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僕と薬のうつ日記 4年目その3 「残ってる事」

前回のA社を辞めた前後、4年目の夏前の話。
A社を辞めた後の事で思い出したこと。
いや覚えていたんだけど、というか刻み込まれていた事なんだけど。
なんか脱線しそうだし怖いから書かなかった事。

僕がA社を辞めた理由は、体調不良が主だった。
しかし理由はもう1つある。
もう1つの理由というか、結局同じことなんだけど体調不良が加速した原因というか、根源か。

それは前回も書いたがA社人材の若さだった。
A社の人は学校出たばかりの人、成人したての人も中にはいた。
それぐらい若かった、特に僕の周りは。

彼らは才能とエネルギーに満ち溢れてたし、基本は超感じの良い人達だ。
だが経験が少なく、ルーズで危なっかしい面も多々あった。

そこからすると僕は少しだけ彼らより経験があり、少しだけ仕事の仕方を確立していた。そして準備の大切さを理解していた。

だから打ち合わせをちゃんとしなかったり、予定をすっぽかしたり、大事な時に嘘をついて飲み会へ行ってた、なんて事が発覚すると、心配性を発動してしまうし、不安と不信で視界に雲がかかってしまう。

毎回毎回とかじゃないけど、短期間在籍していて何度か遭遇した。
そういう時にいちいち彼らのケツを拭こうとしたことが僕の間違いだった。

それで彼らは大失敗なんてしてないし、結果はちゃんと出してた。
彼らは発展途上なんだ。

僕が彼らと同じ歳の時、そうかというとちょっと違うけど。
20歳前後の時はどうしようもない時もあったから、近いものは理解できる。

彼らも前の僕と同じく、イチから経験し作り上げていく最中だった。
だから何かあってもほどほどにして、自分の範囲内で適度にやってれば半年1年後にはだいぶ様子が変わってただろう。

体調が回復しきっていないのに、失った時間を必死に取り戻そうとする自分と、発展途上の彼らとは嚙み合わなかった、ということだった。

で、本題。やっと本題の話。
その若い人材満載のA社、上には親会社がいて、ちゃんとそこの偉い人が様見守っていた。仮にXさんと呼ぶ。

Xさんは直接の上司ではないが尊敬できる大きな存在で、彼の話からは学ぶ事は多かった。今でも心に残っている話がいくつかある。

もちろん辞める時はXさんにも挨拶をした。
「そっか、辞めちゃうのか…」とXさんは、口髭の似合うビターな大人の笑顔で残念がってくれた。

そのXさんから最後にお願いされたことがあった。
それは「君が辞める理由を、しっかり彼らに伝えてやってくれないか」ということだった。

こう言われた時、僕はグサッと来た。

僕はXさんに辞める理由をハッキリと告げてはいない。
でもXさんには、僕が彼らに対し、不安と不信感をもっているのがお見通しだったのだろう。

最後に彼らへフィードバックを残し、成長する機会を与えて欲しいとXさんにお願いされてるんだと感じた。

Xさんは彼らのことを本当に見守っているんだと思った。
人の上に立ち、後進育成ができる人ってこういう人なんだな思う。

結局、前回書いたとおり辞め際にも、面倒を見ないといけない事があり、退社する最後まで僕の周囲はグタった。

あらためて話す機会はなくとも、メッセージでも手紙でも、辞める理由を伝える方法はいくらでもあった。

しかしながら、仕切りなおす努力も、彼らと正面から向き合う勇気もなく、僕は辞めてしまった。

それから年数を経て現在、A社を辞めた後悔は和らいだ。

でも尊敬していたXさんのお願いを聞かなかったこと。
これだけは今も心に残ったままだ…


カバーはnanamintさんの素敵な写真をお借りしました。
ありがとうございました。



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