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肘の腱が切れるのを防ぐ整体の手技

脳性麻痺の子供は二次障害を予防することが大事だと言われて生後半年から理学療法を受けていたのですが、その先生が若い女性の先生でうちの子供は全然懐かないし体調も良くならないし療育を完全に拒否していて困っていました。

その頃私の知り合いの整体師さんの自宅に遊びに行きました。そこのおじいちゃんは失明していましたが凄腕の整体師で、うちの子供を抱っこした瞬間に「あれ?この子腕がはずれてるよ?ちょっとこっちに来て体を支えてて?やり方覚えて帰ってね?今から入れるから今度はお母さんが自分で入れられるようになってね?こういうのはクセになるからいちいち病院で入れてもらってたらきりがないから、やり方覚えて帰って」と言いながら「ポコン」という音を立てながらあっさりと肘を入れてくれました。そしてその音を聞いて「これは1年半くらい放置したときの音だね。結構前から外れてたはずだよ」というのです。そして次の日には床に手をついてハイハイができるようになっていました。

それまでずっとハイハイができないことを「脳性麻痺だから仕方がない。リハビリを続けなければいけない」と言われていて、毎週リハビリに通っていたのに。ずっと肘が抜けていることにあの理学療法士は気が付いていなかったのです。それから療育に通うことをやめ、私はそのおじいちゃんに弟子入りして子供のケアを習うようになりました。

ただ今はもうそのおじいちゃんは認知症が進んでしまって、施設に入所してしまいました。コロナの関係もあって面会ができないので、もう子供を診てもらうこともできません。

私は時々先生に電話で相談するのですが、先日電話をしたときは40分間ずっとスケベな話をされてしまいました。「むっつりスケベな人はボケると抑えが効かなくなってずっとエロいことをしゃべるもんだ」と、昔その先生が自分で言っていたのに。まさに今その状態。そして夜中の11時や朝の5時に何十回も電話をかけてくるのです。いくら暇だからって!!

今朝も早くから電話があって、寝ていた私はぼーっとしたまま話を聞いていたのですが、「あなたの子供は左足の親指が上がってるって言ってたよね?それのメカニズムを今から教えるよ!」というのです。一気に目が覚めました。時々こうやって回路がつながったかのようにぺらぺらとしゃべりだすんですよね。人間って本当に面白い。


これが最近のうちの子供の歩き方です。右足も時々指が浮くのですが、左のほうが特に酷く足の指先が上に上がります。

先生は「左足の親指が上がってる」と表現しましたが、親指以外も上がっています。ですが「親指」を起点にして考えるのだそうです。

「あのね、左側の親指が歩くときに上がるひとはね?左の肘が曲がってるひとなの。普段ずっと曲げてしまってるの。そういう人は顔が必ず右側を向くの」

片側の肘が曲がっている人
   ↓
曲がっているほうの足の親指が歩くときに上に曲がる
   ↓
肘が曲がっているのとは逆のほうに顔が向いてしまう

「これの何が困るかというと、足の親指が曲がっている方とは反対側の肘の腱が切れやすくなるということ。切れるには条件があって、右の手のひらの親指の付け根の部分が下を向いたら切れる。上を向いていたら切れない。わかりやすく言うと、大谷翔平くんなんかがまさにそう。あの人何回も手術してるけど根本を治さない限りは何回でもなるよ。なぜかというと、『手のひらの親指の付け根が下を向く』という状態はピッチャーがボールを投げるときのポーズがまさにそれだから。たとえば横向きにボールを投げる人もいるでしょう?その場合は親指の付け根は上を向いてるから肘は切れない。だけど上から投げる人は手の親指の付け根が下を向くから肘の腱が切れる。なぜかというと、さっき言ったように足の親指が上がっている方と反対側を顔が向くってことはさ、やってみたらわかると思うんだけど、首が腕のほうを向きすぎてて狭くて苦しいでしょ。この時肩に問題が出て、肘に負担がかかるのよ。その時ベロは必ず片側しか上あごについていない。両方の足の親指を上にあげると不思議とベロは上あごに全体がくっつくようになるから。大谷君は2つの選択肢があって、右の足の親指もあげるようにするか、横から投げるフォームにするかどちらかだけど簡単なのは右の親指を上げる方法だよね。わかるでしょ?」

と、言われて「いや、わからん」とでも言おうものなら叱られてしまうのでしばらく考えてみました。

「インソールで右の親指だけを上げる」
「足の指の部分が上に上がった形状の靴を履く」

これが一番簡単。何もなくて反対側の親指だけを上にあげるなど人間業ではありません。やろうと思ってできるわけがない。ただインソールっていうほど補正してくれるわけでもないし、確実ではないですよね。

