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血糖値と学習速度

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24時間血糖値を測定できるフリースタイルリブレをつけているときに気づいたことが2つあります。

1つは血糖値と学習速度には関連性があるということ。もう一つは速い眼球運動によって血糖値が変動することです。

血糖値を上げてからものを教えるとすぐ覚える

血糖値を測定しているときに、血糖の値が48~55くらいの時は何を教えても全く覚えませんでした。それは脳性麻痺で知的に遅れのある私の子供の当たり前の姿でした。ただいつも通り、変わったところはどこにもありません。何を教えてもぜんぜん覚えない普通の知的障害のある子供の姿です。

ですが時折教えたら物をすぐに覚える瞬間がありました。「え?!この子いきなり賢くなった?」と思うようなことがあるのですが日が変わればまたいつも通り何もかも忘れてしまっています。時々スイッチが入ったように賢くなるというような認識をずっとしていました。

ですがフリースタイルリブレを使っているとその「スイッチの入り切り」が血糖変動による違いであるということがてきめんに分かりました。

・血糖値が40台:教えたことができなくなっている
・血糖値が50~60台:教えても何も覚えない
・血糖値が70~90台:根気よく長期間教えたらなんとなくできるようになるがまたすぐにできなくなる
・血糖値が100~120台:5つ教えたら1つは覚えるがすぐに忘れる
・血糖値が130~140台:3つ教えたら2つはすぐ覚え、1つは忘れても1つは覚えている

教えた時の血糖値の高さによって物覚えの質が変わってくるということに気づきました。血糖値を上げてからものを教えるとすぐ覚えるというよりは「血糖値が低いとものを覚えない」というほうが正しいのかもしれません。

そこで放課後デイサービスの先生に相談してみたところ「それは面白いね、リブレの値段が高いから私たちはアレだけど、どこか予算のつく人達、例えば女子大とかの食物栄養学科で学生さんたちが調べたら面白い結果が出るような気がするけど、でもお母さんがすでにそれ見つけてるんだから、即それを活かしてちょっとやってみようよ」ということになり、何かを教えるときはあらかじめブドウ糖を食べさせて血糖値を上げてから始めるというやり方に変えてもらいました。学校でも家でも同じです。

普段お弁当と一緒にブドウ糖を袋持たせておいて、お弁当とは別に水に混ぜてガンガン飲ませてもらっています。

私の子供の場合は、ブドウ糖1粒で30分後くらいには10血糖値が上がっています。2個食べれば20、3個たべれば30上がるというようにとても分かりやすいです。

フリースタイルリブレを使って観測しながらの方がわかりやすいですが、もう慣れてきたので機械をつけなくても腕のやわらかさや活動の様子を見たらある程度血糖値がどのくらいなのか判別できるようになりました。

3か月くらいつけっぱなしにしておいたら「このくらいの活動量の時は血糖値は80くらいだな」とわかるようになりました。その場合は5個くらいを足すというような形で補充をします。

脳性麻痺の子供の脳のエネルギーの使用量は非常識なほどに消費しています。「そんなに食べたら糖尿病になっちゃうよ?!」と心配されて当然なくらいの量を必要とするので1日にこの1袋以上は食べているはずです。

特に普段から夜中は10個は水に溶かして飲ませています。足りていない場合はけいれん発作などを起こしてややこしくなるので寝る前は夜中2時間ごとくらいには飲ませます。夜中の補充が足りているときはその次の日の日中も安定しますが、安定しているからと言ってその時に足していないと次に寝た時に足りなくなります。夜間はブドウ糖でいいのですが日中はできれば炭水化物を増やした方が良いです。ですから夕方5時以降に3回食事をとらせるのですがその時は米を中心に与えます。朝や昼間はたんぱく質を取らせますが寝ている間のエネルギーを貯蔵させるためにも夕方からは炭水化物を多めにしたほうが発作のリスクを低減できます。

「食べる量が少ない=グルコースが少ない=頭は動かない」のです。

総摂取カロリー量が少ないということは単純に脳をうまく使えていないということになります。健康で体に筋肉があり、筋肉の中にグリコーゲンを貯蔵してそれをグルコースとして使うことができない脳性麻痺の子供は直接その場その場でグルコースを必要としてしまうということです。ですから食べる量、炭水化物の量などが少なければ物を覚えるための脳の使われ方には支障が出ます。

普段から足してやることはもちろんですが、「何か新しいことを覚えさせるとき」は必ずブドウ糖を与えた後に行うと効果が出やすいです。

特に血糖値は120~140くらいなければ物は覚えません。通常から比べるとかなり足す感覚です。普通の大人であれば食べすぎたら眠くなるのですがもともと低い脳性麻痺の子供はちょっとやそっとあげたくらいではそうはならず活性化して元気に過ごします。

教えても教えてもなかなか物を覚えない子供に療育などを受けさせるのは教える側もそれを見ている親もかなり大変だと思います。それが血糖値を高いところでキープしておけば教えなくても自分で勝手に覚えて頭を使って難しい事も自然とできるようになるし、教えれば教えた分だけ吸収してくれると教えがいもあって楽しいです。

摂食に障害があってごはんが食べづらくても飴やブドウ糖ならなんとか食べさせられます。気合を入れて糖の補給に努めると子供は賢くなります。


フリースタイルリブレの誤差について

これは私が自分の子供を見ていて気付いたことなのでほかのお子さんはどうかはわかりませんが、ものは試しで知的障害があるお子さんがいるならば血糖値を24時間計ってみて血糖と学習速度の相関関係を出してみたら効率よく学習させることが可能になるのではないかと思います。

