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今日覚えたい発音

hier [jɛʀ ; ijɛʀ] の発音記号が2種類?

答えは簡単です。
2つの発音が存在するから。

ただそれだけですね。そういう事実が存在するわけです。
外国語を学習すると「答えは必ず一つ」と思いがちなのですが、必ずしもそうではありません。自然言語とはかなり自由なものなのです。

・「明日」ってどう読みますか?
・「昨日」は?
・「ご飯をお茶碗に〇〇」
→よそう?つぐ?入れる?
・絆創膏?バンドエイド?サビオ?リバテープ?←いつものネタです。

ねっ、いくつも答えがあるでしょ。

「ありがとうございます。」
実際に発音すると、世代・スピード・音の強さ… さまざまな要素によって最後の「す」の母音の有無が変わるのです。

何を言っているの?「す」って書いてあるからちゃんと「ご・ざ・い・ま・す」って発音したに決まっているでしょ!

とは限らないのです。一度録音をしてみればわかります。
「録音は嘘をつかない!」

先日京都の市バスに乗った時(後払いです)にお客さんの降車時に、運転手さんが毎回「ありがとうございます。」と声をかけていたんだけど、2回に1回は「ス」の母音を無声化して [s] だけになっていたのです。←マニアなので、そんなとこが気になるのです。

そうそう、hier の話でした。

どうやら昔は (h)i-er と発音されていたらしいのですが、忙しい現代は hier と一気に発音する傾向にあります。
これが  [jɛʀ ; ijɛʀ] と2種類の発音記号が書かれている理由なのです。

ま、どっちでもいいということです。

実際に hier を18人に発音してもらった結果、5/13 が2音節で発音しているという研究結果も発表されています。(dictionnaire de la prononciation français dans son usage réel, France Expansion, 1973)

以前にも書きましたが、フランス第2の都市 Lyon もかつては2音節で発音されていたのですが、現代ではほとんどの人が1音節で発音しています(le Ciel フランス語教室調べ)。

le lion(ライオン)と同じ発音になってしまうのにも関わらずです。
理由は単純明快。

  1. 短いほうが楽

  2. 文法的に必ず理解ができるので、わざわざ区別をする必要がない。


J'ai visité Hyères hier. Et demain, je repartirai pour le zoo de Lyon voir ses lions.

場面から明らかですね。
ご参考まで

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