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ブルーハワイのかき氷

夏が近づいてきた夜の帰り道、湿気のある空気を感じるようになった。
こんな時、どことなく夏祭りの光景を思い出す。

夕暮れ時、だんだんと日が落ちてきたころ、夏祭りの提灯の明かりが灯された。
幼い頃住んでいた町にはいくつか公園があって、夏祭りが毎週のように行われていた。学区内の友達と連れ立って、普段は行かない遠くの公園のお祭りにも自転車を走らせた。

決まってどの夏祭りでも、中央の踊りスペースと、公園の周囲をぐるりと囲む屋台ゾーンがあった。屋台をみて回るだけで楽しかった。
食べ物で好きだったのは、かき氷だった。夜とはいえ蒸し暑く、かといってジュースだと特別感がない。そんな幼心のニーズにマッチしていたのがかき氷だった。

かき氷の味も重要だった。イチゴやメロンはオーソドックスだと思っていたので、何か違う味がよかった。金時もあったが小豆が嫌いだったので選択肢から外れた。
そして選んだのが、ブルーハワイである。聞いたことのない名前の青い色が何とも涼しげだった。メロン味のような甘ったるさは少なく、特別な味のような気がしていた。

ブルーハワイがかき氷ではなくて、カクテルの名前だと知ったのは、だいぶ後になってからだ。
ラムベースで、レモンジュース、パイナップルジュースをミックスする。そしてブルーハワイの色の決め手となるブルー・キュラソーを加える。クラッシュアイスにかけるのだから、お酒成分がなければかき氷そのものである。

これをかき氷に採用したのは誰だろうか、おしゃれなバーから庶民の縁日に、ブルーハワイをもたらしてくれた方の慧眼に感謝したい。

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