ひとりマカロン屋が、もうすぐ10年を迎えるにあたってnote始めます。

新年明けましておめでとうございます。
茅ヶ崎の焼き菓子店「ル・シャンティエ」の久米幸絵と申します。

自宅の店舗兼作業場でお菓子を作って売る、ということを、かれこれ20年近く続けています。
スペシャリテのマカロンはおかげさまで人気で、近所のちびっ子たち全員の人生初マカロンをル・シャンティエのマカロンにしたい!というのが私の野望です。もちろん、大人の方の人生初マカロンも大歓迎です。


時々ショップの店内。2、3人で満員になるくらいの小さなお店です。

2006年から、自家製のお菓子を店舗を持たずにカフェなどへ卸売り販売することを始めました。2015年には自宅の一角を店舗に改装して、形ばかりのお店を持っています。お菓子はすべてひとりで作っているため、店舗のオープン日は毎週火曜日と、イベント出店のない日曜日に限らせていただいています。それ以外の日は製造日です。

イベント出店で数多くのお客さまに出会って、出張先でお買い上げいただいたお客さまが、わざわざ店まで訪ねてきてくださる、という形で今まで続けることができました。住宅街の奥地の「こんなところに!?」と思うような場所にあるお店で、お客さまやご近所さんの間では「絶対一度ではたどり着けない、迷子になるお店」ということで有名です。

noteを始めようと思ったきっかけは、この先もずっと今のような形でお菓子作りと販売を続けたいと思っているので、そのためにはもっと沢山の方に私のことを知ってもらう必要がある、と思ったからです。


ひとりで焼いたお菓子を車に乗せて、テーブルその他必要なものは全部持参して、各地のイベントでひとりでお菓子を売ってます。

私がお菓子の製造販売を始めたばかりの頃は、個人で作ったものを、販売のための認可を取得して様々な方法で販売する、という形でお菓子屋をやるのは珍しいことでした。
細々と始めた製造販売はおかげさまで評判も良く、出店場所として多くの方々から声をかけていただけるようになりました。常連さんも沢山ついていただいて、初めての場所でも人気は上々です。とてもありがたいことだと思います。

売り上げも安定して、イベントで行列ができるようになると、お客さまから「お店はどこにあるんですか?」と質問されることが増えました。店を持つ以前は「お店はないんです」と返事をしていて、そのたびに「えええーっ!!」とひっくり返るくらいの勢いで驚かれていました。お店ってないといけないのかな…と思い始め、自宅の元物置きを改装して、まるでアリバイ作りのように「時々ショップ」と名付けてお店を始めました。いつも開いているわけじゃないから、開いている日の方が少ないから、間違えないように気をつけて来てほしい、という気持ちを込めています。

お菓子を作って売ることを始めたら意外にうまくいって、20年近くも続けることができました。
ただ振り返ってみると、私が今まで選んできたやり方は、かなり他の方々とは違う部分があったように思えます。ひとりでお菓子作りを続けてきて、仕事仲間や同僚などがいないので、いわゆる「普通」とは違うところがあったとしても、自分ではなかなか気づかないのです。

同じことを続けて20年経ってしまうのは珍しいし、これから先も、自分のやりたいことを自分のやりたいスタイルで10年も20年も続けたいと思っています。
そして、お店オープンから今年で9年目、来年で10周年の節目を迎えるル・シャンティエは色々な面で変化が必要な時期に差しかかっています。具体的に言うと、2年前には愛用の家庭用オーブンが壊れて、業務用の大きくて素晴らしく高性能で素敵なオーブンに買い換えました。名前はジャン・フランソワと言います。(うちにやってきたオーブンに、そういう名前をつけました)
ジャン・フランソワのご紹介もそのうちしていきます。イケメンで力持ちです。普通オーブンに名前は付けないかもしれませんが、私は付けたい派です。

細々と続けてきた仕事を、これから先、もっと私にとって望ましい形に進化させるには何が必要だろうか、と考えました。
普通に考えるのなら「ちゃんとしたお店を出す」なのかもしれません。

ただシンプルに考えて、私が何よりも欲しいものは、もっとおいしいお菓子を作るための「使いやすいキッチン」でした。
理想のお菓子がいっぱい作れる、私の仕事のスタイルにぴったりの、憧れのキッチン。それはまだ、この世の中に存在しないものです。
自宅を利用して、お菓子屋パン、お惣菜など各種食品の製造業の認可を取ることは、調べてみたことがある方にとってはお分かりかと思いますが、なかなかハードルが高いです。私は毎回、認可の更新のタイミングが来るたびに胃が痛くなります。他とは違うことをしていて、自分のやり方は普通のお店とは違う、と思っているから。
ただ、この先はもっと様々な働き方をしていく世の中になると思うので、こういう仕事の仕方をする人がもっと増えるだろう、と思っています。

まだ自分でも完全な形は見えていないけれど、このnoteではお菓子の話に加えて「理想のキッチンを作る」というのをテーマに加えていきたいと考えています。キッチンの施工は、「茅ヶ崎ストーリーマルシェ」の出店でいつもお世話になっている茅ヶ崎の松尾建設さんにお願いしました。お互いに初めての試みとなります。
松尾建設さんはマルシェも開催している敷地内に「コンテナキッチン」というのを作っていて、お店を持ちたいと考えている方々が考案したメニューを短期販売できるチャレンジの場所を提供しています。地域の方々に向けたマルシェをもう何年も主催していて、住宅や店舗設計などもおこなう会社です。


松尾建設さん主催の茅ヶ崎ストーリーマルシェで、サザン茅ヶ崎ライブの日に特別開催された夜市の様子。みんなが集まってきて一緒に音漏れライブ聴いて、楽しかった!

こんなにふんわりしたお願いを、どこに頼めば良いのかもわからなくて頭がぐるぐるしていましたが、すぐ身近に、こんな打ってつけの方がいました!!
どんなものが欲しいのかということを松尾建設さんにもわかっていただきたいし、こうして一部始終の経過をまとめて読めるようにしておくことは、これから先に自分でもお菓子を作りたい人、マルシェをやってみたい人、自宅でカフェや子ども食堂をやりたい人などなど、色々な方のお役に立てるかもしれない、と微力ながら考えております。

私たちはもっと色々な働き方をしていいし、好きなことを好きなやり方でやることが、もっと沢山の周りの方々の幸福や暮らしやすさにつながっていけばいいのに、と思います。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?