと思うところはありますね。「直さないといけない!」とかまでは、そんなに強く思わなくてもいいと思うんですけど。面白いと思います。おすすめの記事です。

Ten:連載記事とかもやってたりするんですね。

ゆー:連載の記事とか企画とかも、ちょくちょくやってます。当事者の方の連載の記事とかもあったりとかします。

Ten:ありがとうございました。今回はゆーさんに「凸凹といろ。」がどのような経緯で生まれていたのか、どういった取り組みなのかについてお話をしていただきました。

この「凸凹といろ。」は、大阪を中心にさまざまな場所で配布しております。詳しくは「凸凹といろ。」公式サイトの配布場所をご覧ください。ゆーさん、今回はありがとうございました。

ゆー:ありがとうございました。

Ten:今回もレデラジをお聞きいただきありがとうございます。
レデラジでは感想やご意見の他に「こんなトピックを取り上げてほしい!」などのコメントも大募集しています。「凸凹といろ。」第8号のご感想も送っていただけたら嬉しいです。
次回のレデラジもお楽しみに!


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フリーBGM・音楽素材MusMus


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