それを伝えると先生は先生は笑いながら言いました。

「これを根本治療する方法はとても簡単なのよ。数秒で終わる。居合に『ゆきひら』という技があるのを知っている?知らないよね?居合知らないよね?うん、知らなくてもいいや。それでね、そのゆきひらっていうのは肩を払うのよ。手でパーンと後ろからね。肘が痛いと言って患者さんが来ていてもこの場合は結局治療は肩ということになるの。この技をかけるのよ。右肩にね。右肩を治さないと足も治らない。ちゃんと治療できてたら、右を向いたまま右腕を上にあげてボールを投げるようなポーズを取ってベロは全体が上あごに密着するようになるからね。だから居合わかる人に肩治療してもらったら肘問題なくなると思うよ?あなたのお子さんの場合はそもそも腕が上に上がらないから今は問題ないよね。でももし腕が上に上がるようになってきたら肘を痛める可能性があるから覚えておいて。」

覚えておいてもできないと意味がないので、今学習したいのですが。先生はいつも肝心な部分を質問するとエネルギーが切れたようにそのことについてしゃべらなくなるんです。自分で考えろということなのでしょう。


そしてさっきから肝心の「ゆきひら」という技をネットで探しまくっているのですが全然見つかりません。どんなものなのか全くわからないです。この先生は居合系の整体術を扱う人なので、「整体」と言っても普通の柔道整体のようなことは何一つしません。見たことのない治療を口で説明されてもさっぱりわかりません。

わからないならイチから考えるしかないです。

「右腕を上にあげた時、顔が右を向いている状態では舌先の全体が上あごに密着せず、左側しかつかない。この時に肩を前方に回しで腕を振り下ろすと肩に問題が出て、結果肘に負担がかかる。」


これは確実に「顔が前を向けるようにするための手技」が必要だということだと思います。

そして「左側の腕が曲がっている」というのも「右側の腕も同じように曲がっているなら左右対称だから問題がないはず。

右の腕が曲がる状態とは…。
原因はなんだろう?!

その部分があやふやだったので私は再度質問しました。

「肘が曲がる状態とはなんですか?ワキが開くのとは別なんですか?」と。

すると先生は「左肘が曲がっているときは左肩が上がるんですよ。肩が前に出るとかでないとかは関係がなくて、ただ単純に肘が曲がると肩が上がる。肩が上がるのと肩を上げるのとは意味が違います。普段から体形にクセがあってゆがんでいるせいで肩が上がっていることと、腕を上げて肩を上げたのとは全く違うんです。」

普段の状態でまっすぐ立っているつもりであっても人間には少しずつゆがみがある。その歪みで不具合がでたなら、治療する時は「その反対の歪みをあえて作ってやればいい」というのが先生の手技です。

私ならどうするか。

足の補正は難しいから先生は肩で補正をしていました。
だから絶対足じゃない。
居合のわからない私にでもできる補正方法は・・・。
一番強い補正方法は指。

私なら指で首肩に補正をかけます。

①まず肩幅に足を開いて立ちます。
②手の指を組みます。この時普段無意識に指を組んだ時に上になる方とは逆の親指を上になるようにして組みます。左の足の親指が上がっているなら左の手の親指を上になるように。そのまま肘を真下に伸ばします。
③この状態で頭を横に振ります。やや前傾姿勢で。ミチミチと音がした部分を重点的に振ります。
④音が聞こえなくなったら、肩を後ろ側に交互に回します。腕を回すのではなく肩を片方ずつ後ろ側に深く回します。肩甲骨の内側の筋肉が収縮しているのを確認しながらやります。
⑤左肩に違和感があったなら成功。そのまま違和感が消えるまで腕を回します。


これをやってみると、右手を上にあげて顔を右に向けた状態でもベロは上あご全体に密着しました。肩の補正でもありますが、このやり方は首の補正でもあります。

忘れないようにして、子供の腕が上に上がるようになったときに気を付けてやってみましょう。というか、この運動を毎日やっていたら腕も上がるようになるのでは。それ以前に肩甲骨めちゃくちゃ動くようになって面白いですね。


今日も良い指導と気づきをありがとう。

でもこのやり方は健常な人ならまだしも脳性麻痺の子供には首を横に振らせることが出来ないので、今現在のうちの子には使えません。もうちょっと大きくなったら出来るようになるかな。

うーむ。

やっぱりゆきひらという技を探すべきだろうか。



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