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今日覚えたい文法

条件法?直説法?

『愛の讃歌』の後半の歌詞は一般的にはこうです。

Si un jour la vie t'arrache à moi
Si tu meurs que tu sois loin de moi
Peu m'importe si tu m'aimes
Car moi je mourrais aussi

ン?
なにか間違いがありそうです。
おそらく間違いです。

全体を解釈していましょう。

みなさんもやってみて下さい。
本当に辞書を引きながら、訳をノートに書いてみてください。
読むだけでは力は付きません。

料理本を読むだけでは、美味しい食事が作れるようにはなりません。
空手の指南書を読むだけでは、空手は強くなりません。
文法の解説を読んだだけでは、フランス語が話せるようにはなりません。

Si un jour la vie t'arrache à moi
最初の Si を「もし」と解釈をしても、「事実用法(そんなことも当然ある」」と考えてもどちらでも良さそうです。
ぼくは「事実用法」だと思いますが。

「あなたが私の元からいなくなる日がやってくるのよ」
「あなたが私の元からいなくなる日がやってきたとしても」

Si tu meurs que tu sois loin de moi
これは苦労したのではないでしょうか。
「あなたが死ぬ」これは問題ないでしょう。
苦労した箇所は次の "que tu sois loin de moi" でしょうね。

どんな役割を持っている que でしょう。

辞書にはこんな記述があります。

8 (先行する接続詞(句)の代用として)
(…)
Si tu le rencontres et qu’il est [soit] de bonne humeur, annonce-lui cette nouvelle.
もし彼に会って機嫌がよかったら,このニュースを告げてくれ(♦siの代用のqueの節で接続法を用いるのは改まった言い方)

プチ・ロワイヤル仏和辞典

そう、si を繰り返さないための「代接続詞」用法です。

「あなたは亡くなり」「私から遠くに行ってしまう」

Peu m'importe si tu m'aimes
「そんなことはどうでもいい」
「私を愛してくれている」

Car moi je mourrais aussi
問題はココです!

ちなみに、ほとんどのフランスの歌詞を掲載しているサイトでは少し違い、日本のサイトは間違いが広がっているようです。

正解は、
Car moi je mourrai aussi

条件法 je mourrais ではなくje mourrai 直説法現在形でなければいけません。

私も死ぬ可能性があるのではなく、私も必ず死ぬのです。
事実を伝える直説法だからそこ「また会えるから大丈夫」なのです。

いつかあなたは(先に)死んでしまう。
大丈夫。あなたは愛してくれているし、
あたしも必ず死ぬから。

究極の愛の歌ですね。

ご参考まで

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