ただその時に気を付けなければならないのが機械による誤差です。フリースタイルリブレは元々誤差の大きな商品なので個体差というよりは個人差があります。

私の子供の場合は、

・絶食時:誤差は0です。低く出ると思います。
・果糖を取った時:30違いが出る
・ブドウ糖を取った時:10違いが出る

というようにキッカリと誤差が出ていました。

この誤差の幅は人によっては違うと思います。メーカーは個体差があるというように認識しているようですが、何度か付け替えて試してみたのですが個体差ではないようです。

私やシッターさんにつけて計測したときは、子供と違ってほかにもいろいろ食べるので正しく血糖値を測ってみるとシッターさんは常に30誤差が出て、私の誤差は日によって違いました。これは糖尿病できっちりと管理をしているシッターさんは普段から食事管理がしっかりしていて薬でも安定させているので誤差は均一で、あれこれと食べている私の場合は日によって変動しているのだと思います。

ですから砂糖(ショ糖)を取った時とブドウ糖(グルコース)だけを取った時では血糖値の誤差が微妙に変わります。料理をするときに、ブドウ糖だけを使って作れば誤差は少ないということになります。あとは食べ物にどのくらい果糖とブドウ糖を含んでいるかでも変わってきます。我が家は生体異物除去食を徹底しているので普段から野菜を食べていません。果糖を取るタイミングが少ないのでそれほど気にしなければならないレベルで誤差の幅は変わらないです。


血糖値安定のためにはおやつが大事

それでも通常60平均の私の子供の血糖値を120まで上げようと思うとそれなりの量のブドウ糖を必要とするので普段から飴を食べさせたりして血糖値を上げていく努力をしています。ブドウ糖だけでは飽きますからね。

・おにぎり
・団子
・餅

などをおやつとして食べさせていかに血糖値を上げるかが賢く育てるかということの秘訣になると思います。

そして学習を邪魔させる要因としてもう一つ血糖値に関わることがあります。それは細かい眼球運動が血糖値を下げるという問題です。


細かい画面を長時間見せないようにすると血糖値は安定する

実は、私がフリースタイルリブレを使って計測していた時に妙に変動が大きく出るときがありました。ガタガタの波形になる時は必ず「最初に大きく血糖値が下がってそのあとに上がる」のです。この逆はものを食べた時に怒ります。食べたから血糖値が上がってインシュリンが分泌されたから下がったという流れ。激しく血糖値が下がったせいでコルチゾールが出てしまって血糖値が上がったという流れは好ましくありません。

リブレで監視ししながら特異的な血糖低下が起きているときに私が何をしていたかというとスマホのゲームをしていました。もしくはスマホで漫画を読んでいました。

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18時半くらいに晩御飯を食べてその後ピッコマで漫画を読みました。血糖値が駄々下がりで枠外になって赤く表示されています。

コルチゾールが出るので太ります。こういう時はダイエットをしても運動をしても痩せません。血糖変動とホルモンの影響で太ってる!コルチゾールのおかげで倦怠感もすごいからダラダラしちゃうしスマホでゲームをしたら明らかに太る要素しかない!

この時の変動の度合いと遊んだゲームを比べてみると、細かい目の動きをしないといけないような内容のゲームの場合は血糖低下が著しく、穏やかな目の動かし方で済むようなものの場合はそれほどでもありませんでした。

激しく目を動かすとエネルギーを大量に消費するのでしょうか。

眼球運動と血糖値に関する論文を探したのですが出てくるのは糖尿病で目が悪くなった後の人の話ばかりで、ちょっとしっくりくる内容のものは見つけられませんでした。

しかし私の整体の先生は完全に失明した後に糖尿の数値が380を超えて死にかけていました。もともとほとんど見えていない状態が何十年も続いていたのですが、それでもうっすらと光が見えていたころは目玉を動かしていました。目を開けてあちこち目玉を動かしていればはた目から見ると目の見えない人には見えないのです。

普段は黒い炊飯器を開けて、米が白いからそこにお米があるというのがわかる程度の視力でしたが、調子のよい時は壁に取り付けられたエアコンの表示温度を見て「あ、ちょっと寒いね」と言ってスイッチを押したりできていたんです。

速い目玉の動きによって血糖値が下がるのではないかというのは私の子供と整体の先生の様子を見て思ったのですが、試しに自分のスマホからゲームのアプリと漫画のアプリを削除してみたら血糖値は安定しました。

それで子供には家ではiPadを持たせていたのですが、外に出るときは古いiPhoneに子供用のゲームアプリを入れてオフラインで遊ばせていたんです。でもそれを一切やめました。ちょっとでも血糖値が上がるようにしたかったんです。そうすると自然と酷く低く出ることが減ってきました。

子供に小さい画面は見せたくないし、できるなら家のTVも大きなスクリーンの方が良いのかなと思います。妙に画面に近づいているときがあるので、そういう時はあえて電源を切って目を休ませてやると血糖値も安定します。

「子供は長く画面を見せない」「TVを見る時間を決めるべき」というのは昔から言われていて、自分が子供の時は余計なお世話だと思っていましたがフリースタイルリブレを使ってみるとその意味がよく分かります。

でも「下がったら上げればいい」と思っているので、下がりかける要因を見つけたら甘いものを食べさせるようにしています。

TVやiPadを見ているときは「どうぞ」と言ってチュッパチャプスを差し出すと本人も嬉しそうに食べてくれますしそういう時に見た内容はその後もよく覚えています。

「認知が遅れている子供は常識はずれなくらい血糖値を上げるためにグルコースを食わす」というのは効果的だと思います。

どのくらいの量の補正が必要かどうかは24時間血糖値を測定して見極めるべきですが、慣れてきたら機械がなくてもわかるようになるので一度試してみてはいかがでしょうか。他のお子さんではどのようになるのか私は少し興味があります。


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