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今日覚えたい発音:

[:] って何?
(以前の記事と一部内容が重複します)

hier を「プチ・ロワイヤル仏和辞典」で引いてみましょう。
hier /jεːr イエール/

なるほど。ではフランスの広辞苑(と思っている)le Petit Robert を引いてみましょう。
hier [jɛʀ ; ijɛʀ]

おもしろいですね。って思うのは、僕を始めとする「音声好き」だけでしょうか。
こんなにかんたんで普段遣いの単語なのに、発音記号が3種類あるんですよ。

実際の表現の中で、発音記号で書いてみます。

Qu'est-ce que tu as fait hier ?
[kɛs kø ty a fɛ jεːr]
Hier soir, j'ai diné avec des amis.
[jεr swa:r ʒe di.ne avɛk de za.mi]

疑問文中では hier の発音記号は [jεːr] と [:] が入っているのに対して、答えの文では [jεr] と [:] が消えています。
なぜ?

結論を書きます。
hier がコンマの直前や文の最後にある場合などの「意味の切れ目」にある場合は、母音 [ε] が長く発音されます。
それはそうです、意味の切れ目の直前なので、いったん母音を強く長く言うことで「休憩」できるのです。休憩ポイントは「母音」です。「は〜」って、アの母音を伸ばすことで休憩できますね。同じ原理だと考えてください。
一方 hier soir の方は、次に soir が続き休憩しないので [ε] ではなく soir の [wa:r] が伸ばして発音されるのです。そこでちょっぴり休憩です。
ce soir-là だとすれば [swar la] と [:] は消えることになります。

時々教科書や授業資料などで hier soir [jε:r swa:r] という発音記号を見かけますが、厳密に言えば間違いですよ。著者は発音記号を単語単位で捉えていて、実際の発音は考えずに単純に辞書を書き写しているのでしょうね。

そう、日本の辞書は単語単位で発音するときの発音記号で、フランスの辞書はいろいろな可能性を考えて長母音記号 [:] を元から外しているのだと考えられます。

ぼくはフランスの辞書のほうが親切だし実際的と思っているのですが、残念ながら記号は記号。
実際の音をよく聞いて、同じように発音するというのがベストな方法でしょう。

[jɛʀ ; ijɛʀ] と発音記号が2種類書いてることの解説は?
→長くなったので、続きは明日です。

ご参考まで。